競馬予想
我輩は広げた新聞の真ん中に戻り、佳子が予想したであろうレースに注目した。
新聞に書かれていた予想と比べてみると、佳子の予想はその内の一人が予想したものと同一であった。
なるほど。
佳子が予想したのはこのレースであり、かつ、佳子の予想が3―1―5であることは確か、であろう。
我輩が前世で利用していた理論を用いると、既存のデータを既知数として、起こりうる可能性が高い最適解を統計処理により、予想値として計算可能である。
あいにく、この新聞から手に入る情報は、各馬の過去1レースの情報のみである。
情報量としては十分ではないが、最低の必要条件は満たしている。
我輩は、佳子の事務机から、関数電卓を手に入れた。
しかし、猫の手というのは、電卓を打つのには適していない。猫が数学者であることの、有限数の欠点要素の一つである。
さて、我輩は計算を完了した。
我輩の計算によると、1番の馬が3位以内の入る可能性は35%以下である。
それに対して、4番の馬が3位以内に入る可能性の方が高い。80%である。
また、6番あるいは7番の馬が3位以内に入る可能性が60%である。
一位になる馬は、3番である。これは95%の確率で正しいと予想できる。
従って、我輩の予想は、
3―4―6
である。