15 小池翼はそろそろ告白するらしい
起きてカーテンを開くと、雲ひとつない快晴だった。
「今日もいい天気だなあ」
のんきに独り言をつぶやいているとバタンと大きな音がなった。
多分天があけたのだろう。いつもの事だ。
「おはよう、天」
声をかけると
「おはよっ。それより早く学校行こう! 早く早く!」
どうしたんだろう。
いつもはこっちが心配になるほど余分なことに時間を費やしているのに。
「どうしたの? 急に」
手を動かしながら天のほうを見る。
「とにかく急いでっ。話は通学路で!」
天はもう制服姿だ。
私も制服に着替え終わり、ご飯を食べようとすると
「ご飯は学校で買えばいいから」
と天に制服を引っ張られた。
一体どうしたんだろう。
「ごめん、もう大丈夫かな?」
角を曲がったところで天は手を放す。
「ところで何があったの? 説明して」
天はしばらく話す内容をまとめようとしていたが、
「ちょっと整理できてないけど話すね。まずはじめに私は恋を叶える天使ってことは知ってる?」
「うん、それくらいは」
あと、凛さんと蘭さんもそうだったはず。真琴は不明だが……。
「で、凛と蘭もそうなんだよ。知ってると思うけど。それで二人の主を調べて見たの」
何で急に?
「最近、翼の周りで魔法が使われた形跡があったから。魔法が使えるのは天使か悪魔だけ。そして今この町にいるのは私と凛と蘭と真琴だけ」
そうだね。
私もそれくらいしか知らない。
「それでね、二人の主は望月空か秋山なずなのどちらかと言う事が分かったんだ」
ふーん、でもそれに何の問題が?
「今まで隠してきたんだけど……」
少し言いにくそうに天がいう。
「秋山なずな、望月空の事……好きなんだ」
なずなさんが望月先輩に好意を抱いてる? でも二人はいとこのはずじゃ……。
「それが、秋山なずなの今の両親は血がつながってないんだ。そして望月空の今のお父さんと秋山なずなの今のお父さんが兄弟。でも血はつながってないから、赤の他人だから、付き合っても何の問題もない」
え? いきなりすぎてよくわからない。
「簡単に言うと二人は血がつながってないから付き合っても問題はないんだ」
そんな……。
「実は文化祭の日、秋山なずなは告白の返事を聞いたらしい」
それで、二人は今付き合ってるの?
「ううん、望月空は断ったらしい。それで秋山なずなの方はとりあえずあきらめたんだけど」
どういうこと?
「でも、天使は恋をかなえるのが仕事だから。多分本心では納得いってないだろうし、また天使と一緒にアタックしてくる可能性もないわけじゃないんだ。一回フラれたからって二回目も必ずフラれるわけではないし。それに、主が失恋したらランク下がって生活も大変になるんだよね」
確かに。
そして、天使界にもルールがあるんだね。
「でも、そうなるとこっちは困るわけ。だからさ、早めに告白してよ」
なんで? そのことと告白、関係ないよね?
「あるよっ。だって失恋確定したらその天使はランク下がっちゃうんだから。多分、かなり無理をしてなずなさんに気持ちが傾くように行動すると思うよ。告白早めに成功させなよ」
前例ではあるが、ランクが下がるのが困るから(最下層になると消える危険もあるらしい)と言って過去に好きな人の好きな人をさらった天使がいたらしい。
確かにさらわれるのはいやだ。
「分かった。告白、今日の放課後する」
叶うかどうか分からない。
だって、私は覚えているが、望月先輩はきっと覚えていないから。
「とりあえず、放課後呼び出すのはいいとしてどうやるの? 直接かそれとも手紙か」
「直接いうよ。そっちの方がいい」
天は目を丸くした。
「意外だねっ。手紙にするっていうと思っていたよ」
まあ、確かにそうかもしれないけど。
「じゃあ、放課後がんばってね」
心配したような笑顔を浮かべて天は自分の席に着いた。
* * *
(天視点)
手紙にする、と言わなかったのは正直驚いた。
翼は消極的だから。
でも、勇気を出してくれたことがなにより嬉しかった。
きっと大丈夫。
確かに名前を知ったのはつい最近だけど、会ったのはもっと前だったって知っているから。
翼は覚えてないかもしれないけど、二人は小学生の時会っていたって。
空の記憶にはしっかりその時の記憶が残っていたから、きっと大丈夫。




