20 空は昔翼に会ったことがあるらしい(空視点・過去編)
僕がはじめて彼女にあったのは、小学六年生の頃。
お母さんの実家に帰った時、いとこと一緒に公園へ遊びにいった。
遊具を取り合って喧嘩していとこは先に帰ってしまった。
ほとんど来ない町なので、どっちに行ったらいいか分からない。
心細くなり、呆然と立っていた時、彼女にあった。
彼女は恐る恐るといった感じで話しかけてきた。
「あの、どうしたの……?」
彼女はすぐに僕のことを迷子だと分かったらしく、案内してくれた。
「あの家なら有名だよ。すっごく大きい家だもん」
いとこの名前を言うと、その子はすぐに分かったようで案内してくれた。
家に帰ると、いとこは泣きそうな顔で謝ってくれた。
おばさんは、僕と彼女の姿を見て、
「ありがとね、もしかして同じ町内の小池さんの子?」
「はい、小池翼です」
そうハキハキと名乗った彼女の瞳はとてもきれいだなと思ったのを今でも覚えている。
「では、私もう帰りますね」
そういって走り去っていった彼女を見送り僕は家の中に入った。
その二年後、僕は彼女とあった。
今回は立場は逆だったけど。
しかし彼女は僕のことを覚えていなかったようだ。
でも、いい。
元々同じ学園に入るとは思ってなかったし、予想外の幸せだ。
ここは私立だし、そこそこお金がかかる。
彼女は普通の家らしいし、中学は公立に行くと思っていたから。
しかもあそこから紅葉学園は3駅かかる。
もしかしたらあの後引っ越したのかもしれないけど。
だから、彼女がここに来たのは奇跡といってもいいだろう。
廊下でしかすれ違うことはなかったが、いつも彼女は友達と笑っていた。
委員会や部活は入ってないようだが、ボランティアをたくさんして表彰されていた。
声はかけられないけれど、そんな姿を見て満たされた思いになる。
いつか、もう少し仲良くなったら、伝えたい。
あの時のお礼と――。




