初めての夢
次の日の話です。
夫が亡くなってやっと落ち着いて眠れる日が来た。布団に入り、目を瞑る。しばらくすると意識は遠のいていった。
目の前に白いモヤがかかっている。
(あ、夢だ。)
本能的にそう思った。段々と白いモヤは薄くなり、目の前の景色がはっきりと見えてくる。どこまでも続く草原。終わりはないのかと思わせるほどの広さに少し恐怖を覚える。
急に人影が現れた。その人は先日亡くなったはずの夫だった。
(夢だから現れてもおかしくない)
そう思えた。彼が口を少し開ける何か話すのかと思っていたが彼はほほえんだ。
「なんですか?」
思わず聞いてしまった。だが彼は耳が聞こえないかのように微動だにせずほほえんでいるだけだ。
「何か言ってよ」
そう言っても無反応。不思議に思っているとまた目の前に白いモヤがかかった。
気がついたら目が覚めており、空は明るく、朝になっていた。
(なんだったのだろう…)
そう思ったがこんなこともあるだろうと大して気に留めなかった。
夫がいなくなったが今までの生活と変わったところがあるかと問われると
「大差ない」
という返答しかできない。そのくらいこの夫婦に愛情といったものはなかったことが明らかとなった。そんな今日この頃であった。
続きます。




