第12話 績
突如現れた、潤野 績。
その姿は、雪嘉に似ていたが、大人の雰囲気を現していた。
眼は、きらめきがなく、光が、ないようにも思える。
服装は、黒いマントと、それを留めるボタンが一つ。
胸元にまで伸びた、十字架のネックレスと、白いTシャツと黒いジーンズがある。
そのジーンズの下あたりには、ちゃいろのブーツ。
「これが…潤野 績…」
「大洞 由愛は、元気か?」
「…大洞…?」
と、雪嘉は、言われて、疑問に思う。
大洞という名は、由愛さんの、前の名前で、結婚をしているのだから、大洞というのは、おかしいと感じたのだ。
「由愛は元気かと聞いたんだ」
「まあ…一応、子供もいますし」
なんの会話だよこれ・・・。
と思う。
その隣で、さっきから、突っ立てる、わけがわからない、人物がポツンとひとり。
こう言うを、脇役というのだと、つくづく思う。
「…今、脇役と思ったろ」
訂正。
‘良い役についた‘とつくづく思う。
「えっと、月夜だったか?」
「はい」
「…そうだなぁ…父の顔を見せたいものだが…」
「もう、心残りはない、未練もない、僕は、死んでしまったのだからな」
「績さん…あんた、すごいよ」
今の僕に言えることは、‘今を大切にしろってことさ‘
と、績さんは、そのセリフを言い残し、俺の肩に、手を置いた。
「最後に、君に告げよう、君が、未来に生きるもう一人の僕ならば、その存在を、過去の存在
に消されないことだ。 つまり、この僕にな…未来の僕よ」




