ジェットコースター
「あああああああああ!」
「きゃー!」
彼氏と一緒に、裏野ドリームランドという遊園地に来た。遊園地は好き。特にジェットコースターが。長い行列が終わると、私たちは運良く一両目の最前列に案内された。
「これに乗ったらさ、今度はホーンテッドマンションに行こうよ。ほら、そこに見えてるやつ」
私が正面の建物を指差すと、彼の顔は一段と白くなった。
「あれお化け屋敷でしょ? なんでこう心臓に悪そうなのばっかり……。好きなの? こういうの」
「えぇ? ……ひみつ!」
ジェットコースターが動き出した。
「ねぇ、怖い?」
「怖いよ。……せめて、手、握ってて」
やった!
彼が差し出した左手を、私の右手がそっと包んだ。本当にジェットコースターが苦手みたいで、ぎゅっと握り返された。
私たちを載せた二両編成のコースターは、ゆっくりと最高点に達した。
「わぁ。景色いいね」
「もう景色なんか見てる余裕ないよ……」
それは私も同じだよ、安全バーで首を固定されてさえいなければ。きっと、あなたがいる右側ばっかり見ていたと思うから。