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ギリギリセッション

龍之介のアップテンポのドラムがスタジオに響き渡り、それに続いて四狼がベースでビートを刻み徐々にスラップを織り交ぜる。挑発的ともとれるその超絶スラップに、「ふふ…」と笑みを浮かべながら指音が超絶速弾きを見せる。その音はぶつかることなく、互いに最高の音色を奏でている。


「やるでやんすね」


龍之介も手数を増やして、セッションはますます激しくなる。


その頃、スタジオの外では、雷太が心配そうに荷物の到着を待っていた。待てども待てども、なかなか荷物は来ない。このままでは指音が帰ってしまうかもしれない。頭を抱える雷太。その時、スタジオの入り口の方から何やら声が…


「すみませーん。Gamazon(ガマゾン)からお荷物をお届けにまいりました」と配達員の声が聞こえた。



白熱のセッションが続くスタジオ内、突然、指音のギターが止まった。「どうしたでやんすか?」と龍之介が尋ねる。


「君たちとのセッションは楽しかったが…そろそろ時間だ…」とそそくさと帰り支度を始める指音。


「待つでやんす!」と龍之介が引き止めようとする。「ブツブツブツ…」と四狼も何かを訴えている。


「ふん…」指音は二人の制止を無視してスタジオを出ようとする。


その時、外からスタジオのドアが開いた。「待たせたな…」と、そこに立っていたのは雷太ではなく…魔王様だった。


漆黒の衣装に身を包んだ彼の登場に、スタジオ内の空気が一変する。雷太は魔王様に変身し、堂々と立っている。その圧倒的な存在感に、指音も立ち止まり、視線を向けた。



「指音とやら、話は聞いている…まず貴様のギターの実力を我に見せてみよ…」と、魔王様が挑発するように指音に声をかけた。


その言葉にニヤッと笑い、龍之介がドラムを叩き始める。「ブツブツブツ…」と呟きながら、それにリズムを合わせるように四狼がベースを弾き始める。


指音は魔王様の圧倒的な存在感に一瞬目を奪われ、唖然としていた。


「どうした…弾かぬのか?」とさらに挑発する魔王様。


「ふ…」と指音がつぶやき、リズム隊に合わせギターを掻き鳴らす。その音がスタジオに響く。


「さぁ…いくぞ…悪魔の鎮魂歌レクイエムだ…」と魔王様が宣言し、その曲に合わせて歌いだした。その声には圧倒的なカリスマが宿っている。


指音は、魔王様の歌声と存在感に心を奪われ、こう思わずにはいられなかった。「神…」…と。


セッションが終わった後、「おぉ…神よ…」と、指音は手を合わせ、魔王様を仰ぎ見た。その姿は神を仰ぐクリスチャンの如く完全に崇拝していた。もはや、完全に魔王様に心を奪われ屈していた。加入するかどうかの答えは聞くまでもなく明白だった。


「まぁ…魔王だけどね…」と心の中で思う雷太であった。兎にも角にも、超絶ギタリストの獲得は成功したというわけだ。


ゲンさんもなかなかのギタリストだったが、指音はそれを超える逸材だと魔王は感じた。


次のサバトまで時間が無い。新生「Hell’s Gatekeepers」の最高のセッションは朝まで続いた。




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