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騙し討ちをする男

階段を静かに昇り上の様子を確認する。どうやら予想通りのようで、気絶させた警備員が目を覚ましたみたいだ。


「さっきの奴は中に忍び込んだ筈だ!警備員の格好をした奴を片っ端から確かめろ!」


先ほど指揮をとっていた男の叫び声が聞こえる。あのような指示を出しているところを見ると、オレが忍び込んだとバレたのはつい最近のようだな。

さてさて次はどうしようか。恐らくオレを探して手分けしている筈だから、最初みたいに集団を相手にするとは考えにくい。恐らく多くても三人くらいだろうか、相手にすることになるのは。それくらいなら相手にすることも余裕だが…。


「ま、下手に関わらない方がいいわな」


戦っている間に増援を呼ばれて、その隙に対策を練られて。そんな風になればこちらとしても面倒だ。幸い、向こうはどの警備員がオレに変装しているのかというのは気づいていないらしい。それならば、こちらとしても打つ手はある。

小さく、深く深呼吸して、敵がいる上の階へと駆け上がる。敵を騙すための一芝居を打ちながら。


「待て、待てー!侵入者めがぁっ!」


上の階で指揮を取っている男にも負けないように、大きな叫び声をあげて階段を駆け上がる。突如として叫び声を上げたオレに、皆の注目が集まった。それは、先ほどまでの策を頭から消去するには充分な行動だった。


「お、おい。どうした、何があった!」


宛てもなく上の階へ上がろうとするオレを、指揮をしていた男が呼び止めた。その瞳には混乱の色が映り込んでいる。


「す、すみません!例の侵入者を見つけたと思ったのですが、逃げられてしまいまして…!」

「何だと!?クソ、奴はどこに行った!」

「どこが、とは特別言ってませんでしたが。代わりに『社長の息子を殺す』と呟いているのを聞き取りまして…」

「何ィ!?この時間のキリザ様は社長室にいらっしゃる筈だ!早く警備を固めろ!」

「承知致しました!」


一芝居打ち終わったオレは、内心ニヤリと笑ってその場を離れた。社長の息子の場所がわかれば、お嬢様の場所も割れるだろう。後はその場にいた他の警備員についていけば後はなんとかはずだ。

そうしてオレは他の警備員を追いかけ、その場を離れ出した。そうすれば社長息子の場所にたどり着ける、そう考えたためだった。

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