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女力士への道  作者: hidekazu
女力士
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元横綱としての次の道

「葉月山。引退会見見さして貰いました」電話の相手は横綱百合の花。

「もう葉月山ではないんだから葉月でいいですよ横綱」葉月は笑いながら・・・。

葉月山は引退後も現役時代と同じように稽古を続けていた。

「噂で女子相撲日本代表の監督になると聞いたのですが?」百合の花は尋ねる。

葉月は少し照れくさそうな声で答える。

それは事実であり、すでに監督就任に向けて準備をしていた。

葉月は続ける。

自分は確かに力士として世界大会五連覇を達成したけど今度は指導者として戦えればと云う思いはあったけど本当になるとは考えてもいなかったの本当に・・・。でもやる以上全力を出し切るつもり指導者として当然百合の花が絶対横綱として日本のプライドとして戦ってもらうわよ」百合の花はそれを聞いて嬉しかったのか涙ぐむ。

「もちろんわかっているわよ。私だって日本の絶対横綱としてのプライドかけて負けないわ」

「ならよし!じゃあ来年はよろしくね」

「えぇ任せてください!」

そして二人は電話を切る。


 そして年明け、世界選手権初のプロアマ混合団体戦かつ地元開催でありいつも以上に注目度が増してくる。そんななか日本選手団団長を務めることになったのはなんとあの新横綱の桃の山である。

桃の花は新横綱のとしてその実力は折り紙付きである。

桃の花は記者会見でこう述べた。「今回の大会は私が女子相撲界を引っ張っていくためにも絶対に優勝してみせます!!」と力強く宣言する。

その言葉に会場中から大歓声が上がる。

その様子に桃の花は満足げな表情を浮かべる。

隣には横綱百合の花が苦笑している。その後、桃の山はインタビューに対して「優勝する自信はあるか?ですか。あります!!必ず優勝してきます!!」と答えた。

その言葉を聞いた記者たちは「頼もしいな」「期待して待っていよう」などと口々に言った。


そして場所は両国国技館。女性が土俵に上がることはご法度だと通してきた相撲協会だったが今回は特例として認めたのだ。世界の女子プロアマ強豪力士が一同に集結。当然彼女らの目的は日本女子包囲網。日本女子には想像を超える厳しい戦いが待ち受けている。世界の強豪たちが集まるこの世界混合団体選手権。


果たしてどんな結果になるのだろうか。


日本チームは先鋒 アマチュア界の女子横綱石井さくら弱冠十七歳の高校生だが素早い身のこなしと瞬発力はプロ力士にも一目置かれる若き力士である。小中で無敗。高校生になっても敵なしの快進撃。葉月監督は将来を見据えて推薦で彼女を代表チームに入れ経験をさせた。将来の女子角界のために。


中堅は新横綱の桃の花。横綱だった母・大関だった父の間に生まれたサラブレット。鳴り物入りで角界に入門。三役まであっという間に駆け上り一気に横綱かと思われたがそこに立ちはだかった二大横綱の葉月山・百合の花の前に苦戦。途中大きな怪我もあったが不屈の精神力と努力・そして天性の素質がさらに開花して現横綱を完璧なまでに倒して横綱に昇進。監督である葉月山の弟子として百合の花と角界を引っ張る人気力士である。


そして大将はもちろん絶対横綱百合の花。高校時代はけして強くはなくどちらかと云えば女相撲に否定的な一面もあったがまだ幕下だった葉月山の華麗な相撲に魅了された。相撲に否定的な気持ちが揺らいだ。大学に進学しても相撲を続けてみようと思ったのはその時だった。それから翌年補欠要員として世界大会でエキビジションとしてプロアマ混合に選ばれた時に大将として出場していたのが椎名だった。

補欠要員で参加した河合真子(百合の花)だったが先鋒の選手が一回戦で怪我で出場不可能にそこで急遽真子が・・・・。

「私が・・・」

極度の緊張に体も心も思うように動かない。その時声をかけてくれたのがまだ三役に上がったばかりの葉月山だった。


「大丈夫だよ落ち着いてやれば」そう言ってくれた。

―葉月山は笑顔で

「少しあたり稽古しましょ」

「えっ・・・でも」

「そんな体が動かないんじゃ勝ち負けよりも怪我をするわよ」

「はい」

「私の胸を借すからしっかりあたってきなさい」

「わかりました」

「さぁきなさい」

「はい」

それから何度もぶつかり稽古を繰り返した。

「いい感じじゃない」

「ありがとうございます!」

眞子は一礼して控え部屋に戻っていた。

そのあとの試合はまるで別人のような快進撃で優勝へ導いた。

その後角界に入り葉月山を追いかけるように・・・・・。そして今、絶対横綱として君臨する彼女はもうすぐ三十路を迎える。




―葉月は覚悟を決めていた。理事長から監督の話を要請された時は断るつもりだったが・・・・


「理事長からの要請は大変光栄に思いますが今は引退して間もないですし少し休ませてほしいです。いきなり日本代表監督と云われても」

―指導者への道は考えていることは確かだがいきなりはさすがに無理がある。確かに指導者試験には合格したが・・・。

「私はまだまだ勉強しなければならない身分です。ふさわしい方はもっといらっしゃいます。ですから・・・」

「葉月、いや元絶対横綱葉月山と云いましょうか。私から絶対横綱の称号を奪ったあの場所忘れてないわよね」

「・・・・・・」

「あなたの死闘で私は全体力・精神力・すべての技術持っているものは投入しても勝てなかった」

「紗莉奈さん・・・」

「女子相撲界をあなたなら任せられると思ったし実際これだけ確固たる地位を築くことができたのはあなたが中心になってくれたことは誰も異論がないはず」

―理事長は葉月の目を見ながら

「女子相撲界のために・・・・お願いしたい」紗莉奈は頭を下げた。

「ちょょょっとやめてください。頭を下げられる意味が・・・・」

「葉月、あなたがどれだけ相撲を愛しているのか知っている。だからこそ頼むのよ。代表監督にふさわしい人物はあなたしかいない。私はあなたが引退した時から考えていたの指導者免許をとったのはそいうことじゃないの?」

「わかりました。引き受けさせていただきます。ただ条件があります。私が監督になる以上は結果が出せなければ相撲界から身をひきます。単なる口約束ではなく本当にです。あとで文書として会長に提出します。それでよろしいですね」

ー紗理奈の顔が厳しくなる。

「なんのつもり?そこまで自分を追い詰める必要があるの・・・」

「理事長。いや元横綱妙義山。絶対横綱と云う称号をファンから受けてそれを守り抜いてきた。それもいつも引退覚悟で・・・・」

「葉月・・・・」

「紗理奈さんが女子相撲協会の理事長になられたことはすごくうれしかった。けして順風満帆ではなかったし色者扱いで見られたけどそれでも邁進して世界的に認められた功績は誰も異を問う人はいません」

「私を独断で代表監督に任命したのはうれしいですが私には紗理奈さんらしくないと云うかどんな時でも和をもってきた理事長が・・・なんで私を・・・アマチュア相撲関係者からも異論が噴出していることは私の耳にも入っています」

「・・・・・・」

「この話は辞退させていただきます」と頭を下げた。すると突然紗莉奈は立ち上がり机を叩いた。そして大声で

「あんたが相撲を愛さないでどうする!自分の土俵で戦わないで何が元絶対横綱よ。それに相撲は神事でもあるし日本の国技。それをないがしろにするなんて言語道断。あなたの相撲にかけた生きざまはその程度なのか答えてみなさい葉月山!」

―今までこんな鬼の形相の紗理奈をみたことがなかった。鬼の勝負師と云われた現役時代の妙義山でも・・・・。その迫力に押されながらも

「申し訳ありません。失礼なことを云いました。しかし今の私は・・・」

「わかっている。だからあなたを試す。あなたが相撲を心の底から愛しているかどうか。もしあなたが相撲を嫌いになったらその時点で監督を辞任して構わない。晩年のあなたの相撲は百合の花や桃の花に自分のもっている相撲道を伝承していたでしょあなたは否定するでしょうけど・・・・」

「そんなことは・・・・」

「私だってあなたのファンだったんだもの当然でしょ。あの時のあなたの相撲は今でも忘れられないわ。今思い出しても涙が出るくらいに・・・」

「紗理奈さん・・・」

「葉月、私はあなたを信じてるわ。もちろん他の選手もね。期待しているわ」そう言い残して部屋を出て行った。

―葉月は複雑な気持ちであった。まさか紗莉奈からあんな言葉が出てくるとは思わなかったからだ。

―数日後、葉月は女子相撲協会の理事会に出席した。理事のほとんどが女性である。男性はほとんどいない。

―元葉月山は理事長の隣に座っている。葉月はグリーン色でチェック柄のダブル ジャケットにベージュのセミフレアパンツの様相で「本日集まってもらったのは他でもない。来年行われる世界相撲選手権大会の代表監督についてです」

ー会長の紗理奈は現状での世界女子相撲界においての日本の立ち位置や団体十連覇という前人未到において各国の選手強化策への日本チームへの危機感を説明したうえで世界的にも認知度高く実戦感覚を兼ね備えた監督の必要性を説き元横綱葉月山への監督就任にたいし各理事たちへ承認をもとめた。

「ちょっとよろしいですが」女子大学相撲連合の理事長である倉橋真奈美だ。倉橋は女子大学相撲で最強と云われる西経大学相撲部の監督でもある。

ーどうぞ倉橋さんと理事長。

「選手の構想はまとまっているのでしょうか?百合の花・桃の花は当然として一人アマチュアを入れなければなりませんがそこの辺のことをお聞かせてほしいのですが」

ー倉橋は当然自分の相撲部から選出されるのは当然であるとおもっている。大学相撲選手権個人連覇・ジュニア世界選手権でも高校制時代から含めると五連覇を達成している稲葉映美がいるからだ。

「頭の中には既に決まっていますが今は差し控えたいと思います」葉月は公表することを拒んだ。

―ざわつく室内。倉橋はさらに

「公表できない理由があるんですか?二か月後なんですよ世界大会は当然それに向けての強化もあるのに公表できないなんって」

「該当者には追って部の監督に連絡をいたします」と葉月はばっさりと倉橋の発言を断ち切るように・・・・。

「みなさんどうなんでしょうかそれは納得できますか?少し独断すぎやしませんか?」

ーここぞと山下理事長が口火を切った。

「それでは多数決をとりましょう。賛成の方挙手をお願いいたします。はい過半数を超えましたので決定いたしました。ご苦労様でした。これで終わります」

「待て!まだ話は終わってない!」

「もう終わったことです。倉橋さん」山下理事長はぴしゃりと閉める。そして解散となった。

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