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カンロ  作者: ミニト
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1 2053年のプロローグ

 学校の終業を知らせるチャイムを聞くと、今でもあの時を思い出します。

 私が15歳だった頃は、暗く陰鬱なものが流行っていた時期で、2000年になる前に、ノストラダムスの予言で世界は終わるかもしれない、そんな荒唐無稽なことを皆が半信半疑で考えていて、それでもどこか世界が終わるかもという熱狂に包まれていた時期でした。

 私はといえば、その頃はそういったものに、これっぽっちも興味もなくて、恋愛の事しか考えていませんでした。

 今なら色々な娯楽を愛するようになりましたが、高校生の頃は好きな男の事しか考えていなかった。そういう時期だったといえばそれまでですが、あの頃は自分のすべてが恋に集約されていました。

 それが事件の後では恋愛というものに興味も失せてしまい、他人の肌や深く関わるのが怖くなり、できるだけ恋愛、友達と深い付き合い等の、思い出に残るようなものは避けて生きるようになってしまいました。

 もちろん、私も人間です。人肌が恋しくなり、誰かとお付き合いをしたりするのですが、その度に後悔をして、また二度と人と深く付き合うのはやめようと思いながらも、また時間が経てば誰かを求めずにはいられない、同じ過ちを繰り返してしまうそんな人生でした。

 あの事件は、私をそれ程までに変えてしまいました。

 実は事件の取材にやってきた方は随分前にも何人かいらっしゃいましたが、頭がおかしくなった女の話か、都市伝説の話程度にしか聞いてもらえず、そんな反応から辟易してしまい、あなたからまた事件の話を聞きたいと連絡がきたときは断る気でいました。

 でも、私も69歳になり、いつ死ぬか分かりません。だから誰かにあの時の事件を詳細を誰かに伝えて覚えておいて欲しいと思ったのです。

 これだけはお伝えしておきたいのです。記憶というのは時間がたてばあやふやになるものですが、今からお話することは、何十年前のものだけれども、決して一切の間違いはないと断言します。なぜそこまで言い切ることができるのか、信じられないと思うかもしれません。それでもすべては事実であり、黒い雪の降った一連の出来事を信じて頂ければ必ず理解してもらえます。

 いいえ、むしろ非現実的だと思われたとしても信じてもらうしかないのです。

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