15.レンカさんの正体
レンカさんは周囲の動揺を気にも止めず、話を続ける。
「賢人君の弟さん、ナナハル君といた子は佐藤楓君。隣町に住んでいた少年よ」
弟の名前はもちろん、薫子にも教えていない友達の名前まで知っているのは、プロゲーマーだとしても不自然だ。
緊張が高まり、手にも一層チカラが入る。
その様子にレンカさんは肩を震わせていたが、堰を切ったように高笑いを始めた。
賢人はすぐさま立ち上がると、怒鳴り声を上げた。
「何者だ!」
ミオンはそのあまりの剣幕に動揺し、小さく悲鳴を上げる。
薫子は戸惑いながら、賢人とレンカさんを見交わす。
レンカさんは一頻り笑うと、静かにサングラスを外して、再び自己紹介を始めた。
「覚えてないかな、私よ、マキです」
レンカさんの目を見て、賢人は目を丸くした。
「はい? ……マキ?え、あのマキさん?」
賢人は腰砕けになり、改めてマキと名乗ったレンカさんの顔をまじまじと観察した。
レンカさんは内ポケットから名刺を取り出すと、賢人の前に置いた。
続けて薫子とミオンにも名刺を差し出すと、片手を上げマスターにドリンクを追加で注文した。
名刺には漢字で『間木恋歌』と書かれていた。
マキとは名前ではなく名字だったのだ。
完全に賢人の思い違いだったのである。
過去の記憶を呼び起こし、ようやく頭で理解出来ると、倒れ込むようにテーブルに突っ伏した。
その様子を見たミオンと薫子は、顔を見合わせながら失笑した。
そこにタイミングよくドリンクが運ばれてくる。
改めて水分補給を行い、一息ついた。
ミオンと薫子に、失踪時に担当してくれた警官が、この人だったことを説明する。
マキさんは警察官を辞めた後、電子通信回線に関連した組織のエージェントになっていた。
理由は聞けなかったが、今も行方不明者の足取りを追っているという。
情報収集の課程で行方不明の関係者だった薫子を見つけて、ゲーマー仲間と偽って接近した。
ナナハルの友達、佐藤楓もほぼ同時期に行方不明になったという。
ほかにも全国には同じ理由で失踪したと思われる行方不明者がいて、現在関連性を調べているという。
内容が公に捜査ができず、どの家族にも報告していないという。
マキさんは頭を下げて、いまだ解決できていないことを謝罪した。
賢人にとっては、うれしい誤算となったことのほうが大きかった。
マキさんからの情報は、失望から、希望の光へと変わった。
空想だと思っていたミオンの推測が正しかったと判明し、もう一人強力な仲間が増えたことを大いに喜んだ。
■プチっと業務連絡
2022年11月、VOICEVOX(音声合成ソフト)を使って音声化はじめました。ストーリーは変わりませんが、文脈をいじってます。整理できたら随時更新していきます。@siropan33_youで公開中。
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