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女力士への道  作者: hidekazu
それぞれの想い・それぞれの願い

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郡上の夏 ②

-------会場駐車場-------------


「珍しいですね、監督が郡上にいらっしゃる何って」と明星の島尾朋美監督


「うーんなんかねえ、今回はちょっと行ってみようかなって、いつもは部員達に任せてあるし郡上はどちらかと云うと草相撲みたいな大会だったから今は大分大きくなったけどね」と倉橋真奈美


「私はこの大会に出れるチャンスはなかったけど・・・」


「悪かったね」


「いやそんな意味じゃなくて・・・」と朋美は別に悪気はなかったのだが・・・


 郡上の空は青く雲はあるが今日の最高気温は30℃に達すると天気予報では云っていた。めったに来ない郡上に来たのに特別な理由はなかったのだが・・・。


「さくらの事なんですが?」といきなり切り出す朋美


「さくらの事ね、大学のほうから聞いてるし8月の下旬に改めて面接してそのあと正式に大学のほうから行くでしょ?改めてと云うかそんなの私に云われたって私が合否を決めているわけじゃないんだから」


「まぁー、ただ一応相撲での推薦なんでそれに成績含めまぁまぁさくらにとっては楽ではない基準なんで・・・・」


「でも、大学側から過去の模試の成績やら学校活動の評価なり見せてもらったけどさくら頑張ってるしあなただって特別授業やって色々やっていたみたいだしそれがあの結果何ら私個人として何も文句は云うつもりもないし、ただまぁー色々は云われていると云うか・・・・」


「何をですか?」


女子相撲をやっている大学からすると石川さくらは、当然欲しい存在。当然、高校には大学への誘いは来ているはず、そのことを朋美は云わないのは私に対しての気遣いなのかもしれない。朋美が西経のOGと云うことで大半の大学はあきらめと同時に「結局、倉橋の西経か・・・」と陰口を叩かれているのだろうと想像がつく。倉橋本人は石川さくらに直接勧誘もしたこともないし出稽古は主将の提案であり・・・。中学時代のさくらを付属高校に入れるために動いた自分が今思うと信じられないと云うか・・・。


「稲倉と石川を揃えるのは・・・って他の大学から云われそうでね、別に強引な勧誘とかしてないし・・・ただ、中学生のさくらを付属高校に入れようと想ったことは事実だからそのことを考えればそう云われてもしかたがないがましてや朋美はうちのOGだし余計にね」


「正直云えば高二の春ぐらいから他大学から誘いはありまして、ただその頃はさくらの中に女子大相撲への入門も視野にあって、本人には話したんですが迷っていて西経に行きたいと云いだしたのは秋の終わりぐらいなんです」


「朋美、私はねさくらは卒業後女子大相撲に行くのかと想ったのよ、稽古相手の圭太君がさくらは卒業後女子大相撲に行った方がいいんじゃないのかって」


「圭太が・・・」


「それは、混合世界大会で答えを出すんじゃないのとは云ったけどね、でもその答えが西経に来るってことだから私としては嬉しいけどね」


「さくらの事お願いします」と頭を下げる朋美


「教師ってそこまでするのかい?」


「監督が部員達の卒業後の進路を心配するのと同じですよ。監督は相撲の成績以上に卒業後の進路を個々の選手達を監督は絶対認めないでしょうが企業からのスカウトには監督からの紹介もあったって少なくとも私の同期の中の何人かは・・・」



「紹介するにしても本人が紹介に値する人物でなければ紹介しないよ、もちろん本人の意向もあるしね、ただ私なりには選択の余地を増やしておいてやりたいだけだし、実際部員に蹴られた企業はいっばいあるしそんなことは気にしていないし企業には絶対私の名前は出さないと約束させるけどね、でも西経相撲部のOG達がちゃんと頑張って企業や社会で活躍していることでOG達が就職した企業から褒めてもらいえるのは相撲で優勝した以上に私は嬉しいし誇りを持っているんだよ。


 だから最近は私の方からってほとんどないよ、その中で教師であり・アマチュアの指導者と云うのは朋美だけだからね、ライバルではあるけど・・・」


「西経から女子大相撲力士になる部員は少なく出世したのは私の後輩の伊吹桜って云うのは寂しいんじゃないかと想ったりもしてるんですが?」


「正直云うと、伊吹桜が大関昇進まで決めるとは想わなかったんだよ。里香は理数系の秀才だし企業からのスカウトも引く手あまただったのに女子大相撲に行きたい何って云うからそれは口では自分の想うとおりにやってみなとは云ったけど本音は何でそんな博打みたいなことをと想ったりしていた自分が恥ずかしいよ、そんなことは口が裂けても云えないけどね、でも里香は大関まで決めた。


 西経の選手は大成しないって云われていたことはそんなには気にはしていなかったが・・・それは私だけで本人達は気にするに決まってるよね、それを打ち破ったことに私は感謝しないといけないのかもしれないけど」


「その意味ではさくらは女子大相撲志望です。監督にはそのつもりで御指導いただければ・・・」


「今年、卒業した江頭が幕下優勝できたのも伊吹桜が色々アドバイスをしてくれたらしい私も自分なりにはそのつもりで指導してきたつもりだけどやっぱり本物の力士のアドバイスは入門したての力士達には心強いしお手本がいるんだからなモチベーションも高く維持できる。その意味では私なんか大したことはしてないよあくまでも本人次第。それにちょっと自信をつけさせてあげるそれが指導者としての役割だと思うようにしているんだ。色々云いだすとねぇ」と真奈美


「やっぱりまだまだ私は指導者としては・・・」


「朋美、長年やっていれば気づいてくるし歳を取ると人間も丸くなるもんだよ、私も最初に監督になったころから比べると・・・」


「はぁぁ・・・」


「何か云いたそうだな・・・えっ」


「いやいや・・・おしゃる通りでございます。はい」


 そんなどうでもいい話をしながら雑談をしていると真奈美は一台の車に眼がいった。


(市川ナンバーのCX-5?どっかで見たような・・・・)


 全国大会なのだから別に関東ナンバーの車が駐車場にいても不思議ではないのたが・・・・。


「あれれ、西経と明星の監督が何々談合か?」とニヤニヤしながら近づいてきたのは東の女子相撲女王の青葉大学監督諏訪瑠璃子だった。


「珍しいわね、あなたが郡上に来る何って何年振り?」と瑠璃子


「10年ぶりぐらい忘れたけど」


 諏訪は真奈美の隣の朋美に挨拶する。


「うちも石川さくらにアプローチしようと思ったけど結果は見えているんであきらめたけどね」


 それを聞いて当惑している表情を見せる朋美。


「瑠璃子、あんまりうちのOGをいじめないでくれるかいそもそも本人が西経一本なんだから」


「朋美さんあくまでも冗談だから・・・申し訳ない」と瑠璃子


「えっあぁぁ・・・」と余計に当惑する朋美


「朋美、瑠璃子はこれでなかなかの洞察力と云うかリサーチ力もすごいからね、噂ではあんたのところの付属高校が阿部沙羅にご熱心だとか?」


「えっ!?」と驚く瑠璃子


「まったく、それは演技なのかそれとも本気なのかどっちなんだい?」


「ふっ……まいったな、あんたの元夫でなおかつ再婚相手のクラブの子って聞いたときは躊躇したけどあくまでも付属高校の話だから・・・旦那から聞いたのか?」と瑠璃子


「光はそんな口軽くないから、この前久しぶりに沙羅ちゃんにクラブで会ったら相談されてね、西経の私に」と失笑する真奈美。


「なにそれ・・・」と瑠璃子


「青葉大学も悪くない選択だと思うって云っといたわ」


「それだけか?」


「それだけよ、ただ本人は西経に来たいらしいけど‥‥」と苦笑する真奈美


 すでに駐車場は満車の状態になっており入りきれなかった車はちょっと離れた第二駐車場に回されている。


「そう云えば、山下理事長が来るって、ちょっと意外と想ったが」と瑠璃子


「改心して少しはアマチュア相撲にも興味を持たんじゃないか・・・・」


「よく云うねぇ真奈美も、本人の前で云ってもらいたいね」


「アマチュア力士がいなければ女子大相撲も成立しないんだから、まぁーこんな遠くまで来てもらったのには感謝するけどあくまでもプライベートと云うことらしいところが理事長と云うか紗理奈さんなりの女子大相撲のプライドと云うかいい加減そんなこともやめたらいいと想うが素直じゃないんだよまったく」


「挨拶ぐらいはした方がいいんでしょうか?」と朋美は真奈美に聞く


「会ったら軽く会釈ぐらいすればいいんじゃないかいあくまでもプライベートなんだから」


「はぁー」


「それで真奈美は優勝できそうですか今回は」と瑠璃子はニヤニヤしながら


「人の心配する前に自分のところ心配したらどうだい」と真奈美


「朋美さん、もう一回高大校の再現でこの女の鼻っぱし折ってくれよ高校選手権で優勝するんだから稲倉の調子もいまいちのようだからチャンスだよ島尾監督」と瑠璃子。


 チラッと真奈美の表情を見る。何やら笑みを浮かべながらワザと朋美からの視線をずらす・・・。


「まぁー明星は西経に胸を借りる立場ですので・・・前回は偶々勝ってしまったので・・・ハイ」と朋美は謙遜しているような素振りで・・・。


「だってよ、真奈美」


「(* ̄- ̄)ふ~んそうかい・・・今回はさくらの考査で来たのもあるしねぇ」と真奈美は意地悪く


「考査???・・・それってどう云う意味ですか?まさか!」


「まさか?まさかって・・・・なんだろうねぇ」


「・・・・・」朋美は真奈美を睨みつける


「真奈美も性格悪くなったね全く。島尾監督、あんただってOGなんだから分かるだろうにジョークだよジョーク全くもう・・・真奈美、本当に誤解されるよあんたは」と笑う瑠璃子


「舌戦でちょっとプレッシャーかけておかないと、調子に乗らすと厄介なんでこの女は」と澄ました表情の真奈美だが目は笑っている。真奈美は一人会場に向かって先に歩いていく。


後から、朋美と瑠璃子も並走しながら相撲場へ


「真奈美は常に西経OG達の事を気にしている。ちゃんと社会人として生きていけているのかって、真奈美が女子相撲部の監督として常に想っているのは、社会人としての忍耐力であり精神力、その苦しみから抜け出し扉を開くインスピレーションを相撲を通して養ってほしい、【文武両道】をモットーとしているが多分真意はそこなんだよ。


 あんたも含めて西経相撲部のOG達が多種多彩な分野で活躍していることからすれば女子大相撲入門者が少ないのはある意味必然だと想うよ。みんな相撲に関しては燃え尽きてしまうんだよ大学時代にそして真奈美はそれを意図的にやっいてる。まるで女子相撲に行かせないように・・・行ったとしてもすぐ廃業してしまうように」


「瑠璃子さんそれって・・・」


「ただね、稲倉だけは違うみたいね、真奈美にとって初めて女子大相撲力士として見てみたいって想っているみたいなのよ。ただ本人はそうは想っていなかったし医学部だし医師の国家資格を取ることを目標としていのなら相撲をやっている時間はそうそう取れない、でもあの混合世界大会で稲倉は医師の国家資格と条件付きの入門に挑戦することを本人が初めて真奈美に云ったらしいのよ。


 国家資格は何回でもチャンスがあるけど女子大相撲の場合、稲倉には一回しかチャンスはないどころか入門前の二年間の間に全日本選手権の優勝もしくは世界選手権三位以内をとっていなければ入門資格すら与えてくれない。それを医師になるための勉強をしなければましてや5年・6年は実習が入るわけだからそこを割いて相撲をする時間なんか取れるのかしら?ただ、真奈美はそれをどうするか考えている見たい、真奈美にとってそこまでしたい逸材なのよ稲倉映見は、だから郡上に来たのは稲倉の試合を見たいのが理由、稲倉も三日前まで妙義山の稽古相手としてタイまで遠征したのは稲倉本人の意向だったみたいだし・・・」



「監督にとっては初めて力士にしたい逸材に出会ったてことなんですね?」


「最初で最後の・・・・そんなところなんでしょ今の真奈美は・・・」





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