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✕月✕日 季ノ国
「————小春は花火が好き?」
「うん、大好き!」
「そう、そりゃあ良かった。」
「お母さんも好き?」
「もちろんよ。夜空に咲く一輪の花。その輝きは一瞬だけれど、その一瞬で見る人の心を攫っていく。それがとても儚くて美しい。」
「ふぅん……。」
「ふふ、小春にはまだ早かったかしら。」
「わ、分かるもん。」
「あら、そう? ふふ。でもねぇ、お母さんが花火を好きな一番の理由はね。」
「一番のりゆー?」
「そう、一番の理由。こうして小春と、皆と一緒に見られるからなのよ。」
「皆と? 小春も! 小春も皆と一緒に見られて嬉しい!」
「そう、良かった。お母さんも嬉しいわ。」
「えへへ。」
「来年も一緒に見たいねぇ。」
「うん! 絶対見よう! 約束だよ————。」