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2話

気付いたらすでに意識がはっきりしていた。

転生と聞いたから僕は今赤ん坊なのかと一瞬思ってしまった。

だが転生だったら普通このような光景、ありえないはずなのだ。

僕の目の前には数多くの子供がいたのだ。幼稚園児とそれに教師らしき人物がいたのだ。

まったく理解が追い付かない僕の脳味噌はしばらくその光景を眺めることしかできなかった。


どうやら僕は異世界の人間に取り憑いた形で転生したらしい。


でもこれは転生と言うのだろうか。これはもう僕は幽霊的な存在であるのではないかと思わせてしまう。

あの神様はほんとに転生させてくれたのだろうか。

てっきり赤ん坊からやり直すというのを思っていたけど、そんなことはなかった。


「アルフ!返事はどうしたの!?」


教師と思われるおばさんがしつこく騒いでいる。

なるほど、異世界ということであってみんな外人みたいな名前なんだな。

ということは今の僕もきっと外人みたいな名前なのだろう。みんなといるということは今僕は幼稚園児のはずだ。

状況をもう一度確認しよう。僕は幼稚園児に転生して、今幼稚園らしき場所にいる。


「アルフ!あなたよ!わからないの!?」


僕を指差しておばさんが騒ぐ。

…え、てか、僕の名前言ってたの?


「は、はい…ん?」


やたら声が高いような気がする。

まだ声変わりの歳じゃないから普通なのだろうか。しかしそれにしては声が高過ぎる。

まさか…嬉しい予感がした。

周りにばれないように、僕は腕を振るうように股間部に手を当ててみる。

なかった。

何がなかったって?ナニだ。ナニがなかったのだ。

胸の高鳴りが止まらない。この思い、どう態度に示したらいいだろうか。

とりあえず僕は元気になった。きっとこれは前より良い人生送れるのではないだろうか。


「アルフ。前のおさらいをしましょう。自分のイメージを手に集中させなさい。イメージするのは炎よ」


そんな興奮を妨げるようにおばさんが話してくる。

魔法だろうか。ラノベとかで出てくるようなものだろうか。

だとしたら嬉しいことだ。きっとこっちの世界の人は炎と聞くと、ただ燃えるだけのものをイメージするだろう。

だが僕は違う。ラノベの力を今ここで試されるときが来たのだ。

ふむふむ。手に宿る炎か。そしたらあれだ、どこかの神父が使ってたイノケンなんちゃら。

あれをイメージしよう。

そう思い、自分の拳を見つめてイノケンをイメージする。


強い爆発音が鳴り響いたと思ったときには、教室が大惨事になっていた。


「ひ、ひいぃぃぃぃいい!化物だあぁぁあ!」

「暑い!暑いぃぃいい!」


そんな声が僕の耳に飛んできた。

一瞬の出来事だった。僕の拳から勢いよく出た炎が教室の中を駆け巡ったのだ。

まるで炎に意志があるかのように。

その炎は次々と幼稚園児を襲う。


「しょっ、召喚魔法!?アルフ!早く魔法を静めなさい!」

「せ、先生!静め方わかりませーん!」


まさか初っぱなからこうなるとは思ってなかった。

もしかしたらこれ、死人でるんじゃないか?


「イメージしなさい!炎が消えるイメージを!」

「あ、はーい」


なんという軽い返事。自分が恐ろしい。

言われた通りに僕は炎が消えるイメージをして、拳から炎を消す。

だが当然幼児から炎は消えず、そのまま死に向かって燃えていった。

おそらくここにいる三分の一は死ぬだろう。

そう思った僕だが、ここで一つ実験してみようと考えついた。

人を使って実験は嫌だが、人を助けると思ってやると思えばいい。

僕がやりたいのは治癒魔法だ。ラノベを一通り読んでいる僕だからできるだろう。

手を広げて、対象に向かってイメージする。

傷が消えるイメージ。炎が消え体が巻き戻るようなイメージを繰り返しにやる。

するとどうだろうか。さっきまで燃えていた幼児からは炎が完璧に消え、皮膚が再生していく。

その光景に、周りがどよめき始めた。


「……はっ!何をしているんですか!蘇生魔法は禁忌ですよ!」


おばさんが我に返り、僕の両手を塞ぐように前に立ちふさがる。

なんだこのおばさん。燃やしたいけど、人はあまり殺したくない。

おばさんを無視し、皮膚が完璧に再生したのを確認すると僕は魔法を解く。

おばさんを素通りし、その幼児の脈を確認すると席に座った。そこが僕の席かどうかはわからないが。


「……あとで両親を呼びますからね。勉強終わったら待っててくださいね」


耳打ちするようにおばさんは横を通りながら言ってきた。

…さて、忙しくなりそうだ。

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