第ニ章 護衛役 レリム召喚
前章の続き 前回、上坂シュウは突如として、ニャミラルから異世界(小説の世界の)神様に選ばれた。そして、ニャミラルは上坂シュウに神様の権利を譲り、自らは上坂シュウの妻として、異世界の設定を構築したのであった。
「姫様を、救出しましょう!!」「はい?」
ここは樹海。そこに、元気な少女の声と、素っ頓狂な間の抜けた俺の声が響き渡る。
樹海なので、体感温度が26度を超えていて、大変蒸し暑い。
樹海と言っても、日本の樹海ではなく、異世界の樹海「バラージアス」という所に俺、上坂シュウはいる。
この目の前にいる元神様、ニャミラルと共に異世界に来たわけだ。
現在では、俺が神様という設定になっているらしい。
それで、どうしてこいつが姫様を救出しようと言っているのかと言うとだ。
端的に言うと、この世界のとある姫様が死んでしまうという設定になっている。
そして、その姫を助けるべき人物が戦死してしまったので、俺達がその姫様を代わりに助けると、ニャミラルから言われたのだ。
理解できただろうか?俺はよく分からない。
なぜなら、今、俺は猛烈に蒸し暑いからだ。
おかげで、来ている服が、汗まみれになってきた。
正常な思考が出来ない、暑いし!
その暑さにも関わらず、何故かニャミラルは暑さを感じていない…わけもないようであった。
しっかりと汗を書いていた。
彼女が来ている服は、どうやら透ける服らしく、汗が体に張り付き、透けて見える。若干エロイと、心の中で思いつつも表情に出さないようになるべく平静を保つ。
「姫様を、救出しましょう!!」
「なんで、同じ事をニ度も言うんだよ?」
「いえ、大事なことなので2回言わないと駄目なんですよ」
キリッとした表情であっけからんと言うニャミラル。
「そ、そうか」としか返せない。
若干うざく思えてきたぞ。
イライラを隠しながら、ニャミラルに再度どうすればいいのかを聞く。
「で」
「で?とは何でしょうか」相変わらず、ニャミラルは暑いのにも関わらず、ニコニコしている。
「姫様を助けるのは分かったけど、具体的にはどうやって助ければいいんだ?俺達2人だけじゃ、流石に無理だろ」
「それは、戦力を作ったらいいのですよ!人体精製です!神様なのですから!」
待ってましたと言わんばかりに、胸をはるニャミラル。
そこをニャミラルの汗が服を伝い、胸がすけてきたので、目のやりように困った俺は、近くの木々に目をそらした。
「人体…精製って作れるのか?本当に?」半ば嘘なんじゃないかなと、俺は未だに疑っていた。
そう、これは夢なんじゃないかと。
「出来ますってば、生命創造、物体、物質を現すものでしたら、どんなものでも創造出来ますよ!」
「どんなものでも…か」
ふと、過去に失ったものの姿が目に浮かんだ。この力を使えば、アイツも創造出来る――と考えたが。
今必要なのは、人の力である。今は考えまい、と俺は考えた。
「よし、今から神の力とやらを使って、人体を精製しようと考えたんだが、どうやったら作れるんだ?」
「え~とですね、まず頭の中に、辞書があると思いますので、そこから知識という塊を取り出して、精製し、イメージするんです!そうすれば、目の前に現れる筈ですので!とりあえず、作りやすいものから作ってみましょう!キーワードは力を込めて、「実行するッ!」ですよ!」
「分かった」
まず、ニャミラルの言うとおり、頭の中に、辞書という知識を引っ張り出す。これは経験していることとして、すんなりと出来た。
すると、辞書が目の前に現れ、開いた。そこに人体精製という文字で検索をかける。
すると一秒もしないうちに該当箇所が出てくる、そのページを選ぶ。
そして、作りやすいものをイメージする、人体、女の子、年齢16歳、赤髪、髪型ロング、性格冷静沈着、武器は日本刀村雨、と辞書にインプットする。
すると、バチバチと音を立てながら目の前の空間に、光の粒子が生成され、人の姿形が出来ていく。
どうやら、これが人体精製の第一段階をクリアしたようだ。
「おおっ!膨らんできましたよ!」ニャミラルが歓喜の声を上げた。
「ああ!」だが、まだイメージが足りない、己のイメージを書き足して行く。
千人の一人の剣の使い手、万の軍勢を指揮できる力、料理が得意、虫が苦手。無口、忠実。これを書き連ねる。感覚で分かるこれは、よしッ、いけるっ!
「祖は、我が盟約、よしッ!!現れよ!我が最強の僕ッ!!!」
「実行ッ!!」
すると、空間の粒子が人の肌色を一瞬で形を取った。
現れたのは、赤髪のロングヘアーで、無口そうなまだあどけなさが残る少女が凛とした姿で立っていた。
ただし…裸で。
何故か、彼女は、無表情ながらも少し顔を赤くしながら、黒のニーソックスを装備していたが。色々と見えてしまったのだ。
「おおう、初めての人体精製で、一発で女の子が…えっと、裸ニーソ…ですか、なるほどこういう趣味が」若干ニャミラルが引いていた。
「マスター…なんなりとご命令を…私の初めてを捧げます」
ぽっと顔を赤らめる少女。
「あああ、違うって!早く服を着てええええ!」
俺は、頭の中に急いで、「服を着せる 方法」とイメージして、似合いそうな服をチョイス。
そして「実行っ!!」素早くセーラー服を着せた。この間、わずか3秒である。
だから、俺は何も見ていないのだ!!健全だっ!
「ええとー…とにかく、この子に名前を付けてあげませんといけませんよ」
なるほど、注意事項として、自分で名前を付けてあげないと絆が断たれ、マスターとして認めてもらえなくなると、時間は召喚してから30分以内、との事が辞書に記載してあったのを発見する。
うん、便利だなこの辞書!
「分かった、じゃあ…赤い髪の毛、だから、ん~レリムってどうかな」
「レリム…」と、少女は呟く。
無表情なので、気に入ってくれたかはどうかわからない。
「おおう、レリムですか!良い名前だと思いますよ、さすが私の旦那様ですっ!」と言いつつ、ニャミラルは俺の腕に絡みついてくる。
すると、ニャミラルの色々な個所が俺に当たる。しかも、それは汗で透けているので色々とやばい感じになってくる。
「だああ、どさくさ紛れに抱きつくなッ!熱いッ!色々と当たってるしっ!」
「げへへへ、当ててるんですよッ!」ふにょん、ふにょんとニャミラルの柔らかい大きい胸が触れたり、離れたりする。
これ以上は色々とやばい。
「ええい、HANASE!今、話的に大事な部分だろお!」
「そんな道理、私のラブコメでこじ開けますッ!」
「やめんかいっ!」
「レリム…大変気に入りました、ありがとうございますマスター」少し、心なしか笑顔を浮かべているレリム。
「おお、良かった、じゃあレリムこれから、宜しくな」と、俺はレリムに手を伸ばし握手をする「はい、マスター」それを柔らかく、握り返すレリム。女の子ては、こんなにも温かったか。ふと、昔の事を思い出す、が、余韻に浸る間もなく一瞬で現実に帰ってくる。
「だあああっ!?何をッ、正妻が居ながら、目の前でレリムとイ甘~~いチャイチャしやがるんですかぁ!私にだって手を握ってくださいいい!ほら、ニギニギ!」と、無理やり、俺の手を急に掴みつつ、胸の谷間へと押し当てる。
「DAKARAやめいいい!」
「離しませんッ!」
「マスター、私もお願いします」そう言って、レリムはぴとっと背後から、俺に寄り添いつつも抱きついてくる。
こうなると、前後左右にニャミラルとレリムに挟まれた形となった。男ならば、一度は経験してみたいであろうノルマはこうして俺は、今日達成した。
のはいいんだけど、熱いッ!変な気分になるっ!
「いや、あのなレリムこれはだな…」と誤解しているレリムに言い訳をしようとするも、
「むううっ!私だって負けませんよおお!」そしてニャミラルは更に俺を抱きしめる力を強める。
女の子二人に挟まれつつも、俺は前途多難な未来しか思い浮かばないのであった。
えーと、相変わらず、駄文で申し訳ありません。楽しんで頂けましたら大変幸いです