18.窃盗事件
ミオンパパと面会してから数日後、騒ぎが起きた。
賢人の実家に、泥棒が入ったのだ。
二階の部屋が特にひどく荒らされていた。
警察に被害届を提出しつつ、習慣と言うべきか、これまでの性善説を考え直すきっかけとなった。
それに薫子の実家もやられたそうだ。
薫子が愛用するパソコンなど、高価な物が、根こそぎ盗まれたらしい。
今後は戸締まり、窓ガラスの補強、防犯ブザーや、防犯カメラの設置など、防犯対策を徹底する。
薫子の実家も、セキュリティー対策をしたのだが、田舎の風景にはなじまない、異様な光景に度肝を抜かれた。
地上十階建て、コンクリートむき出しの外観には、正面から見ただけで、五台の監視カメラが確認出来る。
地下にも部屋があるらしい。
中を見せてもらうと、居住スペースの他に、ゲーム専用の部屋や、複数のコンピュータールームも備えた、豪華な造りになっていた。
薫子はデイトレーダーでも上位クラス、億トレーダーだと知って恐れおののいた。
別の日、T研が終わり、賢人は寮に戻っている。
自室でノートパソコンを開いて、今後の方針を決めるため、薫子とマキさんにビデオチャットで集まってもらっていた。
「でも空き巣に入られるとは、災難だったよな。
うちは荒らされただけで済んだけど、薫子ん家は色々盗まれただろ、警察は犯人捕まえられるかな」
「難しいかもね。
犯人の痕跡が少ないと探しようが無いし、まぁ今度来たら返り討ちにしてやる、ってか痛い目遭わせてやるんだから」
「あの要塞には誰も近づけねぇよ」
賢人は建物の外観を思い浮かべながら苦笑いした。
そんな中、一人考え込む様子のマキさん。
どうしたのか尋ねると、空き巣事件と弟の失踪事件に関連がないか疑っていた。
「前に見せてもらった魔方陣の写真。
あれは確か、弟さんのノートに描かれたものよね。
あのノートは今どこにあるの?」
言われてみれば、ノートはナナハルの机の棚に仕舞ったが、全く気にしていなかった。
「盗むなら金目の物だと思って意識してませんでした。
今度帰ったとき確認します」
「そうよね、普通の泥棒なら小学生のノートなんて盗む価値ないけど、ナナハル君の事件が関係してると仮定すれば、それを探していた可能性はあり得ると思うの。
但しこの話は限られた人しか知らない事よ。もしそうなら私たち以外で知ってる人は……」
それはもう知れたことだ。
弟のノートに魔方陣が描いてあることを知っているのは、薫子、マキさん以外は木村親子だけ。
薫子のことだ。ゲーマー仲間に余計なことは教えていないだろうし
マキさんが、エージェントとして何か企んでいるなら、自分が怪しまれるような事を自分から提案するだろうか。
元警察官であり、現在も行方不明者を追い続け、人に言えない組織にいる。
それはネット上を監視できる国家権力をも動かせる秘密部隊か何か。
そう考えると逆に画面に映るマキさんが、格好良く見えてきたぞ。
まずはノートの所在を確認するということで、今日の話し合いは終わった。
■プチっと業務連絡
2022年11月、VOICEVOX(音声合成ソフト)を使って音声化はじめました。ストーリーは変わりませんが、文脈をいじってます。整理できたら随時更新していきます。@siropan33_youで公開中。
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