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プロローグ ~暇そうで多忙を極めた分隊長殿のお留守番~


 皆様、お待たせしました!!


 本日より番外編を連載させて頂きます!! 記念すべき第一回の主人公は勿論……。


 それでは御楽しみ下さいませ。







 ~この御話は本編第三章第三十八話から、第五十五話の間に起きた出来事になります。~










「では、いってらっしゃい。私はもうひと眠りしてから作業を開始します」


「カエデちゃん!! ありがとうね!!」


「皆さんに、貸し一つですからね??」


「うぅ……。分かったよぉ」




 まだ朝も早い時間。


 彼女達が姿を消すと、部屋の中に久方振りの静寂が訪れた。


 私は自然に閉じようとする瞼に抗う事無く従順に従ってそっと瞳を閉じると、再びシーツの中へ静かに潜って行った。



 はぁ……。これ程静かなのは久々ですね。



 以前は静寂が漂う空気の中、本を読み漁り魔法の研究に勤しんでいる事が多かったですが……。


 今はその静寂が少しだけ寂しく感じてしまいます。


 変わった……、のかな??



 本を読む私。術式の構築に勤しむ私。


 海の中を散歩する私。


 思い出の中に居る私はいつも一人であった。



 今はその一人が……。妙に辛いかも。



「――――。人は変わるのですね」



 シーツの中でぽそりと言葉を漏らす。


 当然、返って来る言葉は無い。


 いつもだったら私の小さな呟き声を彼が汲み取ってくれて。



『カエデ?? どうした??』



 不思議そうな私の顔を見下ろすのに。



 頭の中で彼の声が乱反射して、今しがた私が放った言葉に言葉を添えてくれる。


 私の心を何処までも温めてくれる優しい顔……で。



 むぅ、参りました。


 正直に申しますと私は今、寂しさを大いに感じています。


 昔の私なら到底信じられませんがね。



 悶々と湧き起こって来る寂しさを誤魔化しながら無意味に寝返りを打ち続けていた。



「――。このままでは駄目ですね」



 先ずは体を覚醒させて、それから屈強な寝癖を直してから図書館へと向かいましょう。


 彼の依頼を完遂させる為にも行動あるべきです。


 そう考え、まだまだ眠ろうとする体に鞭を放ち。


 繭から生まれたばかりの幼虫の如く、温かいシーツの中からもぞもぞと這い出ると若干の重さが残る体で支度を整え始めた。




 続きます。

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