桜の下
これが初めての投稿でジャンル分けに関しても全くもって分からないので私が感じたジャンルにさせて頂きました。検索妨害、ジャンル違いとなっていたら誠に申し訳ありません。
櫻の樹の下には屍体が埋まっている。
櫻の樹の下にはキミが眠っている。
これは何故キミが眠る事になったのかを綴った話である。
プロローグ
あれは櫻が散る冬の事であった。
当時十八歳の僕はその日、小説に影響されたのか屍体が埋まった櫻を探しに櫻並木へと一人歩きに出た。場所は確か東京の根側緑道だったはずだ。小説の記述では屍体が埋まっている櫻は色が違うとあった。その為色が違う櫻を探していた。然し中々色が違う櫻を見つける事が出来ず、ただ満開の櫻を横目に歩いているに過ぎなかった。そんな時の事であった。まるで、一本だけ屍体が埋まっている櫻の様に一際際立ちて無類の美しさを放つ彼女がいた。他の美しさで例えるなら、枯れた砂漠に咲く一輪の華の様な。そんな櫻の様に特別な彼女は憂いを帯びた表情をしていた。そんな彼女に僕は不思議としての表情を浮かべていたと、同時に見惚れていた。僕が怪訝な表情を浮かべていたのに彼女は気づいたのか、彼女は僕の方へと歩いてきた。僕はその時何とか取り繕うとして必死の言い訳を考えていた。ただそれも虚しく間に合わず近づいてきた彼女は僕の手を握り言ったのだ。
「私を埋めて」
「え。」
唐突にそんな言葉を言われた僕は勿論の如く固まった。
「私を 埋めてください」
繰り返し彼女はそう言った。だがそれにより僕の固まりもとけることはなく。
それに気づいたのか彼女は冷静に言葉の意味を話し始めた。
「私は決して美しいとは言えない人生でした。ですが最期は美しくありたいと思ったのです。」
なるほどな。と、僕は思った。
人の本質は人の最期に現れる。例えば、酷く醜く生きてきた人が最期に美しく死にたいと望み美しく死ねばその人は美しくなる。
ただ僕としてもこんな容姿端麗の美人を埋めて死なせる訳にもいかず、言葉により彼女を生かそうとした(埋める勇気が無かっただけかもしれないが)。
「僕がこの日から来年の三月二十日までの一年間、貴方の人生を埋める必要の無い美しいものにしてみせます。そしてその先も」
そう言うと彼女はファムファタールの様な妖しくも美しい魔性の笑顔を僕に魅せた後只、一言。
「是非とも」
その時の彼女は美しくあり過ぎた。
これは梶井基次郎氏の短編「桜の樹の下には」から着想を得ています。そこから恋愛要素を技術もない中入れて広げたので拙い出来になっています。ですが私は気に入っています。
お目汚し誠に失礼をば