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近い未来の親友との出会い その二

お疲れ様です。


後半部分の投稿になります。




「あらぁ。大人には慣れたけど子供にはまだ慣れていないみたいねぇ」


「そうね。まっ、放っておけば直ぐ仲良くなるんじゃない??」


「ン゛ッ!?」


 私がそう話すと愛娘がユウちゃんの遊び道具……、多分だけど。それを見つけ。


「ウォ!! フンフンッ!!」

『おう!! 何よアレは!!』


 興味津々といった感じで拙い足取りで向かって行った


「フェリス。あの遊び……。道具なのかな?? 兎に角あれは一体何??」


「あれですか?? 夫がユウちゃんの為と思って作ってくれた玩具ですよ」


 うふふと可愛い声を漏らすけれども……。どこからど――――見たって、鉄の塊にしか見えないんだけど??


「あはは!! フェリス――。あれは玩具じゃなくて、筋力を鍛える道具よ」


 エルザードが口を開いて笑うのも頷ける。



 長さ十五センチ程の漆黒の黒鉄。


 その両側の先端には腕に負荷をかけようとこれまた中々に重そうな黒鉄の丸みがくっついているからね。



「マイちゃん、ちょっとお先に持たせて貰うね」


 地面に転がっている黒鉄の道具を試しに持ち上げてみたが……。


「いやいや。大人の私でも重みを感じるわよ??」


 右手から腕にかけて気持ちの良い負荷が駆けて行った。


 これはエルザードが話した通り玩具では無く筋力を鍛える為の道具ね。


「アァイ!!」

『寄越せや!!』


「あ、ごめん。はい、どうぞ」


 娘にせがまれて玩具兼筋力鍛錬道具を床に静かに置いてあげた。



「ここの里では、子供の頃からあぁいった玩具で遊ぶ習慣があるのですよ?? 私も幼い頃は楽しそうに持ち上げていたと両親から伺いました」


 フェリスがうふふと笑い、柔らかい曲線を描く頬に右手を添える。


「「へ、へぇ……」」



 異文化、と言えば聞こえは良いけど。何も知らない赤の他人から見れば虐待にも映るんじゃないかしらね。


 だって赤子が筋力鍛錬道具と向き合っているのよ??


 ミノタウロスの膂力に対して若干の呆れを感じていると愛娘からとても女の子が放つ声とは思えない声が上がった。



「ンギギィ!! ウキィィイイイイ――!!」

『ンガァアア!! 上がれぇぇえ――ッ!!!!』


「よがった猿か」


 お惚け淫魔の放った戯言に刹那にでも納得してしまったのは内緒にしておきましょう。



「ゼェ……。ゼェ……」


 マイちゃんが肩で息をしてびくともしない器具をこれでもかと睨みつける。


 そして、何を思ったのか。



「ンッ」


 ユウちゃんに向かって己の足元の器具に向かい顎で指すではありませんか。


 それはまるで。


『あんた。これ、持てるの??』


 そう言わんばかりであった。



「ちょっと?? マイちゃん?? 初対面の子に対する態度じゃないわよ」


「気にしないで下さいな。娘は朗らかですから」


「そう、それなら……」


 フェリスの言葉に胸を降ろしたのも束の間、驚くべき事象が私の心を揺さぶってしまう。



「……っ」


 ユウちゃんが小さな手足を器用に動かして愛娘の方へ移動して彼女に言われるがまま黒鉄の道具に手を掛ける。


「フフッ。ハァン??」

『ハハッ、無理だろうぉ??』


 持てないでしょ??


 そんな感じで嫌味たらしい眼差しでユウちゃんを見下ろすが、娘の態度は数秒後に全く真逆のモノへと変貌してしまった。



「…………」


 すっと……。


 まるで枯れ果てた細い枝木の様に重い道具を右手一本で軽々と持ち上げてしまったのだから。



「オワァ!?!?」

『はぁっ!? 私は動かせなかったのに!!』


 娘のあの驚いた眼は確実にそう言っていた。



「いやいや、どんだけ力持ちなのよ。あんたの娘」


「父親譲りですからねぇ。それにもう御二人共お気付きかと思われますが。一応、あの力も宿しております」


「ンゥ――!! ン――!!!!」


「…………」


 お座りしたままのユウちゃんを踏み台にして、彼女に掲げられた道具へと登ろうとする馬鹿……。おっと。愛娘。


 フェリスが話した通りマイちゃんに踏んづけられている彼女の体の奥底には明瞭に力の根源を感じる。



 私の娘とは違いずっしりと重厚な重みを感じる力の根源だ。


 あれが、九祖が一体。ミノタウロスから継承された力か。



「使い方は誰が教える予定なの??」


 可愛く戯れる娘達から視線を外してフェリスへ問う。


「一応、夫が。と申しておりますが。一任してもいいのかと危惧しているのです……」


「それ、凄く分かるわ。私の夫にも一任する事自体に先ず不安って感情が湧いちゃうし」


「ふふ。お互い大変ですね??」


「そうね。――――。もし、良かったらさ。この子達が成長したらさり気なく会わせてみようよ」


「と、言いますと??」


「何て言えばいいのかなぁ……。私達が友人同士である事は内緒にしておくのよ」


 私が今しがた思いついた案をさり気無く発言してみる。


「ふんふん」


 フェリスが私の案に興味を持ってくれたのか、楽しそうに頷いてくれた。


「最初から何もかも知っていたら面白くないでしょ?? だから敢えて伏せておくのよ。エルザード、あんたも当然含まれているからね」


「はぁ?? 何で私がそんな面倒な事に付き合わなくちゃいけないのよ」


 ソファの上でだらしない恰好で寝そべりつつあからさまな気怠さを解き放つ。


「これは命令よ。あんたには数えきれない程の貸しがあるの」


「はぁ――い。適当に肯定しておきまぁ――す」


 ちっ、この子ときたら……。


 毎度毎度、鼻に付く態度をとっちゃってまぁ。



「それで?? フィロさんの考えをお聞かせ下さい」


「オホンッ。これからさ、お互いこの子達の面倒に付きっきりになって時間が取れなくて会えなくなるじゃない??」


「私はいつでも会えるわよ――」


 はいはい、あんたは子持ちじゃないからね。


「そうですねぇ。育児やら、指導教育やら。あっと言う間に数十年経ってしまうでしょうね」


「そ。ある程度娘が成長したらさり気なく。そして何気なくこの大陸に出掛けたくなる様な事を仄めかすのよ。あっちの大陸には美味しい御飯が沢山あるのよ――って」


「成程!! そうしてこの里の付近に到着するようにするのですね??」


 私の考えを汲み取ってくれたのか玄関の時とは違い、今度は静かに柏手を打つ。


「正解!! この森の主に挨拶をしておいても損はないわよ――って。そして、ユウちゃんと娘を会わせるの」


「両親同士が友人同士って事を知らない二人の反応かぁ。確かに興味をそそりますね」


「でしょ?? 何もかも知っていたら面白く無いわ。自分達の手で色々知って、苦労して、冒険するのが大事なの」


「あんた達は友人でも。娘達はどうなるか分からないわよ――」


 エルザードが面倒臭そうに娘達へと指を差す。



「……」


「オォ!?!? ムォオォ!?!?」

『ウォォッ!? 何じゃこりゃ!?!?』


 あ、あれは一体どういう仕組みで動いているのだろう。


 ユウちゃんが黒鉄をしっかりと右手で保持して左右へ大きく揺らす。


 当然、彼女を踏み台にして頂上へと登ろうと画策した娘はその揺れに対応しなければいけない。


 ちっちゃな御手手で黒鉄に必死にしがみ付いて振り落とされまいと珍妙な面持ちを浮かべていた。



「あはは!! マイちゃん。振り落とされたら怪我しちゃうからね――」


「ムゥ!!」

『助けろ!!』


 大きく左右に揺れ動く目は確実にそう言っていた。


「ユウちゃん?? マイちゃんが困っていますよ。そろそろ置いてあげたらどうです??」


「……っ」


 可愛いお目目をパチクリと動かすと母親の言葉に素直に従って黒鉄を娘と共に、丁寧に床へ降ろしてくれた。


「ハァァ……。オォウ!! ムゥ!!」

『はぁぁ……。ちょっと!! 酷いじゃない!!』


 床に無事に到着した娘が憤りを現してしっちゃかめっちゃかに両腕を振り回すが。


「……ゥ??」


 こいつは何をやっているのだ。


 ユウちゃんは訳も分からない行動を示す赤子に難色を示してしまった。


「ね?? 喧嘩しそうじゃん」


「あれは単なる戯れよ。言葉が通じないのに、楽しそうに遊んでいるじゃない」


「ラァイ!!」

『食らえや!!』


 ユウちゃんの態度に憤りを覚えた娘が真ん丸御手手で柔らかいパンみたいな拳を作り、彼女の肩に当てるが。


「フアァァァ……」


 ユウちゃんはそれをどこ吹く風といった感じで流し。


「オ……。オォ??」

『あれぇ?? これ、強い筈なんだけどなぁ??』


 我が娘は自分で作った可愛い拳を可笑しな顔を浮かべて見下ろしていた。



「だっさ――。殴ったのに効いて無いでやんの――」


「ムギィ!!」

『効いているわ!!』


 エルザードの言葉というより態度を理解したのだろう、ソファをよじ登り彼女の背中に座りポカンッと強く叩く。


「んっ。もうちょっと下かなぁ」


「ホ?? ン??」


「あ、そうそう。そこが丁度良い具合よぉ……。私ぃ。降参しちゃうかもぉ」


「ンゥ?? オォウ??」


 殴った場所が丁度凝った場所なのだろう。


 娘を上手い具合に誘導して己の疲れた部分に可愛い拳を当てさせていた。


 ずる賢い彼女に対しては成長した後もあぁやって弄ばれそうね。



「成長した二人の出会い、か。今から楽しみですね」


「絶対内緒にしなきゃ駄目だからね?? 私達は内緒で会えるけど。この事は私達だけの秘密よ??」


 しぃっと指を立てて口に当てる。


「勿論です。でもなぁ、嬉し過ぎて顔に出ちゃいそうですよ」


「そこはぐっと堪えて。娘達が直面する困難にも出来るだけ手を出さない。本当に困った時にだけ手を貸してあげるのよ。そうやって自分達の力で壁を乗り越えて行く事が成長に繋がる。これが私なりの教育方針かしらね」



 少なくとも私はこうして育てられた。幼い頃は世の仕組みを己自身で学び。ある程度成長してからはこの大陸で技を、魔法を……。



 そして温かい絆を教えてくれた。



 今でもその教えはしっかりとこの心と体に刻まれている。私の大切な人達は本当に大切な事を教えてくれた。


 ね?? 先生達……。貴女達の教えはいつまでも忘れないからね。




「素敵な教育方針です。是非とも御助力させて下さい」


「こちらこそ、宜しくね」


 フェリスへ向かってすっと手を差し出すと。


「はいっ!!」


 気持ちの良い笑みで私の右手を掴んでくれた。



 掴んでくれたのはいいけど。これ、私以外だったら確実に骨の一本や二本折れてそうだな……。



「おぉ!! ここに居たのかぁ!! ユウ!!」


 部屋に色濃く満ちた酷く親密な空気を一人の大男が切り裂いて部屋へと入って来た。


「ちょっと、あなた。お客様も居るのですから一声掛けて扉を開けて下さい」


「わはは!! 俺は気にしない!!」


「あんたは気にしなくても、私達は多大に気にするのよ。ね――?? おちびちゃん」


「グォ!!」

『チビじゃない!!』


 娘が再び真ん丸のパンで背を叩くが。


「ふぁんっ。私、そこ……。弱いのぉ」


 とても人様の家であげる声とは思えない声色で降参を宣言した。


「なんだなんだぁ?? マイとやら。よわっちぃ淫魔の体を貫通出来ないなんて。情けないぞ!!」


 堂々とそして大股で愛娘の下へ歩んで行く。


「拳はなぁ……。こう!! 作るんだ!!」

「ヌゥ!!」


 ボーの作った力の塊を模倣し。


「そうだ!! そして……。一気呵成にぶつけろ!!」

「ルァァイ!!」


 彼の打ち下ろす所作を真似して急造した偽りの拳を振り下ろした。


「やんっ!! こらぁっ。女の子のお尻を叩くなんてぇ、駄目だぞ??」


 エルザードの足がピクっと反応し随分と色っぽい声色で娘を見上げた。


「ヌ?? ウゥム??」

『あっれ?? 全然効かないんだけど??』


 むすっとした目元を浮かべて大男を見上げる。


「それは貴様の鍛錬が足らぬ証拠だ!! あれを見るが良い!!」


「グォッ!?」

『はぁっ!?』


 暇を持て余したのかそれとも無意識の内に鍛えているのか。


「ン……」


 ボーと娘の視線の先には、超絶怒涛に可愛い赤子が筋力を鍛える道具を易々と持ち上げていた。


「見たか!! 貴様らは大魔の血を受け継ぐ者だ。これから行く道は茨の道となる」


「フゥム」


「そう、だから!! 赤子の時分から鍛えねばならぬのだ!!」


「オォゥ!!」


「いや。子供の時ぐらい遊ばせてあげなよ」


 若干可笑しな方向に曲がりくねって行きそうな考えをエルザードがピシャリとへし折った。



「ふんっ。貴様には分かるまい。子を持つ者にしか教育という理念は理解出来ぬのだ。そうだよなぁ?? ユウッ!!」



 うぉぉ……。昔は四王と呼ばれ、私達と激闘を繰り広げた大魔の一人が何て顔を浮かべるんだ。


 目尻は甘々に垂れ下がり口角は天井知らずの様に上がりっぱなしで、挙句の果てにデカイ顔を娘の頬に擦り付けているし。


 親馬鹿とはまさにこの事であろう。



「……ンンッ」


 やっぱり嫌だったんだ。ユウちゃんから救助を求める矮小な声が聞こえて来た。


「どうしたんだぁ?? ユウ??」


「髭が痛いんじゃない??」


 あんたの馬鹿デカイ顔が痛いから離れて、だって。


 そう言いそうになったのをぐっと堪えた。


「駄目だぞ――?? 今からでも攻撃に耐える鍛錬を……。む!? 立つのか!?」


「……ンッ!!」


 ユウちゃんの拙い足がしっかりと大地を捉えてこれでもかと体全身に筋力を籠め、現時点で同年齢最強の赤子が大地に両足を見事に突き立てた。


「おぉ!! 良く出来たぞぉ!! ん?? どうした」


「……」


 ユウちゃんが右手の拳をぎゅっと握り片目をきゅっと瞑ってデカイ顔との距離を測る。


 はは、まさかとは思うけど……。


「攻撃を加えるつもりか!! いいだろう!! ほぉ――らっ。お父さんの御顔はここですよ――??」


 ボーが優しく顔を差し出して顎先へ打てと言わんばかりに指先でちょんちょんっと叩く。


「ユウに出来るかなぁ?? お父さんはこう見えてとぉっても強いんだぞぉ」


「――――。ンッ!!!!」


 ユウちゃんが拳を気持ち良く振り抜いた刹那。




「そうそう!! 拳をしっかりと作って。打ち抜け……。ガルビィ!!!!」


「ッ!?」



 私は我が目を疑った。


 そりゃそうでしょう。


 一歳程度の子が大の大人。しかも大魔の血を受け継ぐ者を自分の拳で吹き飛ばしたのですから。


 小さくてもあの拳は十分な凶器に成り得る。


 的確に拳で顎先を捉えると鈍器で岩を叩いた様な硬い音が鳴り響き、その直後ボーは壁へと飛んで行った。



 そう、飛んで行ったのだ。


 うっそ――……。赤ん坊が持つ力じゃないわよ。



「あらぁ――。ユウちゃんっ。大変良く出来ましたっ」


「フフッ」


 フェリスがユウちゃんのちっちゃい体を抱き上げて優しく頭を撫でてあげた。


 旦那の心配より我が子の勝利を称賛するのは如何なものかと。


 でも、私でも同じ行動をするかも。


「いたた……。お、おい!! 俺を差し置いて、ユウを優先するのか!?」


 ボーが痛む顎を抑えつつ何んとか立ち上がる。


「当然です。出来ない事が出来る様になったら褒めるべきでしょう??」


「ま、まぁ。それは……。う――ん……。そうなのか、な」


 我が子の事だが、いいやそれでも怪我をした己の心配を優先するべきだ。


 そんな情けない葛藤を私達に見せた。



「娘に吹っ飛ばされちゃってまぁ。情けない父親ねぇ」


 エルザードがうつ伏せになったままパタパタと足を動かしつつ旧敵を揶揄する。


「あれは違う。吹き飛んでやったんだ!! 娘の教育上、力の加減具合を教えてやらねばならんからな!!」


「嘘、下手か!!!!」


「喧しい!! 大体、ここは俺の屋敷だぞ!! それに、娘の部屋に許可も無く勝手に入りおって。風邪でも引いたらどうしてくれる!?」


「私が部屋に招き入れたのですよ」


 ユウちゃんをあやすフェリスが言う。


「それならまぁ……」


 目をパチクリさせてきょとんする姿が私の笑いのツボを的確に刺激した。


「ふっ……。あはは!! ちょっと、ボー。父親になって随分と丸くなったんじゃない??」


「それは否定出来ぬな。グシフォスも似たようなものだろう」


「あ――……。そうねぇ。丸くなったと言うより、自分の趣味を優先するようになっちゃったかな??」



 暇を見つけては釣り竿を肩に乗せ。己に都合の良い口実をほざいては麦わら帽子を被り。


 何かしら理由をこじ付けて釣りの装備を整えて飛び立って行くものねぇ。


 結婚する前は尖った棘だらけの岩だったけど。


 今じゃ愛の結晶の力がその棘を溶かし、真ん丸の優しい岩になっちゃっているのかしらね。



「わはは!! あいつは死ぬほど釣りが好きだからなぁ!! 太陽が傾き、月が昇り、朝日が眠い顔を覗かせる迄付き合わされた事もあるぞ!!」


 ボーが腕を組み得意気に苦労話を話す。


 こうやって昔話を得意気に話す姿を見ると、ボーもお父さんになったなぁって感じるわね。


「そりゃお疲れ様。大変だったわね??」


「大変、か。確かに眠気を堪えてまでする事では無いと当時は考えていたが。今となっては良い思い出だ」


「そっか」


「大体……。ネイトとテスラが先に寝るのが良く無いんだ。そして、いっつも!! 俺が選ばれるんだぞ!? 一番早く眠りに就いたとしても体を蹴られて起こされ。ウトウトと釣りを続けるようものなら拳を捻じ込まれ、酷い目に合わせ続けられて来たんだ。それだけじゃないぞ!? 南の島に行った時なんかは……」


 おっと。愚痴を語り尽くそうとする大人の悪い癖が出ちゃったわね。


 申し訳無いけど無視しよっと。


 ガミガミと口を開く大男から愛娘へと視線を落とす。


「ン――。ン――!!」


「あら?? どうしたの??」


 マイちゃんがフェリスの足元にしがみ付き彼女の長いスカートをクイクイと引っ張る。


「あ、それ。抱き上げて欲しい合図よ」


「まぁっ。ユウちゃんと一緒がいいのね?? はいっ。いらっしゃいな」


 ユウちゃんを右手にそして娘を左手に乗せ巨大な岩の前で合流させた。


「オォウ!!」

『よぉう!!』


 マイちゃんが右手をきゅっと上げて軽快な挨拶を交わすと。


「フフ」


 ユウちゃんは挨拶を放った彼女へ赤子らしい笑みを返した。



 今の笑み、やっばいわね。友人の子でこれだけの陽性な気持ちが湧くのだ。


 当人の親はどう感じるのかしらね??


 二人の赤子からフェリスの顔に視線を当てると。




「はぁぁぁ……。駄目ぇ。ずぅっと見ていられるぅ……」


 全ての顔の部分がだらしなく綺麗に溶け落ちてしまっていた。




 でしょうねぇ。その顔を見れば分かりますよっと。


「ンゥ??」

「ン??」


 どうしたんだ??


 二人が自分達の体を支える腕の主を見上げる。


「こっち見ちゃ駄目っ。二人共、食べちゃいたくなるからさ」


「「オォウ……」」


 それは勘弁してもらいたいわね。


 二人が息の合った声を漏らして再び巨岩の前で赤子らしい遊びを始めだした。



「大体アイツはいつも釣れない釣りに興じていてな!? 俺はいい加減にしろと言っても止めないのだぞ!?」


 クドクドと夫の愚痴を零す友人の夫。


「んっ……。ふぁっ……。駄、駄目よ。これ以上力強く抱き締めたら壊れちゃうからっ」


 愛の結晶の前で溶け落ちまいと必死に自我を保とうとするその妻。



 二人が放つ何だか滑稽な姿に呆れつつも、どこにでもある普遍的な幸せな光景の中に身を置いていることに私は人知れず感謝をした。


 どうかこの幸せな光景がこれからも世代を紡いで続きますように。


 温かな景色を眺めて嬉しい吐息を吐きつつここでは無い誰かに向かって己の願いを静かに零したのだった。




お疲れ様でした。


寒さには慣れて来ましたがこうも寒い日が続くとまた体調を崩してしまいそうですよね……。


体調管理には十分注意して日常を過ごしたいと考えている次第であります。


番外編で本編に付いてのお礼を述べるのはお門違いですが、後書きにてお礼を述べさせて頂きます。


ブックマークをして頂き有難う御座いました!!


本編に付いては着々とプロットを執筆していますので投稿まで今暫くお待ち下さいませ。



それでは皆様、お休みなさいませ。

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