南米大陸とアフリカ大陸
アフリカ大陸が男の子
南米大陸が女の子
「アフリカ大陸、いい加減私たち、結婚しましょうよ」
「えっ?」
5500キロメートル離れた場所から、南米大陸が突然、告白した。
アフリカ大陸は驚きを隠しきれず、一瞬ほど呆けてしまう。
「駄目だよ、アフリカ大陸ちゃん。僕らは、そんな関係じゃないだろ?」
「いやよ。私たちには、愛があるじゃない。関係なんて、無視すればいいの」
「でも、やっぱりさ……」
「何よ! わたしじゃ不満だっていうの?」
こうなった南米大陸は、手に負えない。
南米大陸とは長い付き合いのアフリカ大陸だが、頭に血が上った南米大陸を扱うのは手が焼ける。
しかしどれだけアフリカ大陸が苦労しようと、南米大陸の不満は、アフリカ大陸へと放られてゆく。
「大体、いつになったら私の思いに応えてくれるの?」
「だから……それはいつも断っているじゃないか……」
「何よ! じゃあ私のどこが不満か、いってよ! それを直せばいいんでしょ?」
「そういう問題じゃ……」
堂々巡りが続き、とうとうアフリカ大陸でもこの場を収集する希望が薄れていった。これまで我慢させてきた南米大陸の不満が、いつにも増して激化している。そう言えばここ最近、アフリカ大陸は南米大陸の不満を聞いていなかった。優しいアフリカ大陸は、我慢を強いてきた南米大陸が哀れだとも思ったが、それでもこの関係である限り、結婚は無理だった。
「不満は、ないよ。君は美しい。でも、それは別の大陸へ向けるべきなんだ」
「嫌よ! 私はアフリカ大陸が良いの?!」
「でも……やっぱり駄目だよ。解っているんでしょ? いい加減、君も大人になってよ」
「嫌! 嫌よ!」
特別大きな否定が、アフリカ大陸へと向けられる。
「私は、あの日の一体化が忘れられないの! あなたと一緒に過ごしたあの日々が忘れられないの! あなたと離れ離れになるなんて絶対に嫌!」
南米大陸の悲嘆をアフリカ大陸はうつむきながら聞くと、申し訳なさそうな声で言った。
「でも、しょうがないだろ? 僕らは同じ大陸からできた兄弟なんだ! 結婚なんて、無理に決まっている!」
「でも! 後何億年かしたら、アフリカ大陸はユーラシア大陸と合体するじゃない!」