入学と怒り
この学校では、術師と、一般生徒が1:1で在席している
国同士の因縁で、子供同士が争いを起こさないようにするためである
午前は、一般生徒に交じって授業を受け、午後に呪術の授業を受けることになっている
ガタガタと音を立てる椅子に座りながら、校長の長話を聞いている
ミサがすやすやと寝息を立てながら、俺にもたれかかっている
こいつみたいに気楽に生きていけたら、楽なのにな
「主席 園川 詩織。前へ」
悪寒がした。
園川 詩織は美しい容姿で一般生徒を魅了し、微笑む
呪力が濃く、呪術師を恐怖に飲み込む
「あれが園川家の令嬢か」
「きれいな人ですねぇ」
「それもそうだが、あの呪力量。親父レベルだ」
「じゃあ、紅葉様のほうが呪力多いじゃないですか」
「まぁ、・・・って起きてたのかお前」
もたれかかりながら寝ていたミサがニコリと笑い、園川へと視線を移す
「これで起きないわけないじゃないですか。」
「お前を侮ってたよ」
「失礼な」
「それより、どいてくれないか。いっぱん一般生徒まで敵に回しそうだ」
「やですー」
無邪気な笑顔で腕をつかんでくる
「昔はくすりともしなかったくせに」
「紅葉様のせいですよ」
式が終わったのか、ぞろぞろと生徒が退散していく
「行くぞ、組み分け試験の時間だ」
「はい。陽介さんはどこですか?」
「先行ったんじゃないか?」
ミサとグラウンドに出る
すると、陽介が5人くらいに囲まれて蹴られていた
「おまえら、なにをしている」
紅葉の怒りが伝わったのか、ミサがブルりと怯える。
「あぁ?こいつが伊野家の人間のくせに俺の彼女、ナンパしやがったんだよ。だから二度とナンパができないようにしてやってんだ」
と一人の男子生徒が答える
「何やってんですか」
ミサがあきれ顔で陽介を覗く
「こいつ、式でこの女とイチャイチャしてたやつですよ」
取り巻きの一人が彼女をナンパされた男子生徒に告げる
「ミサちゃん。何やってんだよ」
「いやぁ、見られてたなんて」
と照れ臭そうにミサが言う
「やっちまえ」
「俺の従者を気付つけた罪は重いぞ?」
怒りで震える紅葉には何の言葉も届かなかった
呪符を使い、5人の身動きを止める
「え、いや、今回は全面的に陽介さんが悪いですよ?」
ミサの声も耳に届かず、式神用の呪符を使い、そこから無数に出てきた虫で5人を埋めた
「虫ッ」
ミサと陽介には、精神訓練として使うから、トラウマになってしまっているようで
ミサは、怯えた顔で紅葉の腕をつかみ震えていて、陽介は失神してしまった
そうして、5分が経過したころに開放した
5人組は真っ青な顔をして、口元を抑え。目を閉じ小さく丸まっている。
虫がいなくなっても尚、身震いをしている。
「もう大丈夫ですよ」
「その・・・、彼女ナンパして悪かったな」
と従者二人が5人組を慰めている
「そうですよ、陽介さんがナンパなんてしなかったら」
「だって、OKもらっちゃったんだもん。後戻りできなかったから」
「OKもらっちゃったんですか。彼女さんも彼女さんですね。そのどや顔きもいですやめてください」
陽介はナンパ成功した勝者のどや顔から悲しみの顔に変わる
「ナンパしたから殴られてたのか?」
「え、あ、はい」
「・・・責任もってこいつを処分する。勘違いをしたすまない。」
政治用の呪術を使い、トラウマを祓った
少し残ってしまったが
「とりあえず、一発殴るぞ。陽介」
「紅葉様の一発は一撃で俺、死にます」
「大丈夫だ、瀕死程度にしてやる」
「嫌ですー。むりむり」
陽介が逃げる
「俺から逃げられるとでも?」
「うぎゃー」
という鳴き声が校庭にひびいた