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目覚め

ルビの振り方が分りません

 秋翔あきとが初めに気がついたのは、鼻腔をくすぐる花の匂いだった。どこか懐かしいような、そして暖かい香りだった。その甘い香りはとても好きになる香りだった。

 とても気分が良かった。どこかで聞こえる鳥のさえずりや、体を包み込むような暖かさも全てが心地よかった。

 しかし、それによって秋翔はある違和感を覚えた。コレは何の香りだ? 何故聞こえる? と。

 普段は寝起きは悪くなかなか目を開けれない秋翔だが、今は普段ではなかった。

 「なんだ?」

 そういって、秋翔は目を開け体を起こした。

 そして。

 「・・・・・・・・・・・・なんだよ、これ?」

 彼はいつも自宅のベットで寝ている。他に寝たことがあるのは、修学旅行などで行った旅館やホテルだけだろう。まして野外で寝たことなど一度もない。まあ、キャンプなどには憧れているのだけど。

 そこには、見たこともないような草花が咲き誇っていた。日本でも良く見かけるような花や、絶対同じ気候では咲かないであろう色とりどりの花畑が目の前には広がっていた。

 「え? なんだよ? あれ? え、ちょっとまって・・・・・・え?」

 柄にもなく取り乱してしまっていた。

 手を地面について立ち上がろうとする。すると地面が柔らかい事にも焦ってしまう。秋翔が下を見るとコケのようなしかしコケではない、フワッフワの植物――見たこともないけど一応植物なんだろうと思う――が秋翔の体の回りにはあった。

 「・・・・・・凄げぇ柔らけぇなコレ・・・・・・なんだ?」

 軽く押してもすぐ元に戻ってしまう。それに弾力性もあった。こんな素材の枕があれば絶対売れるだろうと考えてしまう。秋翔は意外と枕には五月蝿い人だったので――そのほかの生活用品にはこれといってこだわりはなかった――ふとそんな事を考えてしまう。

 「・・・・・・マジ柔らかいな。・・・・・っと」

 掛け声と共に立ち上がる。

 そしてそこで改めて周りを見渡してみる。

 なんというか不思議な景色だった。

 さっきも言ったように色とりどりの花が辺りを埋め尽くしている。赤や青、黄色や青紫など普通なものもあれば、黒や白、グレーなど見かけない花もあった。

 「・・・・・・夢・・・・・・・・・・・・なのか?」

 この歳にもなって――秋翔は1ヶ月ほど前に近所の公立高校に通うようになった16歳だった――こんなメルヘンチックな夢見るのかよ・・・・・・と秋翔は落ち込んでしまう。

 「あ。コレは普通にタンポポじゃねぇ?」

 秋翔は屈んで確かめてみる。黄色の色をしており、花びらが何枚にも分かれている。葉は緑でどこからどう見てもそれはタンポポだった。

 秋翔は知っている花があり心なしか落ち着いてしまう。

 花に気をとられていたが周りを良く見渡してみると、近くには川も流れていた。ほかにも、近くを飛んでいる蝶なども色とりどり――コレも知らない種類だろう――だった。

 「あ~・・・・・・。マジでどこだ? ココ」

 アニメとか漫画とか小説とかでは、このように未知な世界に飛ばされた人――そうとは限らないけど。それに夢かもしれない。こんな夢はごめんだけど――は何者かに襲われたり、美少女と出会ったりするんじゃないの? と秋翔は思う。

 「まあ、歩いていけばなにかあるだろう」

 秋翔はそういって川の辺を下っていった。

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