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初恋とヘンテコなお婆さん  作者: 神崎朔弥
初恋とヘンテコなお婆さん
4/11

その2の3




ライブの準備の時間になり、私が退室しようとすると、彼に止められた。


ギリギリまで一緒にいてほしいと言われ、一緒にいた。


「もう、開始時間なので、退室してください。こちらで、会場案内を行いますので。」


そう言われ、私が出ていこうとすると、急にキスされた。


「連絡、待ってるからな。」


そうして私は、真っ赤になりながら、席に座ると、ライブが始まった。


彼の姿が素敵すぎて、泣いてしまった。


あまりの興奮状態すぎて、彼に「最高でした!」とメールを送っていた。


彼からは、「ありがとう!」と受信が来ていた。


それからは、彼とたまにメールや電話でのやり取りは行っていた。


ライブやファンミーティングにも欠かさず参加していた。


お互い、好意は持っているが、友達の延長の感じだった。


そんなことを考えていると、彼から電話がきた。


「俺たちの関係ってなんだろうな。俺はお前の事好きだから、恋人って言いたいんだけどな。」


と、グッとタイミングな話題だった。


「私も、あなたの事が大好きだよ。でも、仕事の関係上、恋人というのが難しいのであれば、友人関係でも良いわ。」


私は、彼の仕事に傷を作りたいわけでもなかった。


「明日発売の雑誌に今度対バンする、バンドの女性と2ショット写真を撮られたんだ。事務所やメンバーには間違いだと説明したんだ。そしたら、メンバーにお前の事を言われたんだ。だから、確認しようと思ってな。」


2ショット写真を撮られた事に関して、胸が痛くなった。彼を奪われた訳ではないのに、涙があふれてきた。


「嫌だよ・・・。私はあなたの事が好きなのに、ウソはつきたくないよ。」


そう、わがままを言うと、


「お前の気持ちは知ってるよ。分かった。恋人同士になろう。明日の会見で、何とかする。」


そう言って、電話は切られた。


私は、在宅ワークを行っているから、たまにしか、外に出ないのだ。


だから、雑誌を家に送ってもらった。


雑誌には、彼の名前と違うバンドの女性の名前が、大きく書かれていた。


それを見て、胸が痛くなった。


今日の10時から会見が始まると思うと、仕事に集中出来なかった。


10時10分頃、会見が始まった。


その場には、彼と話題の女性がいた。


彼は、ファンに挨拶し、


「このような事が2度とないようにしていきます。」


と、謝罪した。


話題の女性はなんともあっさりしたものだった。


彼女が退室した後、彼から告げたい事があると言い、


「私には、愛する女性がいます。ファンの方には、本当にすみませんでした。彼女の事は、事務所やメンバーには、許してもらっています。事務所やメンバー、彼女本人の意思で明かすことはできません。」


そう、ハッキリ言い退室していった。


記者たちは、呆然としていた。


会見終了後、彼から連絡がきた。


「会見、滅茶苦茶緊張した。まさかあの女と一緒になるなんて、ビックリだわ。でも、お前を報道から守ることができなくなってしまった。と、後悔したよ。」


「私がしている在宅ワークなんて、デザイン関係とかだから、家から出てくるのなんて、あまりしないし。まず出歩くなんて、コンサートやファンミーティングのチケットを取得するだけだし、大丈夫だよ。私は、貴方がいるだけで幸せだから。」


そう話せば、


「ありがとう。何かあったら言ってくれな。」


と言って、電話は切れた。

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