____なクラスメイトとの初会話
朝、学校ではいつものように早めに行った。
教室は1人2人いるぐらいで、僕は静かにやり忘れていた宿題をしていた。
そこまで難しいわけでもないためスラスラと解く。
早めに学校に行くのも実は覚えていててもしない宿題のためだ。
終わって丸つけが終わる頃には結構人は来ていて、興味もないがやることもないため周りの人の話を聞く。
「そーいや、今日の龍司クンさ、女子に対しておかしかったらしいけどなんかあったのか?」
「木下さんと別れたって噂だけど」
「えぇ⁉︎あそこお似合いだったろ!いつだよ!」
「土曜」
「お前の噂収集能力高いな」
リュウはどうやら女子が怖くなったらしい。
想像はしていた。
いくら問題が解決したからって恐怖心が消えるわけではない。
女子という括りで怖いというのもモテるリュウにとって、失恋したい僕にとって嫌なものだ。
「木下さんの目、赤かったのってそれ?」
「失恋だろうな。何があったんだか」
「狙おうかな」
「弱ってる時に手を出すとか…うわぁ、」
「しっ、仕方ないだろ⁉︎あのマドンナだぜ?性格もいいし、少しバカらしいけど、顔と性格さえ良ければ誰だって!」
顔と性格、ねぇ。
確かに、よくてリュウも恋に落ちたんだろうと思う。
今の彼女なら平気だと思うが、色々あって別れたんだ。
性欲に負けて。
てかリュウは高校生にもなって性欲がないのか?
SNSでエッチなイラストとか見たりもしないのか?
僕はゲームキャラの見えそうで見えないパンツのイラストとかすごく見るんだが。
メイド服を着て赤面の顔で恥ずかしいなんて言いながらこちらを見るイラストとか萌えるんだが。
リュウはそれに興奮しないのか⁉︎
「いやいや、相手はあの龍司クンだったんだぜ?高級品の味を知った木下さんは…」
「高級品ってなんだよ、高級品って」
「龍司クンはきっとデートも完璧だしキスも完璧だろ。それ以上のこともきっと。張り合えるか?」
「無理だ他の子探そ」
そういえば、キスはしたのだろうか。
リュウの唇はきっと柔らかくて狙いたくなるほど魅力的だ。
って、僕は変態かよ。
耳を塞ぎ、これ以上情報が入らないようにする。
誰かにマウントを取るような考えをしたり、リュウとキスをしてみたらどうなるんだとかいう想像したり…
絶対にリュウとは付き合えないって、わかってるのに。
自分を傷つけるだけだってわかってるのに。
そう考え始めると胸が苦しくなってきた。
すると、誰かから肩を優しく叩かれた。
「寺本くん、平気?」
「えっ?あぁ、佐野くん…だっけ、」
「うん。体調悪い?保健室、行く?」
体調…
ああ、僕が耳を塞いで下を見ていたから体調悪く感じたんだろう。
佐野 虎晴という名前で、イケメンに分類される男。
優しい時もあれば酷い時もあるみたいな噂。
一年の頃は彼女がいたがその酷いところで別れたとかなんとか。
今は優しいの方なのだろうか。
「平気です。少し考え事を」
「俺のこと、佐野くんじゃなくて気軽に下の名前で呼んでよ」
目を細めてにっこりと笑う表情は確かに綺麗だと思う。
でも、リュウの表情の方が僕は好きだ。
こういう時にリュウと比べてしまう自分は、まだ恋心に縛られている。
「虎晴くん…とか、?」
「ごめんやっぱ上の名前」
「ぇ、なに」
横を向いでゴモゴモしている。
少し面白い。
前の席の椅子を借りて、僕の机に肘を置いた状態でまたニコッと笑った。
顔が近かったから少し離れた。
「あ、敬語は絶対なしな。距離感じるの嫌だから」
「う、うん」
「それと、一つ言いたいことがある。寺本くん、好きな人いる?」
「……はぁ⁉︎」
ちょっと待ってくれ。
僕ってあんまり表情にも出ないし、ていうか出さないようにしてるし、声のイントネーションでもわからないように心がけている。
リュウに好きだとバレてもよかったんだが、男というので嫌われたくないからっていうので冗談っぽく話すのは得意。
どうしてバレた?
いや、これは男同士の会話だから、好きな女の子とかいるの?っていうやつ?
それだったら答えは「ノー」だよな⁉︎
「い、いないと思う…」
「俺はいる。今まで話しかけられなかったんだけど、最近話しかけれてさ。なぁなぁ、相談に乗ってくんね?」
「どうして僕なんだよ…」
「だって、えと、その、」
あ、恋してる顔だ。
顔が急に赤くなって、耳まで赤い。
本当に好きな人がいるんだ。
いいな、こんなに綺麗な顔だと色んな子に好かれるんだろうし、僕が綺麗な顔してたら…
いや、考えがクズ男だ。
「好きな人が、寺本くんに似てて?」
「僕に?」
「優しいとことか、気遣いができるとことか、ノリとか、まっすぐな目線とか、好きな事には一生懸命なとことか、嫌いな事にはすぐ逃げるとことか、色々鋭いところとか、」
やばい、すごい出てくる。
僕のことそんなにみている人いたんだと驚いた。
僕は別にクラスに貢献しているわけでもないし、佐野くんとは今年同じクラスになった。
接点があるわけでもないし。
よく人を見る人なんだなと思った。
てか、僕のことが好きだったり?
いやありえないか。
長々と僕のことを言っているが、時計を見るともうすぐで先生が来る。
「ストップ、そろそろ時間だから」
「あぁ、ごめんな。後でライン繋がらないか?」
「いいぜ」
「あっ、ありがとう!」
顔が赤い。
嬉しそうに歩きながら自分の席へと戻っていった。
僕の前の席の人は遅れて登校してくる。
バスの時間でよくそうなるんだとか。
先生が来てから3人ほどバスで遅れてきた人が教室の中へと入ってきた。
今日はなんだか、気分がいい。
それはきっと、佐野くんのおかげだろうな。




