5 翼の家では空に関する会議が実施されているらしい
「全く、天のせいで恥かいた」
私がむくれながら言うと天は
「あははー。だって急に大きい声になるなんて思わなかったもん。自業自得だよ」
とにやにやしながら言う。
う、確かに。
「まあ、それはおいといて」
「私、恥かいたのに……」
天の発言にショックを受けた私。けれどそんな言葉を無視するように言葉を続ける。
……天は天使の姿をしているが悪魔ではないのだろうか?
「じゃあ、とりあえず第一回翼の告白成功大作戦会議始めるよ~」
「え、ちょ、まって」
いきなり何を言いだすのだ、この天使は。
しかし私の驚きに気付かず(多分気付かないふりをしている)さっさと会議を始めた。
「まっ、そういうことで意見ない? 真琴」
「うーん、僕があわせてあげようか?」
「いいね! それ。プラン1はそれでいいか」
「ちなみにプラン何まであるの?」
「まだ一個だけど……。これから増やすんだよっ」
いい加減だ。ほんとに天使なのか……。
「じゃあ次、私の意見なんだけどもう告白しちゃおうよ! “あたって砕けろ! 作戦”だよっ」
「あたって砕けろって……」
砕けたってことは失恋しちゃうじゃん。
「ちなみにこれはプラン2ね」
しかも普通にプランにされているし。
「じゃあ、後は翼の意見だけだね。翼、なんか意見ある?」
うーん、意見か。どちらかと言うと告白したくないからな……。そうだ!
「告白しな――」
「却下」
却下するの早いっ。
「なんでー。告白しなきゃだめなんてルールないじゃん」
「いや、ある。私が決めた」
天使にはこの世界の常識は通用しないのか……。
「じゃあ、この二つから選ぶか」
え、どっちも嫌なんだけど……。
「プラン1の方がいい人ー?」
私の気持ちを読めるくせにこういうときは読めない振りをしている。
もう悪魔でいいんじゃない――。
「なんか言った?」
とてもすばらしい天使様は神々しい笑顔で言いました。
「それでよし。で、プラン1の方がいいの?」
私は右にプラン1、左にプラン2をかける。
嫌な方はと考えると、かすかにプラン2が下がった。
私は即座に
「プラン1のほうがいいっ」
と答える。
真琴に“真琴もそっちのほうがいいよね?”と有無を言わせない視線を投げかけると真琴は震えて何度も頷いた。
これでプラン2の線はなくなったはず……。
「じゃあ、私はプラン2の方がいいからプラン2に決定!」
じゃなかった!
「さっきまでの多数決は何だったの!?」
「うーんとなんとなく?」
まさかの考えていないパターンだった。
この天使は自由すぎる。
「だめ、絶対だめだからね」
「なんでー? 別にいいじゃん。そっちのほうが面白そ……すぐ終わるし」
今普通に面白そうって言いそうになったよね?
「そ、そ、そんなことないと思わない事もないような思う事もあるような」
すごい慌てているなあ。慌てぶりが面白いので水に流そう。
「ふっふっふ。引っ掛けるのはちょろいな」
今小声だったけどしっかり聞こえた。全く、天使なのに悪魔っぽい。
「とにかくプラン2はやらないからね」
私は釘をさしておく。
「じゃあ、プラン1はやるんだよね? 自分で決めたもんね」
まあそういうことになるよな、と私は考えそこでもしかして……と思い訊いてみる。
「あの、もしかして天これを狙ってた?」
「これって?」
意味が解らないというように首をかしげる天。
しかしよくみると目が笑っている。
「はじめにましな意見と絶対いやという意見を出して絶対いやな方の意見をすすめる。そして私はもう一つのほうを選ばせる。そうすることによって自分で選んだ事だからと断れなくする。違う?」
「なーんだ。解ってたんだ。うん、そうだよ」
悪びれもせずいう天に私は苛立ちを覚えた。しかし、
「だってさ、そうしないと翼が前にすすめないじゃん。私は早く翼の恋が叶ってほしいからさ」
という天の一言にその気持ちは吹っ飛んでしまった。
前は天は天使の姿をした悪魔だと思っていた。
けれど本当は天使の姿の天使なんだ。
「まあ、少しからかいたかったっていうのもあるけど」
その一言で訂正した言葉を訂正したくなった。
やっぱり天は天使の姿をした小悪魔だ。