6.幼馴染み襲来
キャラクターの特徴の差別化が出来てないかも。
賢人の実家はメロン農家だ。
両親が住む二階建ての一軒家と、祖母が暮らしていた母屋が敷地内に建っている。
二階の八畳間が、自分の部屋であり、弟の部屋でもある。
部屋に入ると、学習机が、二つ並んで置いてある。
当時と何も変わらない内装に、ななはると遊んでいたあの頃がなつかしくも鮮明に思い出される。
賢人の机は落書きや、アニメキャラクターのシールが貼られ、棚には、漫画しか入っていないが、ナナハルの机は、綺麗で、棚には小学校の教科書やノート、歴史図鑑や伝記が、規則正しく並んでいる。
ナナハルのノートを数冊手に取り、開いてみると、枠に沿って書かれた、几帳面な文字で、授業の内容が簡潔にまとめられており、ナナハルの真面目さがよくわかる。
他のノートも眺めていると、玄関の呼び鈴が鳴った。
母は晩ご飯の買い物をするためスーパーに寄っており、この家には今、賢人しかいない。
近所の人が来たのかもしれないと、急いで階段を降りて玄関へ向かい、鍵を開けた。
「おーす、久しぶり―。元気だった?」
鍵を開けるなり、玄関ドアが開け放たれた。
そこに立っていたのは、短髪の黒髪で黒縁メガネを掛けた童顔の女性。
グレーのスウェットを着ているが、丈が合っていないようで、女性特有のボディラインが見え隠れして、直視できない服装をしている。
彼女の名前は朝日薫子、二歳年下の隣に住んでいる幼なじみだ。
隣と言ってもここは田舎なので、畑を挟んで数百メートルは離れているが……
薫子の実家も代々農家で、年齢も近いので昔からよくななはると、三人で遊んでいた間柄だ。
直接会うのはこの家を出て以来だから、五六年ぶりだろうか。
大人っぽく見えるせいか、賢人は少し緊張した。
「おっじゃまっしまーす」
「あ、おい、ちょっと」
勝手に上がり込もうとするので、肩を掴んで制止しようとすると、
薫子は驚き、咄嗟に腕を胸元でクロスながらしゃがみ込んだ。
そして、威嚇するようなうわめづかいをすると、素人でもわかるような、感情の無い台詞を吐いた。
「キャー、賢人君におかされるー」
うわー、なんだその棒読みは。
しかし、夜の田舎は、音が遠くまでよく響く。
変なうわさが広がる前に、黙らせなくてはと薫子につかみかかった。
「おばさーん、たーすーけーてー、賢人君が、賢人君がー」
薫子は母に向かって奇声を発していたようだ。今は誰もいないことを告げると、
「えー?」と今度は不満げな表情で騒ぐのを辞め、靴も揃えず上がり込むと、さっさと二階へ上がっていってしまった。
「なんなんだよ、もう」
賢人は吐息をつき、薫子の後を追うように二階へと上がった。
■登場人物
賢人:大学生、実家は代々農業を営んでいる。現在はメロン農家。
朝日薫子:幼馴染、おてんば、グラマー、近眼。隣近所に住む農家の一人娘。
■プチっと業務連絡
2022年11月、VOICEVOX(音声合成ソフト)を使って音声化はじめました。ストーリーは変わりませんが、文脈をいじってます。整理できたら随時更新していきます。@siropan33_youで公開中。
▼朗読動画の再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLqiwmhz1-5G0Fm2iWXSjXfi1nXqLHzi_p