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9.5 望月空には秘密があるらしい(空視点)

 後輩の翼さんに呼ばれて人通りの少ない所にいった僕は翼さんの言葉で衝撃を受けた。


「望月先輩、あの間違っていたらごめんなさい。なずなさんのことなんですけど……」


 翼さんはためらったように口を閉ざしたがすぐに


「なずなさんと昔何かあったんですか?」


 ときいてきた。

 確かに昔なずなは彼女だったけれども……。

 何でなずなの事を知っているんだ?

 なずなに会ったことはないはずだ。


「……なんで、……なずなの事……知っている?」


 そうたずねると翼さんはうわごとのように喫茶店にいたとか、そこで楽しそうに話していたなど言っていたが心当たりがない。

 確かにそのようなことがあった気もするが覚えてない。

 その時、彼女の体が傾いた。


「危ない!」


 そう言ってつかもうとした手は何もつかむものもなくからぶった。

 その時どこからか彼女の体のクッションとなった人がいた。


「いたた」


 どうやら同じクラスの山下さんのようだ。いきなりの彼女の登場に困惑していると更に


「大丈夫?」


 と山下さんに手を差し出している女の子がいた。しかも中等部の子のようだ。


「とりあえず、保健室いこ? 真琴、案内して」


 そういって小さな体で翼さんをお姫様抱っこすると真琴さんの案内通りに連れていった。

 僕は直前の彼女のせりふを思い出す。


「なずなさんと昔何かあったんですか?」


 そのときの目は何もかも受け入れてくれるような気がしてつい話しそうになった。

 僕が小学生の時、はじめてなずなに会った事。

 なずなは今の両親とは血がつながってない事。

 僕のお父さんとなずなの今のお父さんは兄弟だった事。

――そして僕がなずなに告白された事。

 このことを聞いたら彼女はどんな顔をするのだろうか?

 悲しむだろうか、怒るだろうか?

 それとも悲しみや怒りを隠して笑うのだろうか?

 そんなことを思うと打ち明けられない。

 幸い、彼女はなずなという名前自体を忘れている。寝言でもそのような事を言っていたからだ。

 とりあえずの間は隠しておこう。

 また、彼女が思い出した時に言おう、そのときこそは。

 そう決意し一時間目の授業の場所へ移動した

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