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姉との確執 4


 「ロバート様、私はここから出られることになりました。あなたが励ましてくださったおかげで、あきらめずにいられました。ありがとうございます。あなたもあきらめずに頑張ってください」


 ロンドン塔での最後の散歩の時間、私はロバート様にこっそりお礼を言いました。ロバート様は微笑みながら力強くうなずいていらっしゃいました。


 私はロンドン塔から解放されたものの、監視付きでオックスフォードシャーにある屋敷に移ることになりました。外部へ連絡できないよう、ペンや紙を持つことも許されませんでした。連れていかれた屋敷はもう何年も使用されていなかった廃屋同然の屋敷でした。私は使用人たちと一緒に掃除をしたり、荷物を片付けたりして何とか生活できるように屋敷を整えました。

 生活に必要なものは何とか整えられていましたが、厳しく監視されて外部への接触は一切許されず、不自由な生活が何ヵ月も続きました。


 私がこんな生活をしている時、お姉様はスペイン王子フェリペ殿下と結婚なされました。フェリペ殿下は統治に関する権限はないものの、お姉様と共にイングランドの共同王となられました。結婚式はウェストミンスター寺院でスペインの要人も多数参加し、盛大に行われたそうです。フェリペ殿下は背はそれほど高くないものの、明るい茶色の髪の色と青い澄んだ瞳が美しいさわやかな貴公子で、鍛え抜かれた均整の取れた体をなさっていらっしゃり、スポーツや格闘技や武術も立派な腕前をなさっていらっしゃる方だそうです。その貴公子ぶりに宮廷の女性たちは皆フェリペ様に夢中になってしまっているそうです。そしてフェリペ殿下は快活な人柄でいらっしゃるらしく、彼がいらっしゃってから宮廷は華やかになり、舞踏会などもよく開かれるようになったそうです。私は幽閉同然の身分なので、役人から伝え聞くばかりなのですが。


 「女王陛下は無事に結婚され、さらにこの度ご懐妊なされました。……今度こそあなたの命運も尽きましたな」


 私の監視役である役人が意地悪そうに含み笑いをしながら言いました。


 「とてもおめでたいことです……。お姉様に……女王陛下にお祝いをお伝えください」


 この人たちはまだ私が反乱を企てたと思っているのでしょうか?……お姉様もそう思っていらっしゃるのでしょうか?複雑な表情でお祝いを述べた私に対し、この男はあざ笑って言いました。


 「まあ、もうあなたを支持するプロテスタントなどこの国で生きていけませんよ。異端取締法が制定されてプロテスタントは火あぶりに処されることになりましたからね」

 

 

 

  


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