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女力士への道  作者: hidekazu
それぞれの頂へそして扉の向こうの世界へ

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決戦 ! 日本vsロシア ⑧

 映見は土俵下で一旦立ち止まり深く深呼吸する。映見の姿を見ると館内は一気に盛り上がる


「映見さん!」と土俵下で座っている桃の山が声を掛ける。


「桃の山さん、コザノワは私が仕留めます。横綱はロシアの絶対横綱アレクサンドロワ アンナをお願いします。最後の砦は横綱桃の山さんでなければ・・・桃の山さんがいるからおもっいきり行ける。行ってきます横綱」と映見は後ろを振り向き大きく頷く


「映見、私はこの大会に自分の相撲すべてをかけて挑む。負けた時は私が責任をとって引退するわ!女子大相撲の横綱としてこの大会の真の目的はロシアの覇権と日本潰し!もう映見と私しかいない・・・百合の花さんはもちろんだけどこの大会での映見とさくらの活躍がなかったらここまでこれなかった。最後の責任は私が取るもし優勝できなかったら戦犯は私だから・・・もちろん負けるつもりはさらさらないけど」


 桃の山は厳しい表情で映見を見る。自分の脆弱な心がすべて、それは日本チームそのものが脆弱な印象を与えてライバル国は日本は弱いと云う印象与えたことは間違えなかった。ましてや桃の山は参加しないとなればますます。しかしフタを開けて見ればアマチュア二人の活躍、決して調子のよくない百合の花の魂の相撲で準決勝からの桃の山の参戦、そして決勝は一勝一敗でアマチュア女王の稲倉映見が土俵に上がる。


「絶対に優勝しましょう!売られた喧嘩を買って負けるのは絶対に嫌なので」映見も厳しい表情で桃の山を見る


「えぇもちろんよ。ロシアは私を潰せたと想っている実際に潰されかかったけど・・・私もこのままでは終われないし終わりたくない!」桃の山は力強く自分自身を奮い立たさせるように・・・・。


(桃の山さん!さすがですね自分の弱さをちゃっんと認めてそのうえでもう一度自分に試練を与える。やりましょう!やってやりましょうよ!)と映見


(映見さん!私は自分自身に甘かった本当に。母が鬼の『妙義山』と云われていたことに違うスタイルで相撲をと想っていたこと自体甘かった・・・。映見やさくらの戦いを無駄にしない!この大会は興行ではない!戦いなのだから!)


------------東・花道出入り口----------------


 百合の花は壁に背中を当てながら土俵を見る。そして土俵下の二人を・・・。


(映見・桃の山。あとはあなた達に託すしかない!あと二人先に倒せば・・・・)そんなことを想っていると後ろに人の気配が・・・。


「さくら、大丈夫なの?」


「どうしても見ないわけにわ行かないんだと、頭は打ってない見たいだから途中で引き返したよ。まぁ私だってさくらだったら見ずに医務室には行けないわ」と璃子はさくらの頭を手荒く撫でながら、さくらは百合の花の脇に寄り添う。


「土俵下で声援しなさいよさくら」


「ここでいいです。映見さんと桃の山さんがいるあの場所はなんか二人以外は受け入れないような気がして・・・」


「なんで?」


「映見さんの相撲はこの大会何か厳しくなってる。桃の山さんもさっきのブラジル戦、多少手こずったけど何か違ってました。なんか感情と云うか闘志と云うか剝き出しになっていた。今の二人は何か気持ちが一つになっているようで・・・映見さんも桃の山さんもまるで戦乙女みたいでここからはそう見えます。私には」


「さくら・・・」


さくらにとって映見は目標、百合の花や桃の山は女子大相撲への憧れの力士達、そのなかで世界の強豪力士や選手と相撲で勝負していることは夢のような世界。確かに高校生のさくらにとっては相手は格上の選手やましてプロ力士の対戦は苦戦の連続ではあったがそれでも勝負どころでは勝ってきた。特にブラジル・ロシアの横綱を倒したことは間違いなくさくらを覚醒させた同時にある種の不安は払しょくされた上に更にその上の世界にはいったような。


(私もあの二人のいる世界に入れるように精進しないと・・・あの結界に)


さくらにとってこの大会は夢のような大会だった。もうあの土俵に上がることはないだろうけど・・・。



「土俵上に稲倉映見が上がります。同じアマチュアのコザノワを倒して王手とできるか!解説は元横綱三神櫻の遠藤美香さんです。如何でしょうか?」


「過去に稲倉が高校生で出場してアマチュアの世界大会で大学生だったコザノワを倒しています。コザノワにとってはリベンジの好機ではあるしロシアが劣勢の状態からすると是が非でも勝ちにくることを考えると相当厳しい相撲になることは想定できます。稲倉がそこを冷静に取り組むことができるかですかね。ポーランド戦の相撲は彼女らしからぬ闘志むき出しの相撲でしたがもし心配があるとすれば熱くなり過ぎないかと云うところでしょうか?」


「ただ稲倉の気迫のこもった相撲も見たいところですが・・・。さぁー呼びたしがかかり両者土俵に上がます」


 淡々と表情は至って平穏ですと云う感じの映見は一瞬コザノワに視線を送った四股を踏みだす。それに対してコザノワはこれでもかと云うほど気迫を表情に表し映見をまるで獲物を狙う熊のように睨みつける。


「コザノワ、稲倉映見を猛烈に睨みつけまるで威嚇するかのような表情ですが稲倉は全く表情を変えず実に対照的な両者」


「突き押し相撲で勝負をかけてくるとしたら容赦なくくることは覚悟しないと張り手・突っ張りとギリギリの相撲をしてくるでしょうね、稲倉がその猛攻を凌げるかそれができれば勝算は十分ありますがコザノワは絶対負けるわけにはいかないでしょうから、そこはちょっと色々な意味で気になるところです」


 解説者の遠藤のみならず監督・コーチ陣も日本が先に二勝できれば俄然有利にはなるが、今のロシアは飢えた熊のように日本に襲い掛かろうとしてくる。たとえここで勝ったとしてもロシアには世界大会でもプロの大会でも葉月山引退以降は無敵ぶりを発揮するロシアの絶対横綱アレクサンドロワ アンナがいる。


 四つでも押しでもオールランドの無双ぶり、それに唯一土をつけていた葉月山はすでに引退し、唯一対抗できるであろう百合の花が欠場となればますます稲倉がなんとしてもコザノワに負けるわけにはいかない尚且つアレクサンドロワ アンナと対戦してなんとか少しでも消耗させて桃の山に決めてもらう。それしか日本が優勝する方法ない。


 映見は四股を踏みながら山を張っていた。


(張り手を含めた強引な突き押し相撲でくるはず、一気呵成に勝負を決めに来るはずそれを私が堪え切れれば十分に勝てるはず負けることはない!)


コザノワも四股を踏みながら策を組み立てるそれは得意の突き押し相撲


(今日はあの屈辱のリベンジよ!あなたをぶっ壊すつもりよその顔におもいっきり張ってあげるわ!この大会はある種の戦争だと想えばそこにモラルなんか存在しないわ!相撲をできなくなるぐらいに叩いてやるわ!)


映見もある種の覚悟は決めていた。


(多分、相撲クラブで沙羅にやられたような形になると思う。コザノワさんだったらあれの数倍の威力はある歯の一本欠けるぐらいは覚悟している。その時は冷静さを失っているはず私はあくまでもクールに・・・その気構えを最初からできていれば慌てることはないたとえ一方的な展開になっても付きいる隙はある絶対に!)


両者が仕切り線の前に立ち睨みあう二人館内は緊張に包まれる。


「見合って・・・はっけよい!!」


 二人とも腰を下げ臨戦態勢


 二人とも両手を着き立ち合い成立。


 コザノワは立ち合い鋭く稲倉の顔面を振り幅少なくも左手で張りながらおもいっきり全身をぶつけていくと同時に右で激しい突っ張りから映見の体を起こし土俵際へ追い込む。


「ノーコッタノーコッタノーコッタ!! ノーコッタノーコッタノーコッタ!!」


「そらそらっ!!」


「うぅっっ・・・うぁ・・・」


 コザノワは一気呵成に攻めまくる。映見は防戦一方すでに左足が徳俵に掛かって絶対絶命。それでもなんとか押し返そうとはするがコザノワはさらにまるで大量のミサイルを止めどなくぶち込むかごとく下から突き上げ気味の激しい突っ張りなおかつ顔面にぶち込む。


「そらそらっ!!どんどん行くよそらっそらそら!


「うぅっっ・・・うぁ・・・あぁぁ・・・」


館内が悲鳴に変わる。映見が劣勢なこともある以上にコザノワの胸元に鮮血がはっきりとついている、そして映見の顔面にも真っ赤な血が・・・。


 花道の入り口で百合の花と観戦していたさくらはとても冷静に観戦していられず土俵下に向かって走り出す。百合の花だって今すぐにでも土俵下に走り出したいチームの仲間が自分が認めている映見が絶体絶命の大ピンチ!。それでもここは自分を鬼にした。


(映見!それが相撲の厳しさなんだ!世界と戦う厳しさ!ここで映見が引いて土俵を割っても誰も文句は云わないそれは日本のアマチュアだからでも相手はロシアだ負けは相撲強国としてアマだろうが許されないましてやこの大会は・・・・。


映見、ここまでやられても引く気はないどころかまだまだ諦めてないみたいだな。そこから逆転のチャンスは相手の体制をほんの少しでも崩せるかそしてその一瞬を見逃さず懐に入れるか、コザノワは気分的に調子に乗っているが絶対そこに隙ができる。映見!)


 土俵下では桃の山がこの激闘を厳しい視線で凝視するがけして声は出さない。その横ではさくらが必死の声援を・・・。


(映見さん、コザノワはだいぶ消耗している調子に乗ってオーバーペースになっているわ。だから)そんなことは想っている時、桃の山は無意識に大きな声をで言い放った。


「映見!左腕をたぐって!!!そして右で懐に!!」と桃の山の大声


(左!)映見は無意識に左腕をたぐりよせると一瞬コザノワの体勢が揺らぐそこを映見は見逃さなかった。


「そこよ!」と桃の山


 映見はすぐに右腕をとり懐へ入りそこから一気に土俵際まで追い込む。


「映見さん!!!」さくらの必死の応援。館内は一気にヒートアップし稲倉への大声援の合唱。土俵際少しもたついたが一気に押し出した。


 館内は割れんばかりの大歓声。呆然とするコザノワの胸元は映見の真っ赤な鮮血で染まっていた。映見は口中のなかに溜まっていた血を吐き出す。土俵の砂が赤黒く染まる。映見の顔も鮮血に染まってしまっているが本人はそのことに動じることなく。仕切り線の前に立つ。


 負けたコザノワはなかなか仕切り線の前に立たず。行司から注意されやっと立ちお互い礼をし土俵下へ。しっかりした足取りで土俵を下りる映見に真っ先に泣きながら飛びつくさくら。


「映見さーん!!!」と泣きながら抱き着くさくら。


 桃の山はタオルとミネラルウォーターを差し出し下にバケツを・・・。


(桃の山さん・・・)


 桃の山の表情は勝負師としての力士の表情。そこに笑みはなどなかった。


(映見さんまだ終わってはいないわ!)


 映見はその無言の表情からでも桃の山の想いを受け止めるように


(そうですねあと一人を倒さない限り・・・)


 あと一人倒せば日本の勝利。最後の強敵であり女子プロ力士では世界最強と誰しもが認めるロシアの絶対横綱アレクサンドロワ アンナが立ちはだかる。


 








 















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