彼×彼女
月夜の闇猫様の主催企画、“病愛、ヤンデレ増殖企画”参加作品でございます。初めてヤンデレに挑戦しました。
1.“彼”
俺は、明後日に17になる高校生だ。
俺には付き合いたいなー、って悩む可愛い幼なじみがいる。可愛くて可愛くてたまらない、ひとつ上の幼なじみが。
「あーきーっ!」
玄関を開ければ、彼女が今日も待ってくれていた。小柄で華奢な、触ったら壊れそうな体。抱き締めたら折れてしまいそうで、いつもただの触れ合いだけでも緊張してしまう。
「はやくいこっ!」
俺の学ランの裾を引っ張り、行こう行こうと無邪気に笑う笑顔が、俺には眩しい。上目遣いで見上げてくる彼女を、抱き締めたくなる。でも、我慢だ。
「行こうか」
今日も俺は理性と戦いながら、学校へ向かう。
家がすぐ真横のいわゆるお隣さんで、物心ついた頃には、俺の横には彼女がいるのが当たり前になっていた。
「あき!」
舌足らずな鈴が鳴るような声で、彼女はいつもいつも俺の服を引っ張り、俺のそばにいた。それが当たり前だった。高校生になり、同じ学校に通えなくなっても。俺はあまり頭がよくなく、彼女が通う進学校に入れなかった。
けれども、彼女は毎朝途中まで一緒に行動してくれるのだ。帰りも、時間をあわせて一緒に帰宅してくれる。
「じゃ、ここまで! また帰りに! 忘れたら嫌だからね!」
今日も、駅前で別れる。彼女は二駅先の駅で降りる。俺は駅前からバスに乗る。
手を振りながら、何度も振り返り―――時折照れたようにはにかむ彼女。
彼女は成長するにつれて、どんどん可愛くなっていく。彼女と歩けば、必ず男がこちらを振り向く美しさを持っている。
今だって、ほら。周囲の男どもが、彼女を見て惚けている。
―――見るな、見るな!
彼女の美しさに、他の男が引き付けられる。そのたびに、俺は……胸がしめつけられて、痛くなる。胃がキリキリする。
―――見るな、見るな!
彼女はとても可愛い。まだ、俺のではない。君は、誰のものでもない。
でも、君はいつかは誰かのものになるのだろうか。
―――許せない。
誰か知らない野郎の横で、彼女が俺に向ける笑みを浮かべて……嫌だ、それは嫌だ。
―――それなら、いっそ。
彼女を、見るな。
彼女の横に、立つな。
―――それなら、いっそ。閉じ込めてしまいたい。俺の腕のなかに閉じ込めてしまいたい。壊してしまいたい。俺の手で、俺の手の届かない場所に行ってしまうまでに。
『あき、あき!』
―――あぁ、でも。そんなことをしたら、彼女は嫌がるだろう。俺を嫌うだろう。
そんなことをしたら、彼女は二度と俺の名を呼ばないだろう。そんなことをしたら、彼女は二度と俺に笑いかけないだろう。
「はる」
俺は、彼女が好きだ。
だから、閉じ込めてしまいたい。壊してしまいたい。
でも、彼女が嫌がるかもしれないから。
この危ない考えには蓋をしよう。
「はる」
でも、いつかは必ず。いつかは、俺は君に気持ちを告げる。
それまで、この危ない考えを閉じ込め、隠そう。
そして、気持ちを告げたら……もし叶わなかったら、この危ない考えのふたを開けるかも、しれない。
2.“彼女”
あたしには、誰にも渡したくない彼がいる。
まだ彼氏じゃないけど。でも、周囲には彼氏だと誤解させている。
だって、彼は格好いいのだもの。変な虫がついたら大変でしょう?
彼の横に、あたし以外がいるなんて許せない。だから、あたしはまず外堀から埋めたのよ。
まず彼の家族から。いつも一緒にいるのを当たり前にしたの。何年も、何年もかけた甲斐があって、ついに公認をいただけたわ。
次に、周囲。友達とか、ご近所とか、学校とか。いつもべたべたして、牽制したわ。
それでも来るときは来たから、ちょっとお話しして、二度と近付かせなくしたの。しつこい子もいたわね? ふふ、あの子は……今頃、行方がわからなくなってるんじゃないかしら、ふふ。
今日も、彼を見つめる輩を牽制しながら一緒に駅までいったのよ。
―――あんたたち、あたしのあきを見てるんじゃないわよ。
ああ、何度も何度も思うの。他の輩が彼を見るたびに、思うの。
―――監禁して、あたしだけのあきにしたい。
彼は、あたしに夢中なのはわかってるわ。一途すぎて、たまに変な考えにいたることも気付いてる。
そんなときは、それだけ、あたしは愛されてるって悦びを感じる。
でもね。彼は自分が気付いていないだけで、もてるのよ。よりどりみどりなの。
だから、いつか……あたしのこの感情に気付けば、逃げるかもしれない。他の女に逃げるかもしれない。
それだけは許さないわ。
あたしを見て。あたしだけを見て。
彼を見るな、彼を見るな。
「ああ」
―――あたしだけのものにしてしまいたい。
いっそ、あたしだけを見てもらうために。
世界を、壊してしまおうかしらね? ふふふ、ふふふ―――
彼は彼女がヤンデレだと知らない。
このヤンデレ、ソフトですかね?初めてヤンデレさんを書いたので、よくわかりません。
ちなみに彼は、ヤンデレかけましたが、彼女に嫌われたくないのでヤンデレ化ストップ。
彼女はすでに幼い頃からヤンデレの世界にいっちゃってます。裏でかなりひどいことしてます設定です。