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27.アルファテスト

 七治(ななはる)とゲーム世界で再会できたことを、光音(みおん)とマキさんに報告した。

 光音は自分のことのように喜び、マキさんは安堵(あんど)したため息をついた。

 七治以外の転生者がいたことを報告すると、マキさんは(うなず)いていた。

 これでゲームに関わった行方不明者が異世界に拉致(らち)されたことは立証できたのだろう。

 マキさんが所属するなんちゃら組織の今後の活動に期待する。

 そして光音からも、アンガス戦記のアルファテストについて報告があった。

 噂通り一部のユーザーを対象に、新作ゲームのアルファテストを実施予定だという。

 前回を振り返ると、光音パパの協力を得られている訳だが、嘘をついていたことを(かんが)みて、どう対応しようかと話し合った。


「七治君が見つかったことは伏せて、アルファテストに潜入できれば一番いいかもしれないわね」


 マキさんの提案にだれもが賛同の意思を示す。


「ところで、アルファテストって、どんなことするの」


「実際にゲームをプレイしてもらい、不具合の指摘や、使い勝手の意見を報告するんです。

参加人数やプレイ時間はその時によって変わるんですが、そんなに難しいことは無いと思います」


 光音はゲーム音痴(おんち)な賢人の事を知らない。

 きっと簡単ではないような気がした。

 でも手をこまねいていては話が進まない。

 連れ戻す方法を探るには、光音パパの協力が必要不可欠だ。

 アポイントをとってもらい、再びゲーム会社へ訪問することになった。

 前回同様光音に案内され、光音パパと再び対峙した。

 今日は賢人一人だ。


「弟さん、何か進展はありましたか」


 光音パパは以前と変わらないように見える。


「いえ、今のところ何も。正直、路頭に迷ってます」


 打ち合わせ通り、七治の件は伏せて返答した。


「それは、大変心苦しいです。

ただ私の方でも、なにも新しい情報はありません。

ちょくちょく来て頂いても正直困るんですが」


 内心では迷惑している。そうも感じとれた。

 賢人は笑顔で本題に入る。


「実は御社で近々、新作ゲームのアルファテストがあるという情報が耳に入りまして」


 光音パパは目を見開くと、視線を隣に座る光音に向けた。

 光音はそれに反応せず、すまし顔で座っている。

 なかなかの演技だ。

 賢人は両手を光音パパへ向けて小刻みに揺らしながらへりくだる。


「いえ、光音君から聞いた訳ではなくてですね。

今、御社のゲーム、アンガス戦記オンラインをプレイしてるんです。

そこで噂レベルの話をちょっと。

本当かどうかは全然分かりませんが、せっかくなのでつい」


 やり過ぎたかとも思ったが、ゲームをプレイをしていることに関心が移ったようで、逆にいくつか質問された。


「そうでしたか、今プレイ時間はどのくらいでしょうか?」


「プレイ時間。ちょっと覚えてないですけど、今のレベルは六十六です」


「それは意外でした。遊んでみてどうですか」


「世界観が素晴らしいです。これがゲームかと疑うほど作り込みが丁寧だし、フィールドも広くて、いつも時間を忘れてずっとやってるんです」


「それはそれは、作り手にとってうれしい限りです。社員たちも喜びます」


 勇者ナナハルとガルシアのおかげで光音パパの機嫌が良くなった。

 転生者がチートプレイヤーとして紛れ込んでいることに、気づいていないのだろうか。

 光音パパは黙ってうつむき、顎に手を当てがうと、一拍手を叩いて持っていたファイルから、用紙を一枚取り出した。


「おっしゃる通り、オンラインをもっと進化させた次回作に向けてのアルファテストを行う予定です。

しかし有益なフィードバックを効率よく回収するのに、この世界をある程度熟知(じゅくち)したプレイヤーを選考して、限定的に行おうと考えてます。

聞く限り橘さんもかなり遊んでいるようですし、もし興味がおありでしたら一度テストを受けてみますか?」


 そう言って持っていた用紙をこちらに差し出した。


 VRというタイトルでイメージ写真と共にテスト概要(がいよう)が書かれていた。


「テストですか」


「はい、アンガス戦記オンラインをプレイしている方を対象にしているので、多くの問題はその中から出題されます。

全問正解しなくても上位の成績に入れば、橘さんもアルファテストに参加できますよ」


 終始笑顔で話しかけてくる光音パパだったが、賢人の中では仮面をかぶったもう一人の影がちらついている。

 謙遜(けんそん)しながらも、お礼を言って参加することにした。

 近々ミーティングルームに希望者を集めて、アルファテストに参加するための選考テストを実施するという。

 これで弟たちを帰還させる解決策が見つかるかもしれないと、賢人は話を聞きながら、テーブルの下で組んだ(こぶし)に力を込めた。

■プチっと業務連絡

2022年11月、VOICEVOX(音声合成ソフト)を使って音声化はじめました。ストーリーは変わりませんが、文脈をいじってます。整理できたら随時更新していきます。@siropan33_youで公開中。


▼朗読動画の再生リスト

https://www.youtube.com/playlist?list=PLqiwmhz1-5G0Fm2iWXSjXfi1nXqLHzi_p

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