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18 翼と天と真琴はなずなの天使と話し合いをするらしい

「翼、真琴! 今すぐなずなさんの天使のところに行こう!」


 天が急に私と真琴がいたリビングに駆け込んできたのは日曜日の正午あたりだった。

 何で急に?


「それは早く翼が告白できるようにするためだよっ」


 どういうことだろう。そう思ったのは真琴も同じみたいだ。


「しっかり説明してくれないか?」

「だから、なずなさんの天使のせいで翼の告白が出来なかったんでしょ? だったらその原因を絶てばいいんだよっ」


 なるほど、少し理解した。

 また告白しても邪魔されるかもしれないからか。


「そういうこと! じゃ、とっとと行ってくるよっ」


 天はよく出来ましたというように笑みを浮かべ、私と真琴の腕を引っ張り


「さっさと靴はいて! 行くよっ」


 と私たちをせかした。


「でも、居場所分からないから意味ない――」

「大丈夫! 私にかかればお茶の子さいさいだよっ」


 まあ、天使の力とかそういうことか……。

 そんなわけで私達はしぶしぶ天のあとについていった。


「ほらほら、早く早く!」


 陽気な天に連れられて。


     *     *     *


「到着っ」


 ついたのはお化け屋敷になりそうな古い館だった。

 この中にいるんだろうか?


「そうだよっ。じゃあ、入ろうか」


 天が入ろうとした時、


「ほ、本当にこの中に、入るのか?」


 ちょっとおびえつつ真琴が聞いた。

 お化けが怖いのだろうか?

 そんなことを天が見逃さないはずがない。

 不思議そうな顔からニヤリとした笑みに変わった。


「あっれー? もしかしてお化け怖いの?」


 やっぱり、そう来たか……。

 対する真琴は


「いや、そんなわけではないのだが……」


 ちょっぴり強がっていた。

 体は震えているからバレバレなのに。


「じゃあ、行こう」


 ニヤリと笑い天はその館へと姿を消した。


「真琴も行こう?」


 そう声をかけると真琴は首を横に振った。


「この館自体は怖くないんだがなんていうんだろう、いやな予感がする」


 そうかな?

 私はそんなに感じないけど。悪魔の能力?


「ああ、多分な。悪魔になってからこんな能力が出来たから」


 天使のときはなかったんだね。


「じゃあ、私は行くね。天の事心配だし、私の用でもあるから」


 私も入ろうとドアに手をかけた。すると、


「だったらこれもってけ」


 真琴が何かをこちらに投げた。

 キャッチし、見てみるとブレスレットだ。


「それは悪魔界のブレスレッドだ。これをつけてブレスレッドに向かって開けゴマと言うとこの中にいる魔獣が力を貸してくれるらしい。ちなみにこのブレスレッドは物理系が主らしい」


 なんで開けゴマと言うと魔獣が出てくるかはよく分からないが、とりあえずつけておこう。


「ありがと、真琴」


 私はドアノブをひねった。

 中に入ると天がいた。

 壁に耳を当てていたのを見ると盗み聞きしていたようだ。


「ごめん、ちょっと気になっちゃって」


 そう照れ笑いをする天。

 まあ、特に聞かれて困る話じゃないからいいけど。


「ところで、結局天使の国に帰らなきゃいけないの? まだ聞いてないんだけど」


 私は聞こうと思って忘れていた話を天に持ち出す。


「うん、オッケーもらったよっ」


 どうやら成功したようだ。

 でもいいんだろうか?

 まあ、秘密で人間の方にいる天使も少なくはないそうだけど。


「とりあえず、進むよっ」


 天は道が分かるらしく迷いのない足取りで前方を進む。

 私はその天の姿を見失わないように後についていくので精いっぱいだった。

 この館はどうやら魔法がかかっているらしく、行き止まりだと思ったら更に続いていたり、忍者の館みたいな仕掛けがあったりした。

 十分ほど歩いたところで天は言った。


「ごめん、行き止まりだ」


 あれ? 道知っていたんじゃないの?


「いや、ここら辺にいるのは分かっているんだけど、道がないんだよね。別の道で行かなきゃならないかも」


 確かにそうかも。と、別の道で行ったが結果は同じだった。

 一体どうなっているんだろう?


「そういえばさ、翼って魔獣召喚できるんだよね?」

「うん、そうだけど……。どうして?」


 なんか、天の顔がニヤリと笑ったような気がした。

 ……気のせいだと信じたい。


「しかも、物理系の魔獣だからそれで」


 一回言葉を切るとニヤリと笑い、


「壁を壊すんだよっ」


 いや、だめでしょ!?


「何でそれで通ると思ってるの? 却下――」

「よし、早く言うんだ、開けゴマと」


 そういうと天はぶつぶつと呟いた。たぶん呪文だ。

 やばい。この天の魔法の威力は体験している。

 体が言う事きかなくなるこの魔法。

 逃げようとした時、


「よし、完了!」


 体が金縛りにでもあったような感覚が訪れる。

 そして私の意識がないままにこういっていた。


「開けゴマ!」

 私の右手につけているブレスレッドが強い光を発した。

 目をあけている事ができずつぶってしまう。

 数秒後、虎に似た魔獣らしきものが姿を現した。


「なに……これ?」


 私が呆然としていると、


「これが魔獣か! はじめて見たよっ」


 天が興奮している口調で言った。

 へえ、天もはじめてなんだ。


「だって、魔獣は天使には召喚できないもん。人間と悪魔だけだよっ」


 ふーん。


「じゃあ、この壁、壊せばいいんだよね? 魔獣、出来る?」


 私が問いかけると、魔獣が


「もちろんだ。我輩にできぬ事ない」


 としゃべった。

 そう、しゃべったのだ。


「あの、天。魔獣ってしゃべるの?」


 私が問いかけると


「さあ。私もはじめてだし」


 と、返ってきた。

 確かにそういっていた。

 そんな話をしている間にしゃべる虎はどんどん壁を壊していった。

 この家、使われてないかもしれないけどいいんだろうか。


「だいじょーぶ。ここは魔法がかかっているから魔法を解けば元どおりになるって」


 魔法ってすごいね。最近すごく感じる。


「主、もう壊れましたがどうすればいい?」


 魔獣が問いかける。

 仕事はやいなあ。


「じゃあ、もう戻っていいよ。休みたいだろうし」

「お言葉に甘えてそうさせてもらいます」


 魔獣が私のブレスレッドにふれると、消えた。

 きっと、この中に入ったのだろう。


「じゃあ、行くよっ」


 天がさっきあけた穴をくぐる。


 その穴の先には、一人の、天使がいた。


「やっと来たんだな。待ちくたびれたよ」


 そういってこの中にいたのは蘭。


「やっぱり」


 私の横から呟きが聞こえた。


「天、分かってたの?」

「うん、この館に入った時から」


 何で分かったの?


「この館、魔法で改造されていたから。そういう魔法が使えるのは蘭だけだし」


 なるほど。

 そんな会話(?)をしていると、蘭が気付いてこういった。


「ばれてしまったか。残念だな。もう少ししたら空は主のものだったのに」

「でも、なずなさんは空先輩の事もう諦めたって――」

「そんなわけないだろう。主は小さい頃から好きだったからな。それこそはじめてあった頃から」


 そんな……。

 ショックで放心している私の代わりに天が本題を切り出した。


「ところで、蘭。ちょっとお願いがあるんだ」


 その言葉に蘭の眉がピクッと上がった。


「空に関することか?」


 明らかに警戒している声音だ。


「うん。なずなさんと翼、二人で空先輩に告白するの。それでそのときに空先輩に選んでもらうんだよ。付き合いたい相手を」


 天は単刀直入に言った。

 蘭はしばらく考えていたが、数秒後口を開いた。


「いいぞ。その代わり、どうなっても知らないがな」


 その言葉を残して蘭は消えた。


「天、いいの?」

「うん。大丈夫だよ」


 翼なら出来る。そういわれているような気がして私はがんばらなきゃなと思った。


     *     *     *


 館を出ると、真琴がまっていた。


「よかった。心配したんだぞ?」


 そしてふと私のブレスレッドに目を留めて


「これ、役に立ったみたいでよかった」


 と笑った。

 天が真琴に簡単に今あったことを説明しながら家に帰った。


 どうやって告白するかを考えながら。

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