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フィシェルさんの機嫌が心配

 エリンさんに話を聞き終えたからと連れられて甲板に出ると、顔面の腫れ上がった三人の男がぐるぐるに縛られ、両手は石になっている。

 尋問的なことをしたんだろうか。

 ゲンリュウさんとリネが三人を見張り、コーネルさんが手を拭いていて、フィシェルさんが眠たそうに三人を睨み付けている。


「東にこいつらの船があるらしくてね。ちょっと締めてくるよ。ヘンダーのことを知ってるみたいなんだ」

「じゃあこの人達はヘンダーに頼まれて?」

「様子を見に来たみたいだ。そしてナズナちゃんから刀を奪おうとしてたらしい」


 私は隣のエリンさんにそっと耳打ちする。


「私が魔法を斬って消したら、ガンゼツか面倒だな…って言っていました…」

「そう…一目で気付いたってことは多分他のを見たことあるんだろうね…」

「そうだ。ナズナちゃん刀を貸してくれてありがとう」

「どういたしまして…」


 刀を受け取り、消すと、男の一人が口を開く。


「それ…ガンゼツじゃねーだろ…ガンゼツには魔法が使えねぇはずだ…」

「ずいぶんと詳しいな」


 ゲンリュウさんが口を開いた男に刀を向ける。


「はっ…海賊だぜ?高く売れるものには詳しいさ…」

「ガンゼツの刀など、トコヨでも確認されておるのは二振りだけだぞ」

「そんなおべべを着ておいて知らねーのかよ。ガンゼツには刀以外もあるんだぜ?」

「一度滅んでいるからな。トコヨにはほとんど話も何も残っておらなんだ…海賊に言っても仕方ないか」

「さっきも言ったが俺達はここに船がいるから好きにしろって金で雇われただけだ。ガンゼツの刀があるってのも嘘だったならもう用はねぇよ…」

「そっかそっか…じゃあちょっと行ってくるよ」


 エリンさんが杖に股がってふわりと浮くと、フィシェルさんも無言のまま箒を出して股がる。

 そして二人で夜空に消えていく。


「ガンゼツの武器を見たことがあるんですか?」


 私のことを睨みつけてきたかと思うと、すぐに目を逸らして無視されてしまう。

 するとグルルルルとリネが唸り出し、男が慌てて喋り出す。


「ある!あります!へっへへへぇ…ありますよお姫様…」


 愛想笑いを浮かべてへらへらと少し気持ち悪い。


「槍と盾を見たことがあります…槍は物好きな貴族が柄を豪華な装飾のものに変えたらしくて、黄金に茨のような模様が入っていて、とても高く売れましたよ…へへへ」

「へぇ…盾は?」


 コーネルさんが聞くとへらへらと答え始める。


「盾は四角い小さい盾で、エーリアっていう女が持っていました…銀髪に青い瞳で、出るとこ出ててそりゃあもう綺麗でしかも強くて、仲間が八人返り討ちにあって逃げ帰りましたよ…へっへへっへへへ」

「ありがとうございました。初めて聞くお話でとても興味深かったです」

「へへへ…お姫様が楽しめていただけたならよかったです…へへ」

「エーリアって銀の戦乙女って呼ばれてる人か?」

「ああ…そんな異名だったはずだ」

「有名人なのか?」

「傭兵ギルドの中でも一番位の高い白等級の人だよ」

「等級?」

「ああ、高いほど高額な仕事を受けられるんだよ。下から、茶、黄、赤、青、黒、白ってなってて、なんでも大昔に貴重だった染料の色になってるらしいよ」

「コーネルの等級は?」

「俺とミーティアは青ですよ。本当なら賢者様の依頼なんて受けられない中級の傭兵です」

「コーネルで青だと黒と白はおっかないな」

「おっかない?」

「怖いとか危ないって意味だったはずです」

「ナズナの言う通りだ。しかしそれがどうして?」

「ナズナのおかげが六割、知り合いだからが四割ですかね」

「私のおかげ?」

「ミーティアと仲良くしてくれているからね」

「そんな、良くしてもらっているのは私の方です…」

「そういうところが心配できっとミーティアと一緒にさせてくれているんだよ」


 どういうことなのか、よくわからない。


「なるほどな。親心という奴か」


 ゲンリュウさんにはどういうことかわかるみたいだ。


「あっ戻ってきたみたいだよ」


 コーネルさんが空を見上げると、空からエリンさんとフィシェルさんが降りてくる。

 そして二人の服装に違和感を覚える。


「あの…そういえばお二人とも服は?」

「え?」

「ん?」


 二人が自分の姿を見下ろす。

 フィシェルさんは平然としているけど、エリんが咄嗟にしゃがみ込んで踞る。


「すまん…緊急時だからと諦めていたのかと」

「ごめんなさい…俺はミーティアで慣れてて…そこまで気が回ってませんでした」

「おう。ウチは別に構わねぇぞ」


 フィシェルさんがブラっぽいものとパンツだけで堂々と仁王立ちしている横で、エリンさんは着替え忘れていたのか、暗くてもわかるくらい耳が赤くなっている。


「記憶消してきてやろうか?」


 さらっとフィシェルさんが怖いことを言うとさっきガンゼツの武器のことを話してくれた男がひぃっと悲鳴をあげる。


「ありがとう。でもヘンダーのことまで忘れられると面倒だから諦めるよ」

「だってよ。よかったなぁ?エリンが優しくてよぉ……余計なこと考えたり話したりしたらわかってんな?」

「ひゃひぃっ!!」


 いったいフィシェルさんに何をされたのか、震えて喋らなくなる。


「んじゃあ、もう寝ようぜ」

「ゲンリュウさんとコーネルさんも休んで大丈夫ですよ。フィシェルと戻る前に罠を張っておいたので何かあれば今度はすぐにわかるから」

「わかりました」

「かたじけない」


 もう空が明るくなってきているけど、誰も起きてようとする人はいなかった。

 もちろん私も流石に眠たくなってきた。

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