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アンデッドドラゴン

 ミーティアを顎から引き抜くと、アンデッドドラゴンの首に噛みついていたリネがそのまま横に投げ飛ばす。

 頭の上にいた俺はずり落ち、海へと落ちていく。


「コーネル!」

「わかってる!リネ!」


 ミーティアが輝き、それを目印にリネが下から掬い上げるように背に乗せてくれる。


「ありがとうリネ。明かりをつけたいところだけど…」

「そうするときっとみんなが気づいて…」


 いつの間にか俺達よりも上に飛んでいたアンデッドドラゴンが急降下してくるのをリネが急旋回して避ける。

 振り落とされそうになるのを片手で必死に耐える。


「ぐっ!無理だと思ったらすぐに炸裂薬投げるからな!」

「わかってるわ!」


 ミーティアが更に輝きをまし、強い光を放つ。放った光が留まって大きな剣身のようになる。こんなのは全く知らない。


「ミーティア!こんなの知らないぞ!?」

「なんか…どうにかしなきゃって思ったら…出来たわ!」


 長さも幅も元の両手剣の倍以上はあるだろうか。けど重さは特に変わらないみたいだ。

 これならリネに乗ったままでも斬れるかもしれない。


「ミーティア!リネ!」

「これで魔石を斬ればきっと!」

「そうだな…リネ頼む!」


 凛々しく吠えてリネが飛んでいき、飛んでくる三つの火球を避け、アンデッドドラゴンをすれ違い様に斬り裂く。

 指示をしてなくても器用にすれ違い様に身体を傾けるリネには頭が上がらない。

 しかし確実に首に当てたはずだけど、傷は見当たらない。


「ごめんリネ!浅かったわ!」

「ミーティア!もっと魔力を集めろ!多分強度が足りない!」

「そんなこと言っても何がどうなっているのか私にもよく…」

「少し短くなってもいい!もっとぎゅっと硬く鋭く!竜の鱗に負けるな!」


 ミーティアがぐぬぬとうめき声をあげる。

 光の剣身が揺らめき、点滅する。

 俺だってナズナに思うところがないわけじゃない。

 ミーティアを手放そうなんて微塵も思ったことはないけど、刀もいいかもなって思ったりもした。

 ミーティアでは斬れないような石の壁を斬り、子供の力で魔物を両断する切れ味は剣士なら誰もが心踊るだろう。

 ミーティアもきっと同じ武器として思うところはあったのだろう。


「お姉様なんだろ?ナズナちゃんに凄いところを見せてあげよう」

「ええ…魔石をどんな飾りにしてやろうかしら!」


 剣の幅が細くなり、光が強くなって夜空を照らす程にミーティアが輝く。


「リネ…コーネルもう一度お願い!」


 組み付き、噛みつき、火球を放つアンデッドドラゴンとリネが絡み合う様に空を舞う。

 振り落とされないように必死にリネにしがみつき、リネの作る隙を待つ。

 リネがアンデッドドラゴンに突進を決め、アンデッドドラゴンが体勢を崩して落ちていく。


「いくぞ!ミーティア!」


 リネが吠え、急上昇していき、縦に回転するようにして勢いをつけてアンデッドドラゴンに向かって急降下をする。

 アンデッドドラゴンはぐねぐねと乱回転しながら、まるで花火の様に四方八方へ無数の火球を放つ。

 火球の合間を縫う様に翼を広げたり閉じたりしながらリネが飛んでいく。

 アンデッドドラゴンは翼を大きく広げて体勢を建て直すと、海面すれすれを飛んでいく。

 リネも負けじと翼を大きく広げて風を受けて海面に叩きつけられるのを防ぎ、アンデッドドラゴンを追う。


「ミーティア、まだいけるよな?」

「もちろんだわ!」


 しかし逃げるということはアンデッドドラゴンには知性が残っているんだろうか。

 てっきり目に入るものはなりふり構わずに襲いかかるものとばかり思っていた。

 リネのように知能が高くない種類なら尚更だ。

 それとも自分を倒したリネのことだけはなんとなく覚えていて、本能的に逃げているんだろうか。

 アンデッドドラゴンが翼を大きく広げて失速してリネの上を通り過ぎながら火球を放つ。

 流石のリネもこれには反応出来ず、二つの火球が迫りくる。


「ミーティア!飛ばせるか!?」

「っ!いけるわ!」


 火球を狙ってミーティアを振る。

 輝く剣身から流星が放たれて、火球とぶつかって弾け、綺麗な花火が夜空を照らすと更に三つの火球が飛んでくる。


「リネ!まだくるぞ!」


 凛々しく吠えて大きく一度羽ばたいて急上昇して火球を避け、大きく広げた翼で風を受け止めて失速し、全身が押し潰されそうになる。

 アンデッドドラゴンの動きを見てたった今覚えたんだろうか。

 しかし背後を取ってもリネには遠距離攻撃がない。それとも実は火が吹けたりするんだろうか。

 リネが前足で両方の耳を掻き始める。


「リネ、耳がどうかしたのか?」


 リネの背を這っていき、リネの耳を確認してあげるけど、特に何も見当たらない。

 少し痒くなっただけなんだろうか。

 いやそんな無駄なことをする子じゃないはずだ。


「ミーティア!何かわからないか?」

「前足で頭を…頭を守れとか?」

「今更じゃないか?リネ、あってるか?」


 リネが首を横に振り、また耳を前足で掻く。


「耳を塞いで欲しいのかしら?」

「よし、待ってて」


 リネの耳を塞いであげようとすると首を横に振る。


「コーネルの耳を塞げってことかしら?」


 リネが吠えて返事をする。

 急いでミーティアを鞘に納め、両手でしっかり耳を塞ぐ。


「リネ!塞いだぞ!」


 リネが首を少し引いたかと思ったら勢いよく大きく口を開いて、咆哮を放つ。

 凄い振動で全身が震えて痺れる。

 音というよりも衝撃波と言った方が近いかもしれない。

 衝撃波を浴びたアンデッドドラゴンが動かなくなって落ちていき、海面に叩きつけられ、跳ねて転がっていき、折れてぐねぐねの身体で飛び立とうともがき、半分溺れているように見える。

 ミーティアを抜いて、速度を落とさないリネに合わせて、すれ違い様に首を斬り裂き、急上昇していくリネから飛び降りて、アンデッドドラゴンの身体を海面ごと両断する。

 全身に身体強化をかけて落下の衝撃に備えると、身体が引っ張られて鞘の紐が身体に激しく食い込む。

 どうやらリネが器用に鞘を咥えて助けてくれたみたいだ。


「もうゆっくり休んでいいのよ。あなたは十分に頑張ったわ…」


 ミーティアがそう言うと、アンデッドドラゴンの瞳が光を失い、骸へと還る。

 ミーティアが剣から人の姿に戻り、骸の上に降りると、優しく胸を撫でてから、もう二度と苦しむことがないように二つになった心臓の魔石を抜き取った。

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