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13.謎の女性レンカ

新しい登場人物です。

 ミオンと薫子からタイミングを合わせたかのように連絡があった。

 賢人も話したい事があったので、三人は大学近くの喫茶店に集合することにした。


 当日、時代に取り残されたようなレトロ感漂う喫茶店。

 年季の入った木目調のカウンターには、洋酒の瓶がびっしりと飾られ、頭頂部があれな熟年男性が一人。

 カウンターの片隅で、グラスを注意深く磨いている。

 接客はセルフのようで、マスターは軽く会釈をすると、別のグラスを手に取り磨き始めた。

 賢人は入り口から店内を見回す。

 平日だからか、昼過ぎにもかかわらず、客は少なかった。

 落ち着いて話をするには好都合だ。

 客の中に、ミオンを見つけた。

 一番奥のテーブル席に座っている。

 マスターに指をさしながら待ち合わせている事を知らせ、席に近づいて挨拶を交わした。

 そしてアイスコーヒーを注文すると、ミオンも追加で二杯目を注文した。

 予定より、だいぶ早く到着していたようだ。

 薫子が来るまで雑談がてら、大学やT研、ヒカリとのやりとりなど少し話をした。

 しかし、アンガスの日常という小説の話をした時から、ミオンの表情が一変した。

 驚いたりうつむいたり、話が進むにつれ、みるみる険しい表情になっていったのだ。

 あまりの豹変ぶりを心配する賢人をよそに、異国の雰囲気をまとった薫子がやってきた。

 その個性的な服装に居合わせた客は驚き、店内に変な緊張が走った。

 薫子は賢人の隣に座ると、勝手に自己紹介をはじめた。


「薫子でーす。賢人の幼なじみでーす。よろしくね。まあ可愛い。目がくりくり。まだ18なんだっけ?」


 ミオンは、目をパチクリさせながら、なんとか挨拶を返すが、口元はぽかんとしている。

 それは賢人も同じだった。

 普段見ているラフなスウェット姿とのギャップが大きすぎたのだ。

 一方薫子は、周りの目を気にもせず注文を済ませると、


「暑いねー」


 と言いながら、胸元をはだけてハンカチで汗を拭った。

 ゴクリ。

 賢人は勢いよく、アイスコーヒーを流し込む。

 薫子の注文した飲み物が運ばれてくるまでの間は三者三様。

 二人は初対面なので、場の空気を繕わなければとあれこれ考えていた。


 水分で一息ついたあと、一人の女性客がカウンター席から賢人達のテーブルへ向かって歩いてきた。

 前髪をそろえた茶髪のロングストレートヘアにサングラスを掛け、鼻筋が通ったシャープな顔つき。

 黒いVネックニットにモッズコートを羽織り、黒いスキニースニーカーでスレンダーな女性。

 テーブルの前まで来ると、唐突に、レンカだと名乗った。

 それに反応したのが薫子で、神様に祈るように手を合わせた。

 そして困惑している二人に説明を始める。


「レンカさんはゲーマー仲間なんだけど、この手の話に超詳しいから、直接話した方が判りやすいと思って来てもらったの」


「レンカさん、初めまして、会えてうれしいです。ああ、こっち、こっちに座ってください」


 満面の笑みを浮かべながら賢人を押しのけ、空いた席を勧める薫子。

 それに淡泊な対応で答えるレンカ。

 賢人には仲間と紹介しながら実は初対面という、驚きと戸惑い、ダブルで衝撃を受けた。


「初めてって、同意もなしに普通連れてくるか?」


「まあまあ、細かいことは気にせずに、絶対損はさせませんぜ旦那、グへへ」


「いやお前、一応、こっちも都合があるし。あれ、ミオン、さっきから聞こえてる? 聞こえてますかー」


 半ば放心状態のミオンを心配しつつ、変なスイッチが入っている薫子に抗議の声を上げる。

 かつて神童と呼ばれたミオンは、テーブルの一点を見つめたまま、耳たぶを真っ赤にして硬直していた。

 一方でレンカという女性、いつの間に注文したのか、メロンソーダを勢いよく啜っていた。


「と、に、か、く、もう集まったんだからゴチャゴチャ言わない、これ以上文句があるならこの前の件、おばさんに全部バラすよ」


 伝家の宝刀のように繰り出された言霊に、賢人は見事なカウンターを食らった。

 本当に大きな貸しを作ってしまったという思いが、賢人の肩に大きくのしかかる。

■プチっと業務連絡

2022年11月、VOICEVOX(音声合成ソフト)を使って音声化はじめました。ストーリーは変わりませんが、文脈をいじってます。整理できたら随時更新していきます。@siropan33_youで公開中。


▼朗読動画の再生リスト

https://www.youtube.com/playlist?list=PLqiwmhz1-5G0Fm2iWXSjXfi1nXqLHzi_p

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