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16 小池翼はついに告白するらしい

 放課後。部活がある人は部活動場所へ、ない人は家に帰っている。

 そんな中私は高等部へと足をすすめた。


 高等部に着き、私は真琴に頼んで望月先輩を呼んでもらう。


「本当に告白するのか?」

 天から事情を聞いていたからか心配そうな顔をする真琴。

 そんな彼女に


「大丈夫だよ」


 と微笑むと、


「そんなに言うなら……」


 真琴は望月先輩を連れてきてくれた。

 真琴が去っていくのを見届けて、


「望月先輩、今時間ありますか?」


 と聞く。


「……うん」


 無表情ながらも頷いてくれたので人目のつかないところに歩を進めた。

 ここら辺でいいか、というところで立ち止まる。


「あの、望月先輩に言いたいことがあるんです」


 少し緊張しながらもしっかりといえた最初の言葉。

 恥ずかしくて望月先輩の目を見ながら言えなかったがまずまずの出だし。


「実は、私望月先輩のことが――」


 私がその言葉を言いかけたそのとき、


――ピシッ


 まるで空気が固まってしまったかのような音がした。

 周りを見てみると、何もかもが止まっている。


 今まで風に揺れていた葉っぱ。

 陽気な音楽を奏でていた吹奏楽部の音。

 頬をなでていたやさしい風。

 そして無表情な望月先輩。


「……何がどうなってるの?」


 私は驚いてつぶやく。


「時間が、止まってるんだよっ」


 どこかで聞いた事があるような声。

 徐々に現れる姿。

 その姿は、天だった。


「天っ。なんでこんなことするの!?」

「天じゃないよっ。ただ天の姿を借りているだけだしっ」


 その姿は確かに天なのによく見るとかすかに違う。

 雰囲気やしぐさが。


「あなたは……誰なんですか?」


 彼女はうーんとねと呟いた後、


「秘密。ところで空に告白しようとしただろう? 今すぐやめてくれないか」

「嫌です!」


 いきなり現れた天の格好をした天使に私は即答する。


「そうか」


 その答えは予想済みのようだ。

 ニヤリと笑い彼女は続ける。


「ちなみにお前は、天使のルールを知っているのか?」


 天使のルール?


「簡単に言うと、お前達でいう規則だ。例えばこんなものがある」


 彼女は手帳を取り出し、左でひょいっと放った。

 その手帳はきれいに円を描き私の手に収まった。


「天使のルールが書いてある手帳だ。最初のページを見ろ」


 私は素直にページをめくる。


「十二行目だ。そこに書いてあるだろう」


 十二行目。そこにはこんな文字が書いてあった。


――天使は主の恋が叶ったら元の場所に戻る。そしてまた新しい主の元へいく。


 と。

 つまり、私の恋が叶ったら、天はいなくなっちゃうってこと?

 昔だったら喜ばしく思えたこの言葉だが今では告白を躊躇する枷となる。


「どうだ、分かったろう。これでも告白するというのか?」


 別に望月先輩とは付き合えなくても、友達関係でもいい。

 そうだ、元々付き合うなんて考えてなかった。

 ただ、天と真琴が来る前に戻るだけ。ただ、それだけ。

 だったら、今までのような話せる関係を続ければいいじゃないか。

 そうすれば天はこの世界に入れるのだから。


「そうだ、いなくなるんだ。どうする? 告白しなければそんなことにはならないぞ?」

「……やっぱり、告白やめる」


 私がそう呟いたのと


「それでいいんだよ」


 彼女がニヤリと笑ったのはほぼ同時だった。

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