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緊急会議

あけましておめでとうございます。


ふざけます。


思う存分、というかストレス発散みたいにはっちゃけたらごめんさい。




 ある高校の放課後、あるクラス。


 そこには、ある一人の男子生徒が教卓の前に立っていた。


 中性的な容姿、男子にしては後ろ髪が肩にかかる程の長さで耳に髪にかけている。前髪も目にかからぬ様に分けてはいるが、それでも少し長い。


 身長も170は超えており、高校生にしては平均的だ。


 彼は【近衛(このえ) 一心(いっしん)】。



 「皆、集まってくれてありがとうございます」



 彼の前に席に座るのは、彼と同じ男子生徒のみ。


 勘違いしてはならないが、この高校は共学である。そして一クラスの半数は女子生徒。故に、この場にいるのはこのクラスの男子生徒のみ。


 そして近衛に対してこの場にいる3分の1の男子生徒は明らかに敵対している様な様子。残りの3分の1は、何かを諦めている様子だったり、笑いを堪えている者、デュフフっと声を漏らす者、頭を抱えている者だ。



 「で、何だよお前。オレ達に何かようか」



 そう言うのは、剣道部の【神崎(かんざき) (ゆう)】。目付きの鋭い美形な男子生徒だが、近衛に対しては興味は無いが、部活時間が削られて少々苛ついている。



 「はい。とっても大事な、事なんです。それも、深刻な……」


 「へぇ……いいぜ。テメェがそんなに焦るなんざ余程の事だ。聞いてやるよ」


 「ありがとう、悠」


 「名前で呼ぶんじゃねぇ。さっさと要件を言え」



 殺気をぶつける神崎に涼しい顔で流す近衛は本題へ移る。


 

 「ボク、この前姉に言われたんです。『お前、ハーレム主人公か』って…………」



 その言葉に神崎の殺気は消え、その代わりに他の男子生徒の殺気は膨れ上がる。それをヒシヒシと感じる近衛。そして更に頭を抱える者、堪えていたのが崩壊して吹き出す者もいた。


 だが、この場にいた男子生徒は近衛の言葉に認めたくはないが確かであった。つまり、事実なのだ。


 しかし、同時に彼等は「いよいよ気付いたが鈍感クソ野朗が!」と叫ぶ者もいる。



 「でも、ボクずっと思っていたんです」



 何が、と思う男子生徒は深刻そうな表情の近衛にただならぬ気配を感じていた。そして神崎は興味無さそうな様子でスマホをイジる。



 「なんで――――――なんで、こんなボクがモテるのか、とッ!!!」


 「「「表に出ろォッ!ブチ○すッ!!!」」」



 近衛のその言葉に男子生徒達は殺気を爆発させ、今にも殴りかかろうとする。


 確かに、近衛はモテる。


 幼馴染み・後輩・生徒会長・隣のクラスのマドンナ・男装同級生。


 この五人は特に近衛に対して好意を抱き、その想いを寄せている。そして誘惑する者や意識を向けさせようとする者、そして独占しようとする者だ。


 それに対して一切気づかなかった近衛ではあったが、姉が痺れを切らしたのか全部教えたのだ。そして理解し、自覚したのだ彼は。


 彼は殺気を向け、殴りかかろうとする彼等に対して―――――――。



 「ですよねっ!!!」


 「「「へっ?」」」



 近衛は、彼等の怒りに同意したのだ。


 激しく、同意したのだ。



 「皆さんもそう思うでしょうッ!!!こんな、ボクがッ!!!なんで、全生徒から慕われる生徒会長やこの高校のマドンナ――――そして、幼馴染みに後輩にも……ッ!!!こんな、何処にでも居そうなボクが…………」



 そして、誰かが言う。



 「いや、顔だろ」


 「所詮、女は顔で選ぶんだよなぁ」


 「これだから……」



 彼等は核心を付く。


 しかし、彼等の言葉に物申す。



 「顔ならッ!!!サッカー部の部長や、テニス部の副部長ッ!!!そして生徒会書紀ッ!!!あと、美術部の後輩くんもメガネ外したらすっごいイケメンだよッ!!!そっちと比べれば、ボクはどうなんですかッ!!!」


 「「「…………」」」



 彼等は沈黙する。


 確かにイケメンというカテゴリーならば、近衛が述べた男子生徒はかなりイケメンだ。性格は不明だが、近衛よりイケメン(・・・・・・)である。


 彼等もモテる。


 超モテる。



 「だからこそ、わからないんです。何故ボクがあの五人から好意を持たれているのか……最初は単なる自意識過剰だとか思ってたけど、その……えっと、ぁの…………」



 何かあったのか、或いは確実に好意を寄せられている心当たりがあるのだろう。先程まで堂々と話していた近衛は最後辺りに「乙女かっ!」とツッコみたくなる程、頬を赤らめ、両手で口元を隠しながらごにょごにょと小さい声で何かを言っている。


 そして、神崎はそのまま部活へ向かってしまったのだ。聞く意味なし、と判断したのだろう。



 「そ、それよりッ!!!ボクの、何処が良いのか、全くわからないんですッ!!!」


 

 真剣な様子に、仕方が無くクラスメイト達は考える。


 するとデュフフと声を漏らしていた、ザ・ヲタクの様な容姿の男子生徒は言うのだ。



 「こ、近衛氏。貴殿はその五人を助けた事はあるのではないですかなっ」


 「えっと……確か、後輩はストーカー被害に合ってたから暫く一緒に帰ってたよ」


 「でゅ、デュフフっ。ほ、ほかにはっ」


 「生徒会長は…………うん、助けたことはあるけど」


 「もしや、その他にも多数ではないですかな?」

  

 「ま、まあ困っていましたし」


 「ふ、ふむふむ……でゅ、デュフフっ!お、恐らく彼女達は、近衛氏に頼れる男だと思っているが故に、ではないですかな?」


 「そうなんですかね?」


 「お、恐らく、その中にな【吊り橋効果】もあるかもしれませんぞぉっ」


 「!」



 吊り橋効果。


 その言葉に、近衛は衝撃を受けた。


 いや、理解したのだ。


 彼女達の中には、ストーカーだけではなく痴漢や強姦未遂から助けた事はあった。


 それが、吊り橋効果なのだ。


 だからこそ、その恐怖心が恋愛感情だと勘違いしたのだ、と。


 吊り橋効果なら有り得る、と納得するクラスメイトは何人かは居たものの、納得はしつつ本当にそれだけなのか、と疑問視する者もいたのだ。



 「な、なるほど……!吊り橋効果の、せいだった訳ですねっ!」


 「う、ぬ?近衛氏、確かに吊り橋効果はあったかもしれませぬが、それは一部であって恐らく近衛氏自身の人徳―――――――――」


 「ありがとうございますっ!それなら、彼女達の勘違いを正す必要がありますっ!勘違いははやく解かないと―――――」


 「こ、近衛氏?拙僧の話を最後まで――――――」


 「ありがとうございましたッ!では、失礼しますッ!!!」



 逸早く勘違い(※勘違い)を解消しようと近衛は風の如く教室から出ていってしまう。特にヲタク君に感謝をしていたのだが、当の本人は不味い状況になったのではと顔面蒼白してしまう。


 だが、一部の男子クラスメイト達はこのまま誰か一人を振る・振られれば次は自分とワンチャンあるかも!と浅はかな下心満載な者もいたので、中にはヲタクを感謝することになる。


 翌日――――――。


 近衛は男装女子に腕を組まれながら登校していた。


 男装女子は腕を組みつつ、幸せそうな表情。


 一方の近衛は――――――――女子生徒の制服を着用し、首には首輪が付けられていたのであった。


 死んだ様な表情をしながら…………。



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