夢?
夕斗には目の前で起こっている状況を理解することができなかった。
日が沈んで間もない時刻のことだ。
いきなり何もない空間から刃物のようなものが飛び出て、幼馴染みの右腕を切り落とした。さらに彼女のその腕が目の前から消えたのだ。そんな光景が目の前で起きたら誰だって夕斗のように目の前で起こった事を理解出来ないだろう。
幼馴染みである当事者の日向も自身に起きている事を理解出来ていないのだろう、自分の無くなった右腕を眺めて惚けた顔をしていた。そして5秒ほど間を置き、
「!!!!」
彼女は声に成らない叫び声を上げた。
その叫びが彼女の断末魔となった。
次の瞬間、彼女の首までもがかき消えたのだ。首があった部分から血を吹き出し彼女の頭が自由落下し始めた。そして、その頭も地面に落ちる前に空間から消えてしまった。
その光景を見た夕斗は我に返り、泣き叫びながら、助からないであろう彼女を置き去りにして、その場から逃げだした。
実際には何分走ったのだろうか。夕斗の体感としては10分以上走ったあたりだろうか。
突然、彼の視界に地面が近づいてきた。
最初、彼は慌てて走っているために足を縺れさせたのだと思った。だから、さらに逃げる為に立ち上がろうとした。でも立つことができない。
不思議に思い足元を眺めると膝からしたが血に染まり存在していなかった。その光景を見た途端、夕斗は言葉にできないほどの痛みに襲われた。
その痛みにより、夕斗の視界は真っ黒になった。




