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悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました  作者: 神村 結美


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 交流会は生徒会主催のイベントであることから、毎年内容が異なっている。本番さながらに忠実に行う年もあれば、変わった催しを取り入れたり、お茶会を2日間開催して参加者を半分に分けて、1日目と2日目で役割を交代させたこともあったらしい。片方のグループが1日目に客人として、2日目にはホストや使用人として参加し、残りのグループはその逆の役割を担ったようだ。客人側だけでなく使用人の役割も学ぶことで、ホストとしての視野も広がると考えたとのこと。


 今年の交流会は2日間の開催予定で、初日はお茶会で2日目は舞踏会。舞踏会は通常は夕方や夜に開催されるが、今回は交流会として、お昼過ぎから開催される。舞踏会用ドレスの貸し出しを行うとのアナウンスを聞いて、下位貴族や平民が貸し出しの受付に殺到していた。


 今年の生徒会は『交流会』の言葉通り、身分を気にせず交流することに重きを置いた。お茶会は幾つかの会場で複数のグループにわかれる。ガーデン、中庭、サロン、ホール、食堂の5箇所となるが、お茶会のホストおよび席次は全てくじ引きで平等に決められるらしい。


 同様に舞踏会のファーストダンスを踊るパートナーもくじ引きで決まる。入場時の制限はなく、エスコートなしでも、友人達と一緒でも、婚約者と一緒でも良く、自由となっている。パートナーとのダンスの練習も必要であろうと、開催の1ヶ月前にくじ引きにて、席次とホスト役、そしてダンスパートナーが決められた。


 お茶会の給仕、舞踏会のウェイターやメイドには、学園の常勤スタッフと伯爵家以上の生徒の実家からの数名ずつを派遣してもらう。イベントでの給仕は特別手当がもらえるため希望者が多い。争奪戦になるが、各家の人数は決まっているので、人員選択は各家にお任せである。



 1テーブルに8人となるお茶会のくじ引きでクローデットが引いた紙には『サロン①』と書いてあった。各会場に6テーブルずつで30のグループにわかれる。キャサリンは『ガーデン②』、レイラは『中庭④』、セシリアは『食堂⑥』で、見事にバラバラになってしまった。


 マクシミリアン殿下は『ガーデン②』、ロンサール嬢は『ガーデン⑤』、エルネストは『ホール①』だったらしい。マクシミリアン殿下と公爵令嬢のキャサリンが同じテーブルとは、下位貴族や平民でそこにあたった令嬢子息がいれば終始緊張して大変そうだ。



 お茶会のマナーや作法について改めて講義と練習の時間も授業として設けられた。交流会は全学年参加のイベントである。200人以上いて、30テーブルにくじ引きで割り振られるので、同じテーブルに誰がつくのかはわからないが、通常のお茶会でも招待客をすべて把握しているのはホストくらいであるので問題はない。


 今回はそこにちょっとした遊び要素があって、誰がホストとなるかも知らされない。身近な友人であればテーブル番号を確認できるが、全生徒に聞いて回ることはないため、当日に初めてホストも他の招待客もわかるようになっていた。ホスト役については事前に進行表と同じテーブルのゲストリストが配布されているらしい。クローデットも誰と同じテーブルとなるのか楽しみでもあり、心配でもあった。



 お茶会当日にクローデットはソワソワした気分を表には出さずに会場であるサロンに向かった。サロンの入り口で名前を告げると、テーブルに案内された。テーブルウェアがセットされたテーブルの横にはホストが立っている。


「ようこそ。お越しくださりありがとうございます。お好きな席へどうぞ」

「ご招待ありがとうございます。本日は楽しませていただきますわ」


 クローデットを迎えたホストはなんと騎士団長子息のロイド・サージェントだった。お茶会のホストをやるなんてイメージが全くないロイドがお茶会のホストになるとは、本当に公平にくじで決めているのだと納得できた。ほんの少しだけ緊張している様子ではあったが、落ち着いていてホストが様になっている。驚いている間にも同じテーブルの人がやってきた。


「ご参加いただき恐縮です。お時間の許す限りお楽しみください」

「あぁ……招待に感謝する」


 エルネストと交流がある先輩らしく、何度か名前を聞いたことがある。顔も見覚えがあった。サイラス・グッドマン侯爵子息だ。エルネストからは無口な先輩だと聞いてはいたが、クローデットは初対面となる。サイラスが空いている席に座り、すでに座っていたクローデットと目が合ったので、クローデットは笑顔で挨拶した。


「ごきげんよう。グッドマン様。婚約者のエルネストからお話はよく伺っておりますわ」

「……こちらこそお目にかかれて光栄です、アルトー様」


 話を続けようかと思ったが、次々と同じテーブルのゲストが到着した。開始時間より余裕を持って全員が着席。クローデットと同じテーブルについたのは、生徒会メンバーのロイドとサイラス、ステラと一緒にいた子爵令嬢、ロンサール嬢のご友人の伯爵令嬢に初対面の女性の先輩が2人と男性の先輩が1人だった。


「皆さま、本日はお集まりいただきありがとうございます。くじ引きの結果、僭越ながら私、ロイド・サージェントが本日のホストを務めさせていただきます。至らぬ点があるかと思いますが、皆様に快適な時間をお過ごしいただけるよう努めます。交流会は社交界デビューに向けての擬似体験を目的としていますが、今年は言葉通りの『交流』をメインとしていますので、学年や身分を気にせず気兼ねなく会話を楽しんでもらえればと思います。それではどうぞお寛ぎください」


 ロイドの開会の挨拶が終わり、控えていたメイド達がそれぞれのゲストに事前にアンケートで回答した好みの紅茶をサーブし、軽食やスイーツも並べられた。


 目の前にはおいしそうなサンドイッチやスコーン、それにフルーツやクリームでデコレーションされた数種類のケーキが用意されている。クローデットは食べ物に釘付けであったが、飲食を楽しみながら全員の自己紹介を行うことになった。特に順番などは決まってないらしく、早く食べたいという思いから、先に自己紹介を済ませてしまうことにした。


「では、私からよろしいでしょうか」

「どうぞ」

「ありがとうございます。皆様ごきげんよう。1年のクローデット・アルトーと申しますわ。お見知りおきを。料理とおいしい物をいただくことが趣味ですわ。皆様の領地の名産品などありましたら、ぜひ教えてくださいませ。本日は皆様と楽しく過ごせればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」


「続いて私が。3年のアメリア・スコールズよ。私の趣味は刺繍なの。ドレスはいつもシンプルな物を用意して、自分で刺繍をしているわ。刺繍が盛んな隣国のエンブリー伯爵に声を掛けられるくらいの腕はあるのよ。明日の舞踏会でももちろん刺繍を施したドレスを着る予定なの。刺繍について困った時にはいつでも相談にのるわよ。よろしくね」


「私は3年のアラン・エメットだよ。しがない男爵子息だけど、勉強は得意なんだ。勉強に困ったことがあったら、声をかけて」


「サイラス・グッドマン。2年。よろしく……」


「あ、あの、カーラ・ペリーと申します。えっと、ペリー子爵家の次女です。……うちは洋梨が特産品です。洋梨を使った飲料やお酒、スイーツの研究が趣味です。えっと、き、今日は、よろしくお願いいたしま……す」


 その後も個性豊かな自己紹介が続き、8人全員の自己紹介が終わった。初対面の先輩達は、3年の侯爵令嬢、2年の男爵令嬢、3年の男爵子息だとわかった。


 その後は、軽食やスイーツ、紅茶を楽しみながら、それぞれの趣味について深く聞いたり、流行りの物や授業についてなど多岐にわたる話題が出て盛り上がり、和やかにお茶会は終了した。楽しく交流が出来たと思う。

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