32.新たな目標
「今後の目標は勇者ナナハルと共に、魔王討伐に向かおうと思います」
賢人はケンとメロン農家のメンバーを集めて、新たな目標を発表した。
「腕が鳴り申す」
『ノイマン、槍使い、ドワーフ、レベル八十七』
「遂にこの日が来たのね」
『フレグランス、魔女、エルフ、レベル八十六』
「私に任せておきなさい、オホホ」
『マッチャー、女戦士、エルフ、レベル九十一』
「どこまでも行ってやるぜ」
『オリジン、暗殺者、ハーフエルフ、レベル八十八』
「さて、どうなりますかな」
『ガルシア、聖騎士、人族、レベル九十三』
「みなさん、よろしくお願いします」
『ナナハル、勇者、人族、レベル九十』
「意外と簡単かもな」
『ケンニイ、狙撃手、人族、レベル七十八』
勇者と鍛錬してレベルが急激に上がったせいか、みんなは自信満々に答え、異議を唱える者はいなかった。
「僕がいる限り、ナナハル君は死なせない、キラーン」
満面の笑みで効果音も入れながら、戦隊もののポーズを決めていそうな青年。
「は、恥ずかしい、です。自分で効果音、とか」
控えめにツッコミを入れる女子高生。
先日、この二人が新しく仲間に加わった。
アルファテストで一緒に合格した二人だ。
『アラキ、剣聖、人族、レベル七十四』
『ネコメ、召喚師、人族、レベル七十二』
「待ってても来ないから、来ちゃったよ、アハハ」
ナナハルに何度ラブコールを送っても、なしのつぶてだったので、とうとう自分のギルドを飛び出しやってきたのだ。
マッチャーとオリジンもそうだが、自分のギルドは大丈夫なのだろうか。
メンバーがいる前でも、堂々とヘッドハンティングを続けてくるアラキ。
ナナハルは明らかに困っている。
その行動が裏目に出ていることに、早く気がついて欲しいと願うばかりだ。
ネコメさんとはメールでやり取りしている時に、ギルドには入っていないと知って、うちのギルドに誘ってみた。
メンバーは癖が強いので、馴染めるかちょっと心配なところではある。
まずはドルッセン山脈の山頂にある、竜の神殿へと向かった。
賢人たちのメインストーリーが、ついに動き始めた。
道幅は狭いがけもの道程度に進むことができる。
前回三人で登頂したときの敗北した記憶が蘇る。
登り初めてすぐにワイバーンが現れた。
今回はメンバーの数も違うし、何よりレベルが違う。
加えて勇者とガルシアという転生者も在籍するケンとメロン農家。
ナナハルにアピールしたいのか、アラキが先陣を切って前方の敵を倒しにかかる。
さすがトップギルドの団長、流れるようにワイバーンを二体、三体と倒していく。
フレグランスはもしもの為に魔法の準備をしているが、必要なさそうだ。
今回は足止めされずに進むことが出来たので、囲まれることもなく安心感があった。
途中、嵐で視界が悪いところもあったが、山道はガルシアのおかげで迷うことが無かった。
「いつも以上の力が出た。これもナナハル君のおかげかな」
アラキはそう言って豪快に笑った。
実はガルシアが身体強化の魔法を掛けてくれていたらしい。
このメンバーなら本当に魔王討伐も簡単にできてしまうんじゃないか。
そして敵から不意打ちを受けること無く、一気に山頂へと到達した。




