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初恋とヘンテコなお婆さん  作者: 神崎朔弥
初恋とヘンテコなお婆さん
2/11

その2の1




夢の内容の1つは、まだ世界が安定する前の時代で、戦争なども多発していた。


私は、普通の町娘だった。


特に何かが得意だったりもしなかった。


16歳というそろそろ結婚してもいい感じだった。


ただ、私は幼馴染みに恋をしていた。


相手もそうではないかな?と思ったりしていた。


でも、父親は許してくれない感じだった。


どうしてかは、分からなかった。


いつも「ダメだ」と言っていた。


でも、母親は、「大丈夫よ。結婚しなさい」と言ってくれていた。


お互いが17歳になった時、私は彼と結婚した。


私の父は、最後の最後まで許してくれなかった。


結婚生活は幸せだった。


大好きな彼といられること。


それ以上の幸せなんてないと思っていた。


18歳になった頃には、子どもを授かる事もできた。


全てが幸せだった。


でも、世界は違った。


大きな戦争が起こりそうな雰囲気が漂っていた。


そうして、数年後には、世界戦争が始まった。


私の住んでいる国には、被害があまりなかった。


ただ、このまま世界戦争が続けば、私の住んでいる国にも被害が出るだろうと言われていた。


戦争はますます広がっていき、私の住んでいる国にも、被害が出てきた。


食料の配給などがだんだんと少なくなっていった。


そして、軍人の人数が足りなくなり、町に住む男性たちが、戦地へと向かわなくてはなくなった。


心配だった、彼が候補に上がるのではないかと。


しかし、その時は訪れてしまった。


ドアを叩く音に、来客かと思い、ドアを開けると、軍服を着た男性が立っていた。


そして、


「ロン・アロンは居るか」


とたずねた。夫を呼ぶと、


「お前が、ロン・アロンか」


と、再度名前を確認する。


「そうです。私がロン・アロンです。」


夫が返事をすると、軍服を着た男性は


「この度、お前は軍人として戦地に行くことが決まった。」


夫が戦地にいく?どうして?軍服を着た男性は、私から、彼を奪っていく?私が動揺しているうちに、彼と軍服を着た男性の話し合いは終わっていた。


彼は私を抱きしめた。


「ごめんな」


と言いながら、彼も私も泣いていた。


子どもたちは、意味が分からないなりに、私たちに抱きついてきた。


夫が命令を受けて3日後、近くの駅に、集合されていた。


皆の表情は暗く、もう二度と会えないことをものがたっていた。


私は、夫と最後になるかもしれないハグをしていた。


「集合!」


そう号令がなり、夫は、そこに向かっていた。


私はボロボロ泣いていた。


もう一度会いたいと、そう思わずにはいられなかった。


4か月後、世界戦争は終わりを向かえた。


しかし、夫は生きて帰ってこなかった。


2か月前、軍人が家に来て、


「ロン・アロンは、立派であった。これを渡したくて来た。」


そういって、軍人が見せてきた物は、私が彼のために作った、お守りだった。


私が受けとると、軍人はそのまま帰っていった。


私は泣いた。


子どもたちがいるのに。


私は、夫の死を受け入れることが出来なかった。


毎日泣いていた。


そんな時、息子が


「もう、お父さんは帰ってこない。僕だって、妹だって知っている。お母さんが愛していたのは、お父さんだけ?僕たちの事を愛していないの?」


と、言ってきた。


その瞬間、何かで頭を殴られた気持ちだった。


私は毎日、夫の事を思っていて、子どもたちの事をほったらかしにしていたことを思い出した。


息子や娘だって、辛い思いをしてきたのだ。


悲しいのは、みんな一緒。


だから、私は息子や娘を精一杯愛していこうと思った。


「ごめんね。これからは3人で楽しく生活していこうね。」


そう言って、3人で抱き締めあった。


あれから10年たった。


でも、私たちは変わらなかった。


再婚の話が出なかったわけではなかったけど、愛する夫以外は想像できなかった。


今度、息子が結婚する予定になっていて、色々忙しく過ごしている。


娘も女性になりかけてきている。


家族がバラバラになっても、お互いを思いあえれば、それでいいのだ。


それから40年、私もそろそろ旅が終わりに向かっていた。


大好きな、愛する家族が、ベッドを囲んでいた。


私は、眠るように夫のもとに向かった。

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