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~エピローグ~ 心の安寧の帰還

お疲れ様です!!


連休の真っ只中にそっと投稿を添えさせて頂きます。




 夕と夜の間の中途半端な時間。


 私は一人静かに宿へと戻り己のベッドで足を投げ出しながら文字の波に視線を泳がせていた。


 ふぅ……。肩が凝りますねぇ。


 如何せん。


 同じ姿勢を保ち、しかも殆ど寝ずに同じ作業を繰り広げていれば肩も悲鳴を上げる事は自明の理。


 大分調査も進んだ事ですし、今から我慢していた新刊を読もうかな??



 枕元に置かれている宝物へ横着な左手が自然と伸びて行く。



 いけません。やはり、我慢しないと……。


 これは調査を終えたご褒美として取っておかなきゃ。


 で、でも目次位ならいいよね??


 ほら、銀行強盗さん達を撃退しましたし。それに調査完結まで残り僅かまでこぎつけたのですから。



 手元のお伽噺の本と、枕元に置いてある宝物。



 右往左往する左手に最大限の自制心を与えていると、ピリっとした感覚が全身に広がった。



「……」



 やっと……。やっと、帰って来たのですね。




 体に感じる大変力強い魔力の鼓動。


 それが五つも。


 懐かしく、そして同時に行き場の無い憤りも湧いて来てしまう。



 いけませんよ?? 怒っては。


 彼女達は彼女達なりに心配をして行動に至ったのです。


 私はそれを大らかに受け止めて帰還を祝福しなければいけません。


 でもなぁ。


 私も行きたかったのは事実ですし……。


 己の中で葛藤を繰り広げていると、いつもの喧しい足音が廊下から響いて来た。





「たっだいま――――!! カエデ!! 帰って来たわよ!!」




 私の予想通り、最初に部屋へと入って来たのは赤き龍。


 綺麗な深紅の髪を揺らして笑みを零しながら私の目の前のベッドに座った。



「お帰りなさい。どうでした?? 尾行は??」



 特に表情を変えずに話した。



「もう疲れたのなんの……。いやぁ、人を尾行するってのはあんなに大変だとわねぇ」



 腕を組みしみじみと話す姿にどこか陽性な感情が生まれてしまう。



「大変そうですね」


「そうよ――?? 火もろくに焚けないし、毎日毎日パンばっかりで。流石の私も飽きちゃったくらいよ??」



 成程。食事の懸念もありましたか。


 だから焼けたお肉の香ばしい匂いがする紙袋をわんさかと持っているのですね??


 と、言いますか。それ全部平らげるおつもりで??




「ただいま――!!」


「カエデちゃん!! 帰って来たよ!!」



 今度はユウとルーがいつも通りの笑みと明るさを引っ提げて入って来る。



「お帰りなさい」


「だ――。疲れた……」


「ユウちゃん、おじさんくさいよ??」


「いいんだよ、これで。荷物は後で片付けるから横にならせてくれ――」



 ベッドへ転がると早くも目を閉じて眠る姿勢を取ってしまう。



「ユウ、お疲れですね」


「そりゃそうさ。こいつらの荷物、あたしが運んだんだぞ??」


「は?? 私も少し持ったじゃない」



 ピクリと眉を動かして後ろのユウを睨む。



「こ――んな少しじゃないか。大体なぁ、あたしに頼り過ぎなんだよ」



 人差し指と親指をくっつけてそう話す。



「あんたのカッコいい力が頼りなのよ」

「そうそう!! 私達が安全安心に行動出来るのはユウちゃんの御蔭なんだから――!!」



 調子が良いですね。



「そ、そうかな?? まぁ頼ってくれるのなら?? 頑張った甲斐があるってもんさ」



 えへへと笑い、頭を掻く。



『やっぱりユウちゃんってちょろいね??』

『でしょ?? 私の言った通りにすれば大体の事は罷り通るのよ』



 それはどうかと思います。



「カエデ、今戻ったぞ」


「只今戻りましたわ……。ちょっと!! そこはレイド様のベッドですわよ!? お退きなさい!! この虫が!!!!」



 そして最後にリューヴとアオイが戻り。


 この部屋に満開の花が咲き乱れた。


 赤、深緑、白、灰。


 どれも素敵な色です。



「あぁっ!? 虫はテメェだろ!! 大体、何処に座ろうが私の勝手だろうが!!」


「いいえ!! レイド様に臭気を吸わせる訳にはいきませんわ!!」


「しゅ、臭気!?」


「よいしょ!! はぁ――。やっぱこの姿落ち着くなぁ」



 狼の姿になったルーがレイドのベッドにお座りする。



「ルー。そこは主のベッドだ。自分のベッドへ戻れ」


「いいじゃん!! マイちゃんだって乗ってるんだし!!」


「お退きなさい!!」


「はっ。テメェが去れ去れ」



 う――ん。


 会話に華が咲くのは構いませんけどね??


 もう少し抑えてくれませんか。


 数分前の静寂がもう懐かしく思えてきました。



「とう!! ね――カエデちゃん。どう?? 調べ物終わった??」



 マイを飛び越えて一頭の狼が私のベッドに飛び乗る。



「ルー!! 勝手に私の頭上を飛び越えんな!!」


「あ――。はいはい、ごめんね――」


「進捗状況は頗る良いですよ。全てを読破するまでもう一息、そんな感じです」



 綺麗にちょこんと座るルーに言ってやった。



「おぉ!! 流石はカエデちゃんって感じだねぇ。ふむふむ……。凄い凄い」



 まぁ色々あったのですが。


 全てを語るには私の体力が持ちそうにありません。


 その機会が訪れたら、いずれ。



「うん?? なぁに?? この本……」



 枕元の新刊に鼻をくっつけフンフンと匂いを嗅ぎだす。



「先日発売された新刊です。鼻水がくっつくので鼻を放して下さい」


「あぁ!! 酷い言い方するね!!」



 本を開いたまま、金色の瞳をじろりと睨んでやる。



「だ、駄目だよ!? 睨んでも!!」


「そうですか。では、失礼して……」



 灰色の体を押し退け、新刊を汚されない様に膝元に置く。



「んもぅ。邪険に扱って」


「レイドはいつ帰還するのです??」



 本の続きを読みながら話した。



「どれ位かな?? マイちゃ――ん。レイドっていつ頃帰ってくるかな??」


「さぁ?? 一時間後位じゃない??」



 自分のベッドに戻り、龍の姿になったマイが話す。


 もうちょっと足を閉じて下さい。行儀が悪いですね。



「レンクィストでレイド様を見送りして戻って来ましたので。凡そ、それ位かと。カエデ、迷惑を掛けましたね?? ありがとうございました」



 アオイが正面に座り、私の瞳をしっかりと捉えて話す。



「いえ。大丈夫です」


「ふふ。無理はしない方が賢明ですわよ??」


「う、うん。ありがとう」



 こういう時、アオイはちゃんと人の気持ちを汲んでくれる。


 それが心地良いんですけどね。


 マイにも私に向けてくれた温かい気持ちの欠片でも良いから向けてあげれば良いのに。勿体無い……。



「所で……。誰かこのベッド使用しました??」



 流石、鋭いですね。


 匂い……。違いますね。先生の残留魔力といった所でしょうか。


 あの人の桁違いの魔力は日を跨いでもその余韻を残しますので。



「先生が此方へ参られまして。その勢いでそちらのベッドを使用していました」


「まぁ!! 何と言う事でしょう!? レイド様のベッドをエルザードさんが!? こうしてはいられません!! 私の香りをシーツに染み込ませなければ……」



 そう話すと、しゅるりと着物を脱ぎ。


 下着姿でレイドのベッドに潜り込む。


 こういう事をしなきゃ、素直に尊敬するんだけどなぁ。



「アオイちゃん。手伝おうか??」


「結構です!! 獣臭いのは頂けません!!!!」


「言い過ぎだよ!! とぉっ!!」



 私のベッドが弾むと灰色の塊が隣のベッドを強襲する。



「ふんふん!! おぉ……。確かにエルザードさんの匂いが残ってる……」


「ちょっとぉ!! どこに鼻をつけていますの!?」


「え――?? ここだよ――??」


「あはは!! お止めになりなさい!!」



 あ、頭が痛い……。


 誰かこのはしゃぎ回る花達を鎮めて下さい。


 目頭をきゅっと抑え、喧噪に耐え忍ぶ。



「カエデ、済まなかったな。留守にして」


「いえ。構いませんよ」



 リューヴが狼の姿で私のベッドに腰かけた。



「それより、端的に尾行の内容を聞かせて貰えますか??」


「あぁ、構わん。主は西門で同期の兵と合流し……」



 リューヴが説明している間にも騒ぎは収まる事は無く。



「んほ――っ!! この肉っ!! めちゃうまっ!!!!」



 時折聞こえにくい箇所があったが。


 それは前後の文脈で補完して頭の中で今回のレイドの任務を理解した。


 レンクィストから護衛を始め、その道中。あの北の大森林で出会った大蜥蜴に襲われたが辛くもそれを撃退。


 任務は無事成功して現在帰還中という事ですか。



「…………と、いう訳で主を見送り。私達は一足先に戻って来たのだ」



「ふむ。一人の力で大蜥蜴に勝利を収めたのは素晴らしい結果ですね。あの女首領は並大抵の力では倒せませんよ??」


「流石、我が主だ」



 ふふんと胸を張り大きな狼の顔を上げる。


 いや、リューヴが偉い訳じゃありませんよ??



「日頃の鍛錬の賜物ですね」


「それの効果は間違いなく現れているぞ。私達相手に互角以上の力を有している。それが龍の力とやらを全開放したら一体どうなるのか……」



 彼の力が楽しみだ。


 そんな表情を浮かべている。



「それは……控えた方がいいでしょうね。ほら、前回の一件もありますし」


「そう、か。そうだな。暴走して二の舞になるのは……。あの様な痛ましい姿はもう二度と御免だ」


「私もそれには賛成です。…………。リューヴ、危ないですよ??」



 彼女の横顔目掛けて物が飛んで来たので一応忠告してあげた。


 まぁ、言わなくても避けると思うけど。



「ふんっ!! 誰だ!! パンを投げたのは!!」



 ほらね。


 頭を素早く動かし、今しがた飛んで来たパンを躱した。



「ユウちゃんだよ!!」


「はぁ!? ルーだろうが!!」



 どっちでもいいですけど、食べ物を粗末に扱うのは感心しませんね。


 ベッドに落ちたパンを拾い上げてモムモムと食み、じろりとユウ達を睨んでやった。


 このパン、美味しいですね。



「全く……。貴様らと来たら!! …………うんっ!?」



 流石は狼。


 レイドの気配を察知しましたね。


 私も今しがた彼の内に秘める物を感知しました。


 はぁ……。漸く会えますね。



 彼が一歩一歩確実に此方へ近付いて来ると、私の心臓も彼の歩みと同じ速度でトクントクンと嬉しい笑みを零してくれる。


 ほら、もう直ぐ……。


 扉一枚隔てた位置に彼が到着すると、私の心がキャアキャアと騒ごうと画策してしまいますが。それを必死に御して本の文字へと視線を泳がせていた。




「ただいま!! 今戻ったぞ!!」




 彼の温かな声が私の心臓をトクンっと一つ大きく鳴らした。


 元気そうで何よりです。



 ………。少し痩せました??



「レイド!! お帰り――!!」

「レイド様!! お待ちしておりましたわ!!」


「のわっ!!」



 アオイがレイドの顔に覆い被さり、ルーが押し倒す。


 凶悪な二人組の攻撃に目を白黒させてその場に倒れた。



「お――。予想通りの反応だな」


「ふんっ。帰って来るのが遅い!!」


「主を困らせるな。ルー、そこを退け」



 皆は久々じゃないから、私にも声を掛けさせてください。



「…………レイド。お帰り」



 始まりの言葉は、うん。


 これですね。


 黒き甲殻を備えた蜘蛛にしがみ付かれているレイドに向かってそう話した。



「た、たふぁいま……」



 アオイの腹部が邪魔をして声がどもる。


 もう。邪魔ですねぇ……。



「アオイちゃん!! 退いてよ!!」


「貴女こそ汚らわしい毛皮をレイド様に擦り付けないで下さいます!?」



 蜘蛛を引っぺがし、狼の布団を退かすと自分のベッドへ倒れ込んだ。



 やっぱり凄く疲れているんだよね??


 大きく息を漏らす彼を只見つめる。



「どうでした?? 任務の方は」



 疲れていると思いますが、もう少しだけ。


 私と話して下さい。



「いやぁ。もう疲れたの一言に尽きるよ。詳しくは今度話すけど、あいつらとは暫く行動を共にしたく無いのが本音です」



 布団に顔を埋めて私に返事をしてくれた。



「そうですか。今日はゆっくり休んで下さいね」



 お疲れ様。


 横たわる彼にそう声を掛けて、本に視線を落とした。


 もっと話を聞きたいけど、それはまた明日以降で。


 体が大事ですからね。



「そうする……。三日後に任務開始だからそれまでゆっくりするよ」


「ねぇ――。レイド」


「ん――??」




 灰色の毛で覆われた狼の足がレイドの睡眠を阻害する。



「任務のお話聞かせて??」


「今日じゃなきゃ駄目か??」


「少しでいいからさ!!」



 彼は疲れているのですよ??


 休ませてあげて下さい。



「任務はさ、俺と同期の奴と一緒に行う事になったんだ」


「へぇ!! 久々に会えて嬉しかった!?」


「まぁね。前線で張り付いている分、会う機会は少ないからね。んで、レンクィストまで行って……」



 先程リューヴから聞いた任務内容と殆ど変わりないですね。


 彼女達がちゃんと尾行を続けた証拠です。




「…………。それで聞いて驚くなかれ。何んと!! 北の大森林で会敵した大蜥蜴の連中と再び戦う事になったんだ!!!!」



 私も魔法の使用を禁止されたら、彼女に勝てる自信はありませんから。


 それを一人で倒しちゃうなんて……。ちょっとだけ、ううん。


 言葉には出しませんが格好いいと思います。



「ふぅん。それは大変だったねぇ」


「ほぉん。ユウ――。パン取って――」


「おい。まだ食うのかよ」


「それはお肉が入っているからいいの!!」




 当然、尾行をしていた者達にとっては実際に己の目で見て来た内容ですので、代わり映えがしないのでしょう。


 今も好き勝手に部屋の中で動き回っていた。


 彼も彼女達の反応を見つめて、何だか肩透かしを食らった顔に変化している。


 そりゃそうでしょう。


 敵と一戦交えたのに驚嘆の声が上がらない方が不思議ですから。



「蜥蜴さん元気にしてた??」


「え?? あ、あぁ、うん。元気に略奪行為を繰り広げていたよ」



「そうなんだ――。あっ!! そう言えばさぁ。おぉ――、そこそこ……」


「どうした??」




「レイドのお友達の女の子。首、大丈夫だった?? ほら、バチ――ンッ!! て女首領の蹴りを鞍ちゃったし」


「あ、馬鹿!!」



 ルーの一言にマイが数舜で噛みついた。


 あはは。やっちゃいましたねぇ。


 馬脚を露すとはこの事です。


 レイドが一瞬思考を繰り広げ、恐らく私と同じ答えに行き着いた筈。




「……………………は?? 何でまだ言っていない事を知っているの??」



 ね??


 あの怒った顔がそれを物語っていた。



「え、え、えっとぉ……。ほ、ほら。大蜥蜴の人達は団体で行動しているし?? 当然食らっちゃうかなぁって。アハハ――……」



 ルーがそっぽを向いて話す。


 彼女は嘘を付くと、明後日の方向を向く癖があるのですよ。



「こっちを向きなさい」


「ふぁ、ふぁい」



 頬をむぎゅっと掴んで正面に向かせる。


 子供に平手打ちを食らって形が変わってしまったアンパンみたいな顔ですね。




「怒らないから、本当の事を言って御覧??」


「本当!? 実はね、カエデちゃんを残して私達が尾行を続けていたんだ。ほら、もしもの事があるといけないでしょ??」



「…………へぇ。カエデを『一人』 で残して尾行を続けていたんだね??」



 そうです。


 私、一人でお留守番していたのです。


 もっと説教をしてやってください。


 私の代わりに皆様へ天誅を。



「うん!! 大蜥蜴も倒して、女首領もたふぉ……。ふぁに??」


「話している最中、申し訳ない」



 彼の手が雷狼の頬を掴んで話す。



「尾行をするのは俺の身を案じての行為ってのは百歩譲って理解出来る」



「あ、ふぁい……」



 彼の怒りを理解したのか、尻尾がしなりと垂れ下がり、それと同時に耳も情けなく下がり始めた。



「もし、一人取り残されたカエデに何かあったらどうするつもりだったんだ??」



 ふふ。気を遣って頂き本当に嬉しいです。




 …………。


 あら??



「「「「…………っ」」」」



 マイ達がレイドの死角に入り、こそこそと扉へと向かって行く。




『静かに!!』



 マイが私と目が合うと、人差し指を一本立てて唇に当てる。


 はぁ……。分かりました。



『貸し、一つですよ』



 マイ達にだけ届く念話を送ると、それが届いたのか。


 全員がこくりと頷き、そそくさと外へ姿を消した。


 こういう時だけ、息が合うから困ったものです。



「まふぁまふぁ――。カエデちゃんが一人でも……んむっ!?!?」


「それを怠慢っていうんだ!!!! それに!!!! 頼み事もカエデ一人に擦り付けるのも了承し難いな!!!!」



 驚く程の声量でルーを叱っている。


 そんなに怒る程かな??



「私だけ怒らないでふぉ……」


「マイ!! お前も……。あ、あれ!? アイツ等は何処行った!?!?」



 キョロキョロと周囲を見渡し、姿を消したマイ達の姿を探している。



「レイドの怒りを察知したのか、音を立てずに部屋から出て行きましたよ??」



 死角に入っていましたからね。


 仕方がありません。


 静かに扉を指して話した。



「くそっ!! あいつらは後で説教だ!!」


「ほ。じゃあ私はもう御咎め無しって……。ふぉんむっ!?」


「んなわけあるか!!!!」


「顔、とれふぁう!!」



 ふふ。


 可笑しな顔ですね??


 自然と口角が上がり、笑い出すのを必死に堪えた。



「マイ達が帰ってくるまで…………。みっちり説教してやる」


「えぇ――!!!! ふぉんなぁ!!」


「喧しい!! 時間は十分にある。覚悟しろよ??」


「ふぁ、ふぁんべんして――!!!!」



 ふふ。元気そうで良かったです。


 情けなく尻尾を垂らす狼に対して説教をする彼の姿を見て安堵の息を漏らした。


 色々あったみたいですが、彼の物語を聞くのは明日以降にしましょうか。


 今日は深夜まで説教が続きそうですし。




「どこから尾行していたんだ!?」


「えっふぉ――。西ふぉんの先からふぇす」


「そんな早くから!? じゃあずっと尾行していたんじゃないか!!」


「いふぁいっ!!!! ふぉっぺ、取れるっふぇ!!!!」



 大体、マイ達はずるいです。


 私を一人残して……。


 私だって本当はレイドの後を付けたかったのに。




「いいか?? よぉく聞け。俺が魔物達と行動を共にしているのがバレたらどうするつもりだったんだ??」


「距離をとっふぇ尾行していたし……。それは抜かりないふぁと??」


「それでもなぁ!! バレるかもしれないだろ!!」


「んんふぅ――――!!」



 お伽噺、伝承の類の話の進捗具合を報告したいけど……。


 今でなくてもいいかな??


 ルーには申し訳ないとは思うけど、もうちょっと叱られて下さい。


 私を残していった罰です。



「カエデふぁん!! たすふぇて!!」


「…………今、何か仰いました??」


「あ――!! 拗ねてるでふぉ!! 謝ったふぁん!!」


「謝罪は受け取りました。しかし、許すとは一言も言っていませんよ??」


「え――!!!!」



「ほらな。カエデが一人で苦労していたのに……。お前達って奴は!!」



「ごふぇんなふぁ――――ぃいっ!!」



 うふふ。つい意地悪しちゃいました。


 本当は微塵も怒っていませんが、細やかな私の仕返しを受けて下さいね。


 本当にこの八日間は忙しかった……。



 顎が外れる勢いで大きな欠伸を放ち、体を弛緩させて今も叱られている狼に視線を移した。



「んんっ!!!! ン゛ン――ッ!!!!」



 左右に顔を引っ張られてもう原形を留めていませんね。


 可哀想と思う反面。


 因果応報とでもいうのでしょうかね。


 彼の身を案ずる気持ちは理解出来ますけど、そこは彼を信じる心も持つべきです。


 ふあぁぁ。駄目だ。


 猛烈に眠たい……。


 もうずっと起きている気がします……。


 ベッドの上で横になり長い瞬きを始めた。



「カフェデちゃん!! 眠っていふぁいでたすふぇて!!」


「今日という今日は許さないからな?? 頬っぺたの筋肉が削ぎ落ちてもこの手は絶対に放さん!! それと!! 鼓膜の裏側にこびり付いて一生取れない説教も続けてやる!!」


「ふぃ、ふぃ――ッ!!!!」



 レイドの怒鳴り声と雷狼の情けない声がいつしか子守歌へと変わり。彼が傍らにいるという安心感が心に平穏と安らぎを与え。眠る事になんの躊躇も無くなる。


 明日、色々お聞かせ下さいね。


 口元を忙しなく動かす彼の顔を見つめ、私はこの八日間で初めての安眠を得る事が出来たのだった。



お疲れ様でした!!


いやぁ、やっと番外編の投稿を終える事が出来ました。


何が何でも連休中に本編を再開させる為に十指が悲鳴を上げても動きを止める事無く書き終えました!!!!


何だかちょっと感無量な気分ですね。番外編完結したお祝いとして評価して頂けたら嬉しいです!!



そして、皆様お待たせしました!!


次回の投稿より本編を再開させて頂きます!!!!



次の御使いは本編でも述べた通り、彼の後輩への指導になります。


その前に日常パートを挟むのですが、そこでちょっとしたすれ違いが起きます。そのすれ違いの問題を解決し終えて指導が始まりますので、どの様なすれ違いなのか。本編で是非堪能して頂ければ幸いで御座います。



又、このような番外編も御用意しておりますので始まる際は本編後書きにてお知らせします。


それでは皆様、次は本編でお会いしましょう!!




~追伸~



先程、投稿を終えた時にいいね。並びに評価をして下さった事に気が付きました!!


温かい応援をして頂き本当に有難う御座いました!!




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