プロローグ
初めての投稿になります。
一話が短いのでサクッと読んでもらえるとありがたいです。最後に感想やいいねしてもらえると励みになります。どうぞよろしくお願いします。
異世界と言いながらファンタジー色が出てくるのは、ずっと先です。しかも主人公はお兄さん目線で話が進みますのでキーワードと違うじゃ無いかと思われた方、先に謝っときます。ゴメンナサイ。
*陸稲とは
畑で栽培する稲の事です。田んぼで栽培するのを水稲と言うそうです。聞き慣れない言葉だったので一応説明を。
賢人は、黄金色に染まる、陸稲に囲まれ、たった一人立ち尽くしていた。
「けんにい、助けて」
すぐそばで、もの悲しく感じられる声がした。
しかし、姿は見えない。
空は、夕日で赤く染まり、時折吹き抜ける風は、生ぬるく感じた。
突如、稲が左右に分かれて、賢人の目の前に、一本の畦道が作り出された。
それが、太陽に向かって、一直線に伸びてゆく。
賢人は導かれるように一歩踏み出した。
大きな太陽が、揺らめきながら、ゆっくりと沈んでいく。
長い長い畦道を、休むことなく歩き続けた。
ふと道の先にランドセルを背負った少年の姿が見えた。
賢人がずっと探していた人物だった。
賢人は歩調を速めて少年の元へ急いだ。
太陽は沈み、周囲はだんだんと暗くなり始めた。
しかし少年との差は縮まらなかった。
賢人はいつしか、走り出していた。
そして周囲は漆黒の闇に包まれた。
もう少年の姿は見えない。
この畦道だけが、少年の元へたどり着く、唯一の道しるべとなった。
だが唐突に、一瞬にしてその道が消え失せる。
賢人を囲んだ稲が、風でそよそよと揺らいでいる。
稲を両手でかき分けながら前へ進もうとするが、邪魔をするように、稲が足に絡まり、腕に巻き付いてくる。
もがき苦しむ賢人に、稲は容赦なく襲いかかる。
そして、内なる感情が、心の叫びが、口をついて溢れ出てきた。
「ナナハル!」
賢人が手を伸ばした先に見えたのは、室内で雑談する学生たちの驚いた顔だった。
「大丈夫か? 賢人」
周囲のざわつきが、たった今の出来事が夢であり、叫んだ声が現実だということを伝えていた。
「先輩。俺、ちょっと席、外します」
「え?おーい」
賢人は顔を隠しながら先輩に一礼すると、逃げるように教室を出た。
短すぎましたかね。
毎回このくらいのでいきますので、次回も見に来てください。では、また。
■一口メモ
賢人:主人公。二十歳。サークルに参加中、居眠りしてしまい、大声を上げて周囲に迷惑を掛けてしまう。
■プチっと業務連絡
2022年11月、VOICEVOX(音声合成ソフト)を使って音声化はじめました。ストーリーは変わりませんが、文脈をいじってます。整理できたら随時更新していきます。@siropan33_youで公開中。
▼朗読動画の再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLqiwmhz1-5G0Fm2iWXSjXfi1nXqLHzi_p