ラズベリーケーキ 上
今書いてるやつの息抜きみたいな感じ。
短いし、メモ帳に全部書いてて、完結してるから。毎日登校頑張るよ。
学校かな?学校も遅刻しないようにしなきゃね。
私の家は、4人家族だった。父は私が3つの時に死んでしまったし。兄は、私が5つの時に稼ぎに出てそのまま帰ってきていない。けれど私は、少しも寂しくなかった。何せ幼かったものだから、ほとんど思い出というものがないのだ。
今日で私は15になった。兄が出てから10年。兄は15の時に出稼ぎに行ったのだから、今生きているのならば25になる。その10年の間に母は家を宿にし、働いていた。何せこの町は、観光地なのにもかかわらず、宿屋が極端に少ないのだ。そのためか、母の接客の才能のようなものもあってか、宿はすごく繁盛をしていた。それと並行して母は働きずくめになり、今日は私の誕生日だというのに、祝われてすらいない。しかし、私はそれを恨んだこともないし、母との関係が悪いわけではないと思っている。
厳密にいうと、朝に「おめでとう」と言ってはもらったのだが、誕生日会がないというだけのことだ。だから、それは仕方のないことであったし、それに、ケーキはもともと好きではないし、今、特にこれが欲しいという物が無いのだから、誕生日会がないことでなにも困ることではなかった。
とはいっても、もう少し母と一緒にいたかった私は下に降りて行って、受付の手伝いをすることにした。
母は、ひどく痩せていた。手足は小枝のように細く、顔にも多少の疲れが見えた。しかし、客の前では長そでを着てごまかしていた。お客には分からないのかもしれないが、私には分かっていた。かなりの無理をしているということも、しかし、無理をしなければ暮らしていけないことも。
だから私は早く働きたかったのだが、母は学校へと通わせた。義務教育を終えて、ほとんどの人たちが働きに出る中、母は私を第二女子学校へと行かせた。私は、誰よりも働かなくてはならないのに。それにもかかわらず、私を学校へと行かせてくれているのだ。だから私は、家の手伝いを積極的にしていた。もちろん誕生日であろうと、それは変わらなかった。基本的には受付をやっており、仕事としては、それほど大変ではないが、いなければならないので私が手伝っている。書類もすでに用意してあるものを書いてもらい、それを確認するだけであったし、お客もそれほど来る時間ではないから、楽であった。
そしてまた、いつものように本を読んでいると、一人の男が泊まりに来た。男は、いかにも楽しみであるという様子で、一番高い部屋を借りた。高い部屋とはいっても、階が一番上で、内装が少しばかり豪華であるというだけだから、値段もそうは変わらなかった。
少し、楽しみにしている男が気の毒に思えたが、値段の差がそんなにないことも含めるとこんなものだろうと、思ってくれることを願い、部屋へ案内した。
男は、部屋へ案内する途中べらべらと話してきた。
「君は、学校に通っているのかい?それとも働きに来てる子かな?」
「私は、ここの家の子で、この町にある第二女子学校に通っております。」
すると、男は少し驚いた様子で、立て続けに質問を重ねてきた。
「お金とかは大丈夫なのかい。」
なぜそこまで、他人に心配されなければならないのかと思ったが、特に隠す必要もなかったため、答えることにした。
「いいえ、今はギリギリのところでやっていて、私も働くといったのですが、母は学校に行きなさいといったので。でも将来たくさん恩返ししようと決めているんです。」
これ以上質問されるのは正直いやだったが、男はさらに尋ねた。
「君は、お母さんと二人暮らしなのかい?」
”お母さん”という声にどこか懐かしさを感じて、私は、ここで初めて男の顔を見た。男の顔にどこか兄の面影を感じたが、男が何も言ってこない以上、気のせいだということにするしかなかった。
「ええ、そうです。」
「いつから二人暮らしなんだい。」
この男にはもう、顔に楽しみという色はなかった。真剣というか何かを確かめるようであったが、何を確かめたいのかはわからなかった。
「兄が帰ってこなくなってから、10年ですね。」
男は悲しそうな顔をして寂しそうな声で確信したかのようにこうつぶやいた。
「そうか、10年か。」
少し踏み込んだ質問に、気味悪く感じた私は、足早に階段を渡り、彼を部屋へと案内した。
案内を終えて、自分の部屋へと戻った私は、先ほどの会話を思い出していた。彼の話が、失礼であったとかではなく、彼は兄なのかもしれないということだ。さっきは足早にその場を立ったが、よく考えればその可能性もあった。しかし、あの金回りの良さが引っ掛かるのだった。仕事の手伝いも終わり、いつもなら、もう少し何かするところだったが、宿題が残っているのも承知で寝てしまった。宿題を忘れたのは初めてだったが、それほど疲れていたのだ。
毎日投稿…
こういうの書いてみたかったんですよね