天使と人間が雑談しているらしい
付き合う前の話です。
蘭と凛があまりなずなと空と話してないなと思ったので、ちょっとした(?)日常会話です。
なずな&蘭(蘭視点)
とある休日。
「蘭さん、もしよければショッピング行きませんか?」
最近現れた私に戸惑いつつも受け入れてくれた。
まだ会話はぎこちないが、少しずつ仲良くなっている気はする。
「ああ、行こう」
こうして私たちは少し遠くのショッピングセンターに足を運んだ。
* * *
「蘭さんってどういう服が好みですか?」
洋服の店に入り、主が質問してきた。
「動きやすい服」
「確かにいつも動きやすそうな服ですよね~」
私の最近の格好を思い出してみる。
基本ズボンだし、スカートはもちろん、キュロットですら一番最後いつはいたか思い出せない。
「なずなは清楚なワンピース好きだよな」
制服が多いが、私服は基本ワンピースが多いイメージだ。
ちなみにショッピング中は主と呼ばないでくれと頼まれたので(きっと目立つのが嫌なのだろう)主と呼ぶのは心の中で留める。
「あまり奇抜な恰好すると両親に怒られますので」
そういえば主の家はとても広い。
話を聞く限りかなりお金持ちの部類に入るのだろう。
しかも長年続く名家だから礼儀にもうるさいらしい。
きっと服装もその延長線だろう。
「なんか、すごく楽しいです」
私を見ながら主は言った。
友達とショッピングしているみたいで、という心の声が聞こえてきた。
その言葉に私は、
「私もだ」
と言葉を返した。
* * *
昼食をフードコートでとろうお提案されて頷く。
「蘭は何を食べたいですか?」
自然と名前で呼ばれたことに驚きつつ、ハンバーガーだと答える。
何だかショッピングで心の距離が縮まったようですごく嬉しかった。
* * *
空&凛(凛視点)
「覚えてなかったよ、主の予想通り」
「……やっぱり」
主は分かっていたのか淡々と(いつもだけど)返す。
人の記憶を見ることができるとアタシが言ったら主は翼が小学生の頃の自分が残っているか調べてほしいと頼んできた。
多分覚えてないと思うと心の中で思っていたが予想通りだった。
翼は全く覚えてない。
まあ、小さい頃のこといちいち覚えていたら脳内パンクしそうだし、しょうがないかもしれない。
「思い出させることもできるけど?」
アタシは一応聞いてみるが主はそんなことしなくていいと思っているのはすぐ分かる。
「……ただ、覚えてくれたらいいな、って思っただけ」
でも珍しい。
自分が迷子になったことを思い出してほしいなんて。
「何でそんなこと思うの?」
アタシは気になって聞いてみる。
「あの時の会話、すごく楽しかったから。また、あんな感じで話したい、って思っただけ」
確かに今は初対面だし、お互い無邪気なだけの子供じゃないからあんな風に話すのは難しいかもしれない。
従妹であるなずなですらそこまでゆっくり話すのに。
昔の主とは大違いである。
軽く記憶を覗かせてもらったが、今とは違いたくさん話す子だった。
主も、翼も。
「まあ、仲良くなったら話せばいいと思うよ」
「……うん、そうする」
多分そのことを話すときは告白の時になりそうだ。
アタシはそう思いながら主を見た。




