天は上の人と取引をするらしい
天が人間界に永住するための話です。
時系列的には22話のちょっと前位です。
「今、何と言った?」
金を基調としたシャンデリアがいくつもぶら下がる広い室内。
そこで数段上に座っているこの部屋の主にふさわしいような煌びやかな装飾が施された服を着た人が低い声で唸った。
鋭い視線を向けられるが天は悪びれもなく先ほどと同じことを言った。
「人間界に残る許可が欲しいのです」
鋭い視線に対抗するように天は部屋の主をじっと見る。
しばらくにらみ合いが続くがどちらも引く気はないようだ。
「何故だ?」
ずっとにらみ続けても埒が明かないと考えたのかとりあえず理由を聞くことに変えたようだ。
「人間界に親しい者が出来たから……だけではいけませんか?」
目線は外すことなく天は言った。
「例え、天使の能力を失ったとしても?」
「はい。例え天使の能力を失ったとしても、です」
そう答えた天の目は例えどんな不利益を被ったとしても人間界に残りたいという強い意志があった。
「一度人間になったら二度とここに戻れないぞ。……例え人間の身で死んでも」
その言葉に天ははっと目を見開いた。
ここに戻れない。それが意味することは死んだ後も成仏できないままさまようということだ。
しかも永遠に。
「……それでも、いいです」
しかし結論は変わらなかった。
部屋の主はそんな天を見ると諦めたように言った。
「ならば、許可しよう。こっちに来なさい」
部屋の主は階段を降り、天が入ってきた扉とは別の扉を開ける。
そこには、一台の機械があった。
「これは永遠に人間界に行ける装置だ。いつも使っている一時的な装置とは違ってこれは天使の能力を素にして天使を人間界に送る」
そう説明した後にもう一度問いかけた。
「今ならまだ間に合う。止めるか?」
「いえ、行きます」
天はまっすぐその装置に歩み寄り中に入った。




