その6
そして、帰国すると、真君は笑って迎えてくれた。そして、1枚のCD渡してきた。そのとき、真君は真顔だった。
「それを聞いてほしい。」
そう言った後は、いつもの真君に戻っていた。
家に帰り、真君から貰ったCDをさっそく聞こうとすると、
「彩歌、これを聞いて、嫌な思いをさせたら、悪い。」
と、真君の声が最初に入っていった。最初はなんのことかわからなかった。でも、聞いていくうちに、これが、前世で私が死んだ後の夫の様子だった。どんなに酒を飲んでも、最後は、
「サキ、愛している。」
と、悲しく呟いていた。そして、最後には、私が好きだった歌を歌っていた。
私は、途中から聞くこと嫌になっていた。彼のこんな姿を聞きたくなかった。
私は真君に聞いたことを告げると、
「悪かったな。」
と言って、どこかへ行ってしまった。私は、追いかける事ができなかった。数日後、、昔のミュージシャンの歴史を特集する番組が始まった。
トップバッターは、シン・ロードだった。バンド結成の秘密など、細かい情報も公開されていた。そして、私との結婚生活も記録していた。
そして、私が病気になったあたりから、暗い内容が始まった。私が知らないうちから、彼の生活が乱れていった。
そうして、私が死亡してからもっと、乱れていった。
そうして、真君から貰ったCDの映像が流れていった。段々弱っていく彼を見て、私は、涙が止まらなかった。何度も何度も、
「サキ、愛しているよ。」
と、言っていた。
「私も愛しているよ。」
私は、画面を通して言うことしか出来なかった。
翌日、私は真君を探した。だが、見つからなかった。私は、後悔していた。あの時、引き留めなかった私に対して。
それから数日後、やっと会うことが出来た。
「アメリカに行って、墓参りに行ってきたんだ。お前の命日が近づいてきたからな。」
そう言って、真君は寂しそうな表情をしていた。そうして、
「サキ、愛してる。」
と言って、去ろうとした。ここで引き留めなければ、と思い
「シン、愛してるよ。」
と言えば、真君は私を抱き締めた。
「サキ、何で先に逝っちゃったんだよ。俺、滅茶苦茶寂しかったんだぞ。」
真君は顔を真っ赤にしなかがら泣いていた。
「ごめんね。愛しているよ。」
と、言うしか出来なかった。真君は泣き止むとと、違う意味で、真っ赤になっていた。そこに学君が来て、慌てていた。