3 私の学校には天使と悪魔がいるらしい
今日は天と真琴が、(今日からは天と真琴と呼ぼう)はじめて学校に来る日。でも2人は先に学校に言っているので一緒に登校しているわけではない。
私はいつもどおり学校へと向かった。
教室に着いたとき、私はちょっと緊張していた。なぜなら、天がこの学校に来るからだ。まあ、もう教室にいる事はないだろうしと思いつつ、私は自分の席に着くと、
「おはよー。翼っ」
と挨拶してくるクラスメイトがいたので私も、
「おはようございます」
と返した。そして、だれだろう? 挨拶してくれたのはと思い、その声の方向を見ると、
――谷口 天がいた。
「えっ、なんであなたがここに……」
と言うと、私の友達に
「何言っているの? 翼ちゃん。天ちゃんはこのクラスだから当たり前じゃない」
といわれた。
こんなに外国人みたいな人、クラスにいきなり現れたら気付くに決まっていると思うけれど。
よくわからないので天に
「いったいどういうこと?」
と小声で問いかける。すると天は
「転校生じゃなくて元々いたっていうように設定したんだよ」
と悪びれもせず答えた。全く……。
一時間目、二時間目といつもどおりに時間は過ぎていった。
いつもどおりではなくなったのは昼休みの事だった。
「よし、翼。翼の好きな人を見に行くよっ」
と、大声でいったのだ。自然と皆の視線は私と天に集まる。
「ちょっと、天。あんま大きい声で言わないで」
と私は慌てて言い、その場から逃げ出そうと教室から出た。
このまま戻るのも嫌なので仕方なく天と一緒に好きな人の教室へ向かう。
何でこんな事になってしまったのだろうか……。
ぐいぐいと引っ張る天の手は強くてこんな小さな体のどこにそんなパワーがあるのかと疑ってしまうが、きっと天使のパワーだろう。
なんとか高等部のそのクラスにつき、一息ついていると天は
「で、あの人が翼の好きな人?」
と今度は小声で問いかけた。
もし、また大声出したら一生高等部行けない……、と思っていたのでほっとした。
その視線の先には中性的ですごくきれいな顔をした男の子だった。
私は頷く。
「へえー。でも私のタイプじゃないな」
別にいいじゃんと思ったが高等部で叫ぶわけにもいけないのでぐっと我慢する。
「でも、何で好きになったの? あんまり関わりないでしょ?」
と天が聞いてきた。
まあ、確かにそうだよな。
「放課後話すよ」
といい、天を引っ張りつつ教室に戻った。
教室では先ほどの言葉の話題がなかったので安堵して席に着いた。