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恐怖日和  作者: 黒駒臣
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告白

  

  

 はい。確かにわたしは中学生の頃、ひどいいじめをしていました。主犯は美人で頭が良くて先生たちから一目置かれていた中山さんです。彼女と取り巻きの数人と一緒にやっていました。

 でないとわたしがいじめの対象にされるからです。

 はい。わかっています。いじめられていた佐代子ちゃんよりわたしのほうが何倍も劣っていたのに、ブスだのバカだの中山さんと同じことを言って、嗤っていました。

 カバンに泥や犬の糞を入れる。教科書を焼却炉に入れて燃やす。思いつくあらゆるいじめの方法をみんなで実行しました。

 体育で教室に誰もいない時、佐代子ちゃんの弁当に虫を入れて、中山さんに褒められてからはずっとわたしがその担当になりました。

 中山さんは自分の手を汚しませんでした。最初は取り巻きたちにやらせていましたが、わたしがグループから外されないよう嬉々としていじめの方法を考えてくるので、やがてわたし一人が実行し、みんなはそれを嗤って見ているだけになりました。

 わたしは彼女たちを喜ばせるために、よりひどいいじめを考えてきました。

 そうしないと今度はわたしが――

 一度、自分一人で実行するのが嫌で考えてこなかったことがありました。みんなに睨まれ無視され――あんな辛かったことはなかった。だからやるしかなかったんです。

 いえ、あれは――あれは中山さんが考えたことです。確かにわたしが手引きしましたが、あそこまでひどいこと考えません。あんな気持ち悪い先生を誘うなんて。

 はい。そのせいで佐代子ちゃんがどんな目にあったか知っています。だって隠れて見てたし、中山さんが写真に撮ったものをみんなで何度も見返したから。その後も先生に脅されて佐代子ちゃんが何度も相手させられていたのも知っています。何度も何度も何度も――毎日毎日毎日――変態教師に何を要求されてたのか、その都度覗き見しなくても知っていました。だって、中山さんが後で写真を見せてくれたから。

 中山さんは先生とグルだったのかもしれません。お金をもらっていたのかどうかはわからないけど、写真を男子生徒に高額で売っていたのは知っています。

 はい。もちろんわかってます。佐代子ちゃんが自殺したのはわたしたちのせいだと。

 校長先生や担任、その他の先生からは口止めされました。佐代子ちゃんが自殺した理由は勉強に悩んでいた、家庭に事情があった、だから君たちのせいじゃないので、いじめのことは絶対口外しないようにって。

 でも、わたしは自分がひどい人間だったってわかってます。反省もしてます。

 だからこうやって何度も告白して、あなたが怒りや怨みを忘れないよう、復讐の決意を新たにするよう役目を担ってる――

 ねえ、佐代子ちゃん。わたしあなたのこと恨んでないよ。ええ、ええ、そうね、恨まれる筋合いなんてないわよね。恨まれるべきはわたしだもんね。

 だからあなたに呪い殺された後もこうやって何度も罪を告白してるし、憎い相手を呪い殺す手伝いもやってる。

 中山さんも取り巻きたちも変態教師も校長も教頭も担任もその他の隠ぺいに加担した教師たちもいじめを傍観していたクラスメートもみんなみんな呪い殺すのを手伝ったじゃない。

 みんなあなたに怯え恐怖に苦しんで死んでいった。

 でもここにはいない。みんな死をもって罪を償い消えていった。

 わたしだけなの。わたしだけがあなたに縛られて消えることができないの。

 お願い。もう許して。お願いします。わたしを許して――


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