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有言実行とはまさにこのこと

あの女子会パジャマパーティから一ヶ月。今私は、人間界にいる。


「ここがアネモネ王国ね。ふーん。前回来た時とはずいぶん景色が違うのね」


勘違いしないでほしい。この間、人間界にデートにでも行こうかとぼやいていたのではない。れっきとした仕事だ。視察だ。うん。


「そうだね。設備がしっかりしたけど…物価が上がった?」


……リアンと一緒に来ている時点で説得力などないと思うけれど。


「大方あの自分勝手な王族たちのせいでしょう?…それにしても、リアン、あなた馴染んでるわね」

「そう?アナも眼鏡似合ってるよ?あんまり可愛い顔は隠せてないけど」

「んな!!」


サラッとなんて事をいうのだこの男。顔に熱が集まるのがわかる。


「だ、誰も私と話したことなんてハッキリと覚えてないわ!だから大丈夫よ!」

「ふーん」


今回の目的は最近の人間界の様子を確認する事。対象はこの国の平民から貴族までなので、泊まりがけの長い任務だ。


遡ること数日前…


『アナベル。人間界に偵察に行ってこい』


いつも通り黙々と書類を裁きながらオースティンが、何の前触れもなく言った。


『はい?』


意図のつかめない命令に、私は書類仕分けの手を止め、オースティンを見る。人間界に何の用があるのか。


『最近アネモネ王国がきな臭くてな。また攻めて来るかもしれないから、情報収集だ……あと、リー…王国上層部の様子とか、な。』


なるほど。リーリエの噂とか置かれていた状況を知れたいわけだ。隠し切れてないぞ魔王。


『わかったわ。じゃあ、四日後ぐらいに…』

『アナベルがどこへ行くんです?』


後ろからヌッとリアンが現れた。仕事モードだから、眼鏡に敬語だ。でもなんかいつもより迫力がある。


『人間界…アネモネ王国だって』

『ほぉ………私も行きます』

『え?』


突然何を言い出すのか。私は目を大きく見開く。


『だめだ。お前は書類仕事だ』

『一週間分程度でしょう?三日で終わらせます』

『本気でできそうなのが怖いが…お前がいないと色々困るのだが』

『普段甘えてる文官にやらせればいいです。自分がやった方が早いからといつもあなたは仕事を抱え込みすぎなんですよ。これを機に多少は臣下にやらせなければ』

『…はぁ。まぁいいだろう。その代わり、その期間中の分の仕事を終えたらだ。期限は三日後。それで文句あるまい』

『ありがとうございます』


結局オースティンが折れ、リアンは満面の笑みを浮かべて仕事を物凄い速さで処理し始めた。


(リアンと仕事か。楽しみね)


『うっわ、過保護』


ソフィアが変な物を見るような目をリアンに向けて、若干引いていたのは見なかったことにしようと思う。


結果的に、リアンは二日で一週間分の仕事を終わらせ、見事今回の偵察に同行することができたのだった。


『ほんとに終わらせてきた…』

『この量、一週間どころか一ヶ月りあんがいなくても回るぞ…』


オースティンとソフィアは、終始ドン引いていた。

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